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【ライバル現る】

高校演劇のコンクールは、秋に行われます。
高校三年生の秋は、受験の真っ最中。
だからほとんどの生徒は、高三の春に部活を引退します。

高二の演劇コンクール。
最後の覚悟で挑んだ地区大会は、惜しくも準優勝。
優勝しなければ、大阪府大会には進めない。
これで僕の青春は終わった。
普通ならそうなるはずでしたが、この準優勝という結果が、僕の心にまた火をつけました。

優勝まであと一歩。
来年こそ、優勝できるかもしれない。
僕は親を必死に説得して、大学に進学できるだけの学力をキープすることを条件に、高三も演劇部を続けさせてもらいました。

演劇コンクールで仲良くなった他校のメンバーと一緒に、合同公演を企画したり、僕の演劇活動は、終わるどころか、さらに加速度を増していきます。

そんな中で出会ったのが、松原高校の"かっきん"という男でした。
かっきんとの出会いは衝撃でした。
かっきんは芸人を目指していて、笑いを最優先する男でした。
演劇部の公演も、僕達の狭山高校はシリアスな物語でしたが、松原高校はごりごりのコメディ。
すべてが真逆でした。

初めてかっきんと出会ったのは、富田林駅の近くにあるミスタードーナツ。
かっきんは、松原高校のメンバーをイジりまくります。
悪口を言っているのに、言われている人がおいしく見える。
人を輝かす悪口。
今まで出会ったことのない人種でした。
笑い過ぎて、ションベンをちびりそうになったのを、昨日のことのように覚えています。

それからかっきんとは、ライバルであり、親友となりました。
かっきんも高三まで演劇部の活動を続け、ついにやってきた、正真正銘最後の大会。
結果は、僕達狭山高校が優勝し、かっきん達松原高校は準優勝でした。

人生で初めて手にした、優勝トロフィー。
高三の演劇コンクールでは、大会後の交流会で音響ブースをジャックして、ブルーハーツのトレイントレインを流し、みんなで大合唱しました。
まさに、青春!笑
あの時間があったからこそ、今でも僕は演劇を続けています。
そして、僕の青春は今でも続いています。

地区大会で優勝した僕達は、大阪府大会へと進みます。
大阪全体から集まった猛者達。
もちろんその中には、勝手に追いかけ続けていた背中、追手門学院と金蘭会高校の姿もありました。

そして、この大阪府大会で、僕がプロの役者になることを決意した、大きな出来事が起こります。

つづく

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