クレープ屋へ面接に行く
みたかの小さなプリン屋さんがいかにして失敗したかを毎回400~500字で綴るシリーズ『プリン屋開業失敗ものがたり』です。実話だよ
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この町一番のおいしいクレープ店に面接してもらうことになった私は、履歴書を書き、スーツっぽい服を押し入れから引っ張り出して準備した。
ところで私が40歳を目前にして人生に急に焦りだしたのにはきっかけがある。
・・・・・・
━━あれ。なんか違う・・・。
39歳の夏、前年までは似合っていたTシャツがまったく似合わなくなっていたのだ。鏡を見てどこが去年と違うのか考える。
二の腕がきつくなっている。
顔まわりの肉もゆるんでいるのか輪郭が少し違っている気がする。
しかし体重が大きく増加しているわけではない。
これは・・・
老いている?!
洋服に興味のない私は一度手に入れた服は穴があくまで着るほうで、その時着ていたのもすでに何年も着ているお気に入りの服だった。服が変わるわけがない。私が変わったのだ。3人の育児と転勤生活を突っ走っているあいだに体はきちんと老いていた。今までに感じたことのない焦りが私を包んだ。
急に40歳になるのが怖くなった。
・・・・・・
引っぱりだしたスーツも何年も前に買ったものでそう似合っているわけではなかったが、買うのはもったいないのでそれで済ませた。
数年ぶりの面接だ。当日は緊張したが、意欲を前面に出してアピールしたところ「じゃあ来てみて下さい」という話になった。
クレープ屋で働くところまではとにかくこぎつけた。
あなたのサポート、愛をこめて受け取ります。