羽をもがれた妖精は復讐を謡(うた)う①
※はじめに※
ファンタジー小説です。魔法、剣、異世界、能力ミステリー等出していく予定。だいたい3〜4ページで1話完結のように更新していく予定です。
⭐︎プロローグ
妖艶な笑みを浮かべ、女神は黒髪の少女に言った。
「全てに復讐するのなら、助けてあげる」
退屈していた女神は、新しい暇潰しを見つけ嬉しそうに顔を歪ませた。私を楽しませてくれるなら、願いを叶えてあげると。
少女は意を決して、その手を取った。女神は満足そうに言う。
「あまりにも退屈だったら、いつでも観客席を立つからね」
これは少女の願いを叶え続ける物語。
そして女神の為の用意した演劇。
タイトルは、復讐劇。
⭐︎暇なのでちょっと儲けようかと
通り過ぎていく風景を観ながら、私は欠伸をした。赤い髪が、窓から入ってくる微風で靡く。
現在私は電車に乗っており、地方から中央都市セントラルに戻っているところである。特急の為、停車駅は少ないがそれでも長い時間座りっぱなしは退屈だった。
「よっしゃー!俺の勝ちっ!」
と、乗客が少ない静かな車内で声が上がる。なんだ?と思って目を向けると、隣のボックス席で男2人がトランプをしていた。私はニヤリと笑う。いい暇潰しを思いついた。
「ねぇ、私とトランプで賭け事をしない?」
そう言って私は席を立ち上がる。
「ルールは簡単。トランプのハート、ダイヤ、クラブ、スペード各一枚のみを使うの。その4枚から2枚選んで、ハートとダイヤ、クラブとスペードの様に色が揃ったら貴方達の勝ち。赤と黒のペアだったら私の勝ち。ちなみに9回勝負」
掛け金は電車料金と同額なんてどう?挑発的な笑みを浮かべる私に、2人の男は顔を見合わせた。目で「どうする?」と問いかけ合っている様だ。
そして一人が口を開いた。
「カードを引くのはどっちだ?あんたか?」
「シャッフルは私、引くのは貴方達で。
ちなみにカードの出目は[赤、赤][赤、黒][黒、赤][黒、黒]で、お互いに勝率は五分五分よ」
私の言葉に、もう一人が「ならいいぞ」と言った。そしてデッキから4枚抜き、ちゃんと4種類と分かる様、柄を見せる。そして私に渡した。
「では2枚選んで下さい」
シャッフルして、見えない様に並べる。男たちはそれぞれが一枚ずつ選び、カードをめくった。
結果は、クラブとスペード。男たちはニンマリと意地の悪そうな笑みを私に向けた。
それから残り8回同様な事を繰り返し、結果は私の勝ちだった。そして「もう一回だ!」と何度も挑まれ
「お前、いかさましただろ!だってこっちの勝率は2/3のはずだろ!?」
負けた男たちがわめいてる。私は首をわざとらしく傾げた。
「勝率が2/3ってどう言う事?」
「お前がさっき、カードの出目は[赤、赤][赤、黒][黒、赤][黒、黒]だって言っただろ。だが[赤、黒][黒、赤]は同じ事だから、実際の出目は[赤、赤][黒、赤][黒、黒]で、俺たちの勝率は2/3のはずだ!!」
キッと睨む相手に、私は「そーなんだ〜」と他人事の様に返す。ニコッと作り笑顔を向けて
「けど、結果が全て。2人とも、2万ウェザー払ってね」(※100ウェザーで菓子パン1つ買えるくらい)
「うわー!」と嘆く2人に、私は心の中でバーカと呟く。
確率の計算を間違えてる、と。
ようやく目的の駅に到着。私の懐は臨時収入により暖まった。上機嫌な私を、2人は恨めしそうに見ながら去っていく。
「ナギ」
さてと、行くかっと伸びをした時、背後から声をかけられる。聞き覚えのある声に振り向くと、思った通りの人物がいた。
「ルカ、なんだか久しぶりだな」
「二日ぶりで、全くそんな風には思わないが」
呆れた様に言うこいつは、ルカ。溜息をつきながらも、車のキーを見せる。
「あっちに車を停めてある。このまま向かうだろ」
サンキュー!と飛び付くと、ルカは嫌がりながらも照れていた。
自動運転で目的地に向かっている時、私はルカに聞いてみた。
「ねぇ、正しい確率を知っていたのは誰だと思う?」
そう、それは先程の賭けについでだ。ルカは「"知っている"ならお前だろ」
と可愛げなく言った。流石に分かったか。ちなみに「幾ら勝った?」と聞かれて「2万」と舌を出して答える。
「馬鹿な奴等だ。カードを表にしてやってみれば、一発で分かる」
4枚の中から2枚選ぶ。一枚目にもしハートを引いた場合、残りはダイヤ、クラブ、スペード。つまり赤1枚、黒2枚。男たちが勝つ確率は1/3。逆に私の勝率は2/3。9回勝負でやれば、だいたい勝てる計算だ。
「暇なので、ちょっと儲けようかと」
テヘペロとやったら、ルカが汚物を見る様な目をして来た。が、気にしないでおこう。
⭐︎ほんと頭が痛いよ、
「で、話はまとまったのか」
ルカはずっと聞きたかったであろう、私の任務結果について聞いて来た。私は溜息混じりに答えてやる。
「土の国以外は協力してくれる事になった」
「やっぱり土の国は無理か」
現在、私は火炎の国にいる。先日まで異世界に行っていて、その世界にある火の国、水の国、風の国、土の国に、とある協力を依頼していたのだ。
「世界転移装置が田舎にしかないから、面倒なんだよな」
城の中にも作ればいいのに。そう呟くが、当然無理だと理解はしている。
「馬鹿デカすぎるし、利用されて攻めてこられたりでもしたらって、理由だったな」
ルカの言葉に頷く。そう、高位術式で作り上げられた世界転移装置は、ものすごく巨大だ。理由はかなりのエネルギーを使用するためのコアがでかいから。そしてもう一つ理由があり、もしハッキングなんかされて、敵が城内に侵入してしまう可能性が少なからずあるからだ。
「昔は隣国と喧嘩して、それから宇宙からの侵略を警戒して、けど宇宙人からの侵略じゃなく、異世界からの侵略の方が先ってね」
可笑しそうに笑う私に、とルカが睨んでくる。ハイハイ、分かってますよ。
「ほんと頭が痛いよ、アルカナの奴等」
そう呟くのと同時に、目的地である火炎の国の城、紅蓮城に到着した。
執務室に行くと、すでに部屋には知り合いの中尉がいた。
「レイ中尉、久しぶり」
「少佐、任務お疲れ様でした。およそ半年ぶりね」
敬礼するが、すぐに口調を崩す。
「異世界でも暴れてたって聞いたから心配してなかったけど、元気そうでなによりよ」
ちょっと待て、暴れてたって酷くない?私はジト目でレイを見る。レイは知らんふりをして、早々に本題を切り出した。
「アルカナに動きがあったわ」
「もしや大地の国で何かあった?」
頷くレイに、やっぱりかーと項垂れる私。ルカも知っているのか、舌打ちする。
「土の国の事件から、おそらく繋がってると予想はしていたが…」
「だから他の国も協力的だったのかもな」
まぁ、当然他の理由もあるが。帰ってきて早々にやる事が山積みのようだ。…そう、それを表すかの様に机に書類が積まれているが、今は目を逸らそう。
「ちなみに、一番上にあるのが最重要だと思うわよ」
レイは苦笑して一枚の書類を指し示す。恐る恐る見ると、私は目を見開いた。
「アルカナが来年の世界会議に参加決定!?」「落ち着きなさいよ。国として認められたのではなく、研究成果を発表する為の参加よ」
それがおかしい。なにせアルカナがやっている研究は、
「人工能力者組織アルカナ、奴等は人為的に能力者を作っている組織だ。バランスが崩れるぞ」
それは真理を恐れぬ、愚かな行為なのだから。
※注意書※
本物語は、作者の未熟な知識、拙い文章で構成されています。
「これ間違ってる」「誤字脱字だ」等と言った事は、どうか暖かい目で見逃して下さい。
よろしくお願いします。
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