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【長編SF小説】銀河皇帝のいない八月

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宇宙を支配する銀河帝国が地球に襲来。 軍団を率いる銀河皇帝は堅固なシールドに守られていたが、何故か弓道部員の女子高生、遠藤アサトが放った一本の矢により射殺されてしまう。 しかも〈…
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2021年9月の記事一覧

銀河皇帝のいない八月 ④

銀河皇帝のいない八月 ④

7. コンビニにて

 夏の夜の街を、少女と少年と人猫が歩いてゆく。
 その後ろから、主人と分離した機械の馬がついていった。

 食料などを集めるため学校の敷地を出たはいいが、街は人影が消え完全な闇に包まれていた。
 ネープの肩に取り付けられた強力な小型投光器だけが、あたりを照らす光源だった。

 いったん帰宅したいという空里の希望は、ネープに却下されていた。もし帝国の奇襲があったら、空里の家族や

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銀河皇帝のいない八月 ⑤

銀河皇帝のいない八月 ⑤

8.ゴンドロウワ

 会計を済ませた空里たちが外へ出ると同時に、コンビニは再び闇に包まれた。

「早く帰りましょう。やはり、コルベットの中が一番安全だ」
 ネープがドアを閉めると、突然一条の光が一行を照らし出した。
 ネープとシェンガが身構える。
「君たち! そこで何をしてる」
 交差点の反対側から、二人の警察官がフラッシュライトをこちらに向けていた。面倒なことに……
「シェンガ、ニャアって言って

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銀河皇帝のいない八月 ⑥

銀河皇帝のいない八月 ⑥

9. 決断

 翌朝……

 顔だけ洗った空里は、校庭に出てスター・コルベットに向かった。
 今日もいい天気……

 ランプウェイの手前では、銅像のようなチーフ・ゴンドロウワが空里を迎えるように立っていた。
「おはよう」
「オハヨウ」
「!」
「おうむ返ししているだけですよ」
 ランプウェイの奥からネープが言った。
「ああ、びっくりした……」
「もう少し経験値が上がれば、他のこともしゃべるようにな

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銀河皇帝のいない八月 ⑦

銀河皇帝のいない八月 ⑦

10. 東京消滅

 ネープがトリガーボタンを引くと同時に、あたりを白い閃光が包んだ。

 そして静寂が訪れた。

 風は止み、スター・コルベットを中心とした小さな空間は安定した空気に包まれていた。
 が、その外は嵐だった。
 白く輝く嵐が渦巻き、何もかもを消し去るように吹き飛ばしていた。
 四階建ての校舎も、その周りに建つビル群も、白い闇に呑み込まれ消えていった。
 世界そのものをジューサーミキ

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