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子どもが泣きやまない時は

末娘はよく泣いた。
泣くという言い方では弱い。
彼女はよく泣き叫んだ。


ものごとが自分の計画通りに行かない時に泣き叫ぶことが多かった。
たとえば、小学校の宿題をしようとしたのに宿題用ノートが見つからない時。寝るつもりじゃなかったのに寝てしまい自分で立てた予定をこなせなかった時。

一度泣き出すと止まらない。
泣いて泣いて泣いて泣きやむことができないとさらに問題が起こる。

「うおー、うおー、ひっくひっく。な、泣きたくなーいー。泣きたくなーいー。こんなに泣いたら目が腫れーーるー!」

2歳前から美容に対する意識が人一倍強かった彼女は、泣いた後は目が腫れることを知っていた。それなら泣きやんだらいいのだけれど、それができないからまた泣くという悪循環を繰り返した。もう本人もどうして泣いているのか本題がわからなくなっている。

こんな時どうしていたかと言えば、まずはオウム返しの術を使った。抱っこして背中をさすりながら子どもの言葉を繰り返すのだ。

「そうか、そうか。泣きたくないね。泣きたくないよね。だって目が腫れちゃうもんね。うんうんわかるよ」

まちがっても「だったら泣きやんだらいいでしょうが! 泣いてたら目が腫れるに決まってるでしょうが!」という正論を興奮した子どもに突き付けてはならない。逆効果だし、言っている自分もいらいらしてくる。

興奮に興奮で対抗してはいけない。

興奮に興奮で対抗して物事が沈静化することはない。

オウム返しの何がいいのかわからないが、繰り返される子どもの絶叫をオウム返ししていると次第にお経を読んでいるような気持ちになり心が無になってくる。

そして乳幼児の場合はたいてい泣き疲れて眠ってしまい、起きた時には意外と平気になっている。しかし、小学生にもなると体力がついて泣き疲れて眠ってくれなくなる。

その場合は、少し泣きが落ち着いた時に「できるだけの努力」を「真剣に」してあげていた。できるだけの努力とは何か。

たとえば、「ノートが見つからない」に対しては
・一緒に教室まで探しに行く
・見つからなかったら他のノートに可愛い絵を書いて代わりに使う提案をする

「寝てしまったので計画がくずれた」に対しては
・一緒に新しい計画を立て直す

「泣いたから目が腫れる」に対しては
・保冷剤をハンカチで包んで目に当てる提案をする
・使った後のティーバッグをよく絞って目に当てる提案をする

ティーバッグが目の腫れに効くというのは、その頃に調べた豆知識であるが、実際に効かなくてもいいのである。そういう行いを一緒にしたという事実が大事なのだ。

また、場所を変える、外に出る、は泣きを落ち着かせるのにとても有効である。鉄板のお気に入りの音楽や動画などもあると助かる。音楽や動画に頼るのは別に負けじゃない。使えるものはなんでも使おう。

最後にもう一つ。
子どもが泣きやむまでの時間、大事なのは「あきらめ」だ。
泣きに付き合っている間に(この子が泣いてさえいなければ、あんなこともこんなこともできた)と思ってしまうと、どうしても「早く泣きやめ!」とイライラがつのり、その気持ちは伝わってしまう。そうなるとさらに泣きやまない。

あきらめてしまったほうが、結果的に子どもは早く泣きやむし、その時間はロスタイムとして人生のどこかで帰ってくる。なんの根拠もないけれどそう断言する。

そんなこと言われたって、もう耐えきれない。
そんな時には子どもと一緒に泣こう。私もよく一緒に泣いた。けっこうすっきりする。(あと、noteに吐き出すのも良いと思う)

そして子どもが泣いている時間は永遠に思えるけれども、決して永遠には続かないことを心に刻もう。

あんなによく泣き叫んだ末娘も今や20歳。
たくさん泣いた分、よく笑う子に育った。
今では私のnoteの一番の愛読者である。

#子どもの成長記録

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