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YouTube「【非業!足利直冬】父に愛されなかった子が道徳の名のもとに敗北する悲しみ」配信

 冒頭の絵図は歌川貞秀(江戸後期から明治時代)のものです。

 大河ドラマ『太平記』の再放送もあと1話を残すばかりとなりました。

 毎日動画を作るのはやめて、週1回の配信にしてからは、足利尊氏、足利直義、高師直という順番で人物を取り上げて、自分なりの視点で『太平記』内での彼らの人物像を紹介してきましたが、この順番で来たら、足利直冬も取り上げてみたいなと思いました。

 大河ドラマでは筒井道隆さんが演じていますが、当時の私は筒井さんの大ファンでした(今も好きです。いつまでも老けないで、なんか独特の雰囲気ですよね……)。でも若い頃の私には、この直冬の役は筒井さんに合ってないというような不満がありました。直冬役の筒井さんはいつも仏頂面で、棒読み系のセリフがますます棒読みじゃん、かっこよくないじゃん……って。
でも、若干20歳だったという筒井さんの直冬の解釈は間違ってなかったんだなと、この歳になって筒井さんの演技を見ていて感じました。『太平記』でも、東寺に入った直冬のことを見物の童たちが〝身なりショボ〟みたいに馬鹿にするシーンがあるのですが、この場面、いつ読んでも胸が痛みます。直冬は常に、自分の立場と父への行き場のない苛立ちでいっぱいいっぱいだった、九州で少弐に婿殿婿殿などと言ってもてはやされても、自分の居場所はもっと別にあるはずという満たされない思いで、偽りの笑顔が崩れないように気を使い……。

 空前の足利家ブーム(観応の擾乱、応仁の乱、『麒麟がくる』でも足利将軍家はクローズアップされてましたが……)は、現代人も抱える親子の問題が重なり合うところの興味・関心によるものではないかと思っています。

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 ↓ 以下は、YouTubeの動画の「概要」欄に記した内容です。

 足利直冬については、『太平記』を読むたびに違和感を感じていました。それは、足利尊氏の「強運」は前世の善因によってもたらされているというのに対して、直冬については尊氏との確執が前世の悪因だとはされず、父子の道の誤りだとして、実社会において直冬にあったであろう可能性はすべて否定されていることです。まさに〝非業〟(=前世の業因によらない)とはこのことであり、南北朝時代や足利家が現代人の興味・関心を引く要因ではないかと感じています。

〔2021年3月2日にSNSにて配信を報告した際の投稿をそのまま掲載しています。〕


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