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『僕は君たちに武器を配りたい』(瀧本哲史)を読んで。

 現代の日本社会で、若者が生き残るための思考法とは?不安に立ちすくむビジネスマンが学ぶべき「本物の資本主義」とは?本書の感想を書きます。

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 本書は2012年のビジネス書大賞です。当時のブラック企業で搾取される若者を見て、著者瀧本氏からのアドバイスが書かれています。

 瀧本氏は京都大学人気No.1客員教授と呼ばれる方で、東大→マッキンゼーを経ての実務経験があり、ビジネス視点で本書も書かれています。戦略や交渉、決断についての本も、確かベストセラーになっていましたね。

 本書は9章の構成になっていて、1回じゃ紹介しきれないぐらい気付きがたくさんあるなと思いました。今回は前半部を紹介します。

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 本書引用
・能力のコモディティ化
・英語、IT、会計、の努力神話
・勉強ブーム、不安解消マーケティング
・賃金低下の原因は、技術革新
・1/1000の違いは分からない
・変化=短命、ベンチャーさえも難しい
・儲かる漁師と、儲からない漁師

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 上記の一つ一つの文章に解説したい内容と考察があります。本書での大きなテーマに「コモディティ化」があります。つまり普遍化、日常化。どんなに創意工夫をこらして付加価値をつけ、改良改善をしたとしても、他者がそれを真似をして、価値がなくなる。そして最終的には価格競争、質より量になる、という事実です。

 本書当時の時代背景だと、牛丼が例え話に出てきており、質は結局追いつかれ、最終的には値下げ戦争で疲弊し共倒れ、との記述がありました。

 これは現代においても当てはまります。人材は海外から取れるので、安さが命、技術は教育でなんとでもなる、または使い捨て。これがブラック企業のやり方です。

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 コモディティ化の例では、Youtubeコンテンツさえそうです。みんなトップの売れる動画のやり方をマネをするから差がつかない(普遍化)、内容さえも同じ。レッドオーシャンの泥沼化する、ということです。

 就職においてはをつけようと、「英語、IT、金融」という3種の神器を頑張ろうとしてしまう。それで手に職つけようとの勉強ブームとなり、ひいては「不安解消マーケティング」の餌食になると。

 いやー、2012年にして、今の現状をほんと的確に言い表してますね。 「手に職をつけないとやばいよ?」という発想は、このデフレ化した20年のトレンドだと思います。自分もまさにそう。

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 内容がほんと面白いので、今日はこの導入部までにしておきます。半分を紹介するつもりでしたが、これはまだ1章で全体の1/9です(主題ではありますが)。問題は、「ではどうするか?」です。本書タイトルの通り、著者は「武器」を配ってくれようとしています。

 自分も踊らされてる側である、と思い当たりました。手に職を持つのは悪くないけど、それも所詮手段だし、「人生の軸」という両輪があってこそだと思いました(手段と目的)。また本を読んで思考を深めたいと思います。(※まだ本書の紹介は続きます)


【読書感想文30冊目】


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