皐月

都内在住。 気の向くままに書き連ねています。 御用の方はXへ。

皐月

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最近の記事

未知

わたしは わたしの 歩幅を 知らない 動いているのは 私の脚で そこへと続く 私の身体 歩いているのは私、だけれど わたしは わたしの 言葉を 知らない 動いているのは 私の口で そこへと続く 私の身体 紡いでいるのは私、だけれど たしかにどこかへ 歩いている なにかを思って 紡いでいる けれども大事なところだけ 近くて遠い 靄の中 伸ばすこの手は 何も触れず 掬う思いは 声にはならず わたしは わたしを 未だ、知らない

    • あわいを彩る天の色 つい魅せられて 惑う夕暮れ

      • 冬ごもり

        頭の中を流れる旋律 口をついて出かけたが 喉の奥で立ち止まる 息の流れは堰き止められて 音になれずに 立ち消える 人との会話もままならぬ 独り言さえ行き止まり 咳止まらずに この身が軋む 行く先失くした言の葉は 私のからだを巡ってる 道に迷った童の様に 同じところをぐるぐると 宛を失くして彷徨うの

        • 不出来

          どうして こんなにも 途切れ途切れ なのだろう 口先から零れる言葉も ペン先から流れる文字も 頭の中を駆け巡るものには 遠く 遠く 及ばない この身体を伝って もっと もっと たくさんの想いが 表せたらいいのに 言葉にしなければ (伝わらない) 音にしなければ (聞こえない) 手を伸ばさなければ (掴めるはずもない) そして きっと 生きていなければ――

          すきま風

          怒りのような 嘆きのような どちらとも取れる言い草で 吐き捨てていく それは酷く冷たかった 鋭い刃先が身を掠め 触れたところが赤く滲む 頬が痛かった 耳が痛かった けれども黙って聞いていた 向けられた言葉の数々を 出来うる限り 受け止めたかったのだ 反応の無い私に 痺れを切らしたのか 或いは飽きたか 気が済んだのか 静寂の中 置き去りの私と 言葉たち 一体あれはなんだったのか……。

          すきま風

          貴方へ

          生きていてください。 どうか。生きていてください。 そして、許してください。 貴方が生きていることを、 貴方が生きていくことを、 きっと私はこれからも、 絶えず 願い続けるのです。

          蝋燭

          他人が灯した蝋燭を 後生大事に抱えている 熱に溶かされ 少しずつ縮んでいく背を 近づいていく海の匂いを 黙って 胸の内に仕舞いながら

          憧憬

          海に憧れて その潮騒に憧れて 私は身体を震わせた 歌に憧れて その音楽に憧れて 私は心を震わせた 私の手には届かないものが 私の声の届かないところで たしかに 息づいている これは私の夢見た"かたち" 私の憧れ "ゆめ" の "かたち"

          旋律

          たましいの行きたいところ 風のながれに 身を まかせて 自由に 飛んでいく たましいの行きたいところ 潮のながれに 身を まかせて 自由に 泳いでいく 鴎や 飛魚が 行こうと思えばどこへでも 行きたいところへ 行けるように わたしも 自由なこころで 歌っていたい たましいの行きたいところ 音の流れに 身を まかせて 自由に 歌っていたい

          生きる

          今 生きること 息をすること 朝 起きること ご飯を食べること 人と会い 話し さようならを言って 帰ること 風呂に入り 歯を磨いて 夜、布団の中で 眠りにつくこと それを 毎日 繰り返し ひとつずつ こなしていくこと 回り続ける歯車に 時折油をさしながら ぐるぐると 果てしない時の中を進んでいく いちばん単純に見えるのに いちばん難しいこと 今 生きること 今を 生きてゆくこと。

          さいごは……

          ひとりがいい ひとりがいいの だれにもしられず たったひとりで さよならをするの 「もうすこしだけ」を もうすこし つんで かさねて くずれて こわれた すてられた わたしのからだから はねが いちまい ぬけおちる しろくて かるい わたしのたましい どうか とおくへ とんでいけ そして とおくで みていておくれ

          さいごは……

          マグマ

          どろどろとした いかり むかしむかし ぼくがまだちいさいこどものころから それはあった ずうっと ぼくのおなかのなかで ぐつぐつ ぐつぐつ にえたぎっていた つめたいおみずをのんでも つめたいかぜにあたっても ちっともひえてはくれなくて おとなになったいまでも それは ぐつぐつ いっている このあついのと さよならしたいのだけれど やりかたがちっともわからない みんなおんなじなのかしら それともぼくがしらないだけなのかしら

          雲の向こうに

          黒い雲の向こうに まだ 染まりきっていない 澄んだ青 無垢な青が 広がっている 「遠くの空よ この世は一体 何色だい?」 そう 問いかけようとして ふと 気付いた あれが見ているのは 漆黒に染まった雲であって その遥か下にいる 我々なんぞ 見えてはいないのではなかろうか。 私がどれほど見つめても その視線は片道切符 交差することなど ないのかもしれない、と。

          雲の向こうに

          呟き

          何処に居ればいいのでしょう 何処に在ればいいのでしょう 私は。

          喪失

          ゆらり ゆらゆら ゆれている こころは まるで みずのなか とおく はなれた かねのおと かさねるこえも ありはせず うかぶ ことだま あぶくのように みなもで はじけて きえてった。

          夢想家

          喋る言葉を持たない僕と 君は話してくれるだろうか 語れる夢を持たない僕と 君は話してくれるだろうか 春の隅っこで ブランコに乗って ゆらゆらと 陽の沈むまで 行く宛持たずに彷徨う僕と 君は歩いてくれるだろうか 吹けば飛ぶようなこの僕に 差し出せるものなど何も無いのに 春の隅っこで 花筏に乗って ゆらゆらと 陽の沈むまで 道端の小さな花と目が合った 肩を竦めて笑って見せた

          夢想家