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演技のあれこれ

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2018年7月の記事一覧

演技についての講義ノート

とある場所で、映像制作を学ぶ人たちに「演技について」レクチャーさせていただきました。以下は講義の内容を書き起こしたものを再編集したものです。

 みなさんおはようございます。本日講師を担当させていただきます、日下と申します。普段は俳優をやっています。よろしくお願いします。
では、さっそく始めていきましょう。今日の講義の目的は、ずばり「どうやって俳優とコミュニケーションを取ればいいのか」というこ

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アマチュアの俳優が胸を張れる日は来るか

日本では舞台俳優のプロとアマの境が非常に曖昧という話です。

私個人の考えですが、現実的に日本の演劇界を下支えしている役者に関して言えば、職業というより生き方に近いものがあると思います。
なのでプロか否かというより「役者かそうでないか」という問いの方が本質を突いています。誰が何と言おうと自分は役者なんだと信じた瞬間からその人は役者だと思います。そうやって生きていれば、プロかどうかという問題は、

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気持ちを表現する演技はダメ

演技とは、語られることを拒否するように成立しています。それは語るものではなく、生きるものだからです。
演技を語る言語世界は、常にプレロジカルな領域と、ロジカルな領域とのはざまを旋回しながら、あやうい均衡の上に成り立っています。

今の日本で、経験者、非経験者に関わらず、
何かが「演じられる」時、それは必ずどこか新劇の影響を受けていると言っていいと思います。
それほど新劇はかなり長い間、日本の演技

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演劇と映画の違い

1.演劇とはサービスである

突然ですが、演劇と映画の違いとは何でしょうか。よく「演劇はナマモノ」という言い方がされますがこれはどういう意味なのでしょうか。
映画と演劇の違い、それは、ずばり、モノとサービスの違いだというのが私の考えです。

2.映画と演劇の属性上の違い

経済学では、モノは物質的財に、サービスは非物質的財に分類されます。
そして両者の属性上の違いに目を向けると、演劇は

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日本に演技のスタンダードはあるか

問・演技のスタンダードはあるか。
答・日本にはない。

演劇大国ロシアではオリンピック選手を育てるように役者を育てます。役者は学者的生活を許されながら何年も演技を研究します。
宝塚音楽学校を軽く上回る、恐るべき高倍率の演劇学校に入学し、4年間毎朝早くから夜10時過ぎまで、スタニスラフスキー・システム、ヴィオメハニカなどをみっちりとやります。
何事も1万時間トレーニングをすれば、お金を取れるよう

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