【正真正銘の一人ぼっち】
僕は大阪の富田林にある、狭山高校に通っていたのですが、僕は狭山高校の演劇部に入部したくて、この高校を受験しました。
狭山高校は、僕が入学する前年度に、演劇コンクールの地区大会で準優勝していたからです。
演劇をやるからには、強豪校で仲間とともに切磋琢磨して腕を磨きたい。
狭山高校は、トップクラスではないけれど、学区の中では上から4番目ぐらいの"そこそこ"の進学校でした。
ここでも、"そこそこコンプレックス"が顔を出します。
僕はそこそこ勉強して、そこそこの学力の狭山高校に入学しました。
中学まで、勉強も運動もルックスも、僕は自分に自信が持てませんでした。
そんな僕が、もしかしたら演劇を通して変われるかもしれない。
念願の演劇部に入部するために、僕は入学と同時に演劇部の門を叩きました。
先輩方は異様なほど大歓迎で僕を迎え入れてくれました。
なんでこんなに喜んでくれるんやろ?
入部希望者は僕しかいませんでしたが、そんなことは関係ありません。
これでついに、演劇への道が拓ける!
これから僕の輝かしい毎日が始まると意気込んでいたのですが、入部と同時に僕はとんでもない壁にブチ当たります。
そこそこの進学校である狭山高校の生徒は、高校三年生の春にみんな受験勉強のため退部するのです。
昨年の演劇コンクールで準優勝したのは、当時全員二年生だったので、僕が入部したのと同時に、全部員が受験勉強のため退部してしまったのです。
それでか、僕が入部してあんなに喜んでくれたのは。
僕が入部したことで廃部はまぬがれましたが、仲間とともに切磋琢磨して演劇の腕を磨くどころか、入部と同時に部員は僕一人。
しかも、僕の中学から狭山高校を受験したのは、僕しかいませんでした。
正真正銘の一人ぼっちです。
しかし、この一人ぼっちの環境が僕に火をつけました。
好きな演劇をやるためなら、どんなことでも挑戦してやる!
僕は誰一人知っている人のいない中で、片っ端から同級生に声をかけていきました。
そのおかげで、同級生が6人入部してくれました。
新生演劇部の誕生です。
しかし待ち受けていたのは、予想もしない困難の連続でした。
つづく
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