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プロっぽくなくていい

みたかの小さなプリン屋さんがいかに失敗したかを毎回400~500字で綴るシリーズ『プリン屋開業失敗ものがたり』です。ノンフィクションよ~

ここまでのお話はこちら

店長にうとまれていた私であるが、今振り返ると店長の気持ちもわかる。

おしゃれで可愛い世界観のお店を作ろうと理想に燃えていた店長。そこに自己実現欲のエゴむき出しのおばさん(←私です)が登場したら私だっていやだと思う。多少自虐がすぎたかもしれないが実際そんなもんである。

しかしこの店長の存在が私にある決意を新たにさせる。

「もう絶対、誰にも雇われたくない」

自分の店を開業したい気持ちがメラメラと盛り上がってきたのである。雇われたくない気持ちもそうだが、この店で働いてみて意外と軽食屋の裏側は素人っぽくてもいいんだなと思えたから。失礼な言い方になってしまうが、いかにもプロ!って感じの店ではなかった。それでもお客さんの求めているものと合ってさえいれば売れることが、直にお客さんとやりとりをする中で実感した。流行りはじめのタピオカドリンクや寒い日の焼きたてワッフルとか。それらは寒くてスムージーが売れなくて店長が知恵を絞って急遽やり始めたことだ。つまり店のだれもが作るのも売るのも初めてだった。

とにかく普通の奥さんでしかなかった私は「プロ」とか「専門家」というものにすぐびびってしまうし、働いて他人様からお金をもらうのであれば手練れの専門家でプロっぽくあらねばならないのかと思っていたから目からウロコだった。

楽しいばかりではなかったが、いい経験になったドリンク屋のバイトだった。店長ありがとう(フォロー)。

開業について本気で考えだした5月頃、夫の転勤が決まった。

つづく

▼次のお話はこれだ!!▼


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