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米国景気後退期を乗り切れるか。純利益が営業キャッシュフローを上回る理由と今後の株価動向。アメリカ最大の住宅リフォーム小売チェーン、ホームデポ「HD」【インフレ対策】

アメリカ・ジョージア州に本社をもつ、ホームデポ。米国住宅市場が堅調なこともあり、同社の業績も右肩上がりの堅調さをしめしています。

同社の四半期業績(EPSx15倍、薄緑色の部分)をみると、1年後とにこぶのように盛り上がる部分がありますが、これは、第2四半期(6-8月)の売上、利益が最も大きく、第4四半期(11-1月)の売上、利益が最も小さい傾向があります。ホームセンタービジネスということで季節性があります。ちなみに日本の同業種について調査しましたが、この傾向はありませんでした。

ホームデポ「ホームデポ」株価・四半期EPS推移チャート

一方で気になるのは、2022/01決算で、売上高、EPSともに市場予想を上回ったにも関わらず、発表後の株価は8%以上の大幅の下げとなり、以降も株価の下落が続き、最近ようやく株価も落ち着いてきた状況です。今後、利上げ局面の進展及びQTの本格化にともなう、リセッション局面への移行を考えると、さらなる株価の下落も考慮にいれておく必要がありそうです。

また、ここ4四半期連続で営業キャッシュフローが純利益を下回っているのが気になります。棒グラフの領域で、黄色のバーが緑色を上回っています。

2022年1月期年次決算の営業キャッシュフローの内訳をみますと、在庫の増加による、キャッシュフローの減少が大きく影響しています。

これは私見になりますが、インフレを見越して、在庫確保に動いた可能性がありそうです。また、買掛金の減少も大きな割合を占めています。

2022年1月期 ホームデポ キャッシュフロー計算書の抜粋

この傾向は、以前に書いたモンスター・ビバレッジと同様の傾向とみています。
モンスター・ビバレッジ【MNST】業績安定の定番企業なのに、突然営業キャッシュフローがマイナスになった理由を解説する【米国株長期投資】
https://note.com/satoshi_toushi/n/necda3e6ad01f

また、同社の純資産は、マイナス(債務超過)の傾向にありますが、これは、積極的な自社株買い、配当等の株主還元の結果によるものと考えます。この傾向については、以前フィリップモリス分析記事でお伝えしたのと同様です。
債務超過なのに、高配当企業。謎だらけの優良企業フィリップモリス
https://note.com/satoshi_toushi/n/n3c6ee80722fd

同社は、バンガード米国増配株式ETF 投資信託(VIG)*1の上位構成銘柄でもあります。

このように、ミクロレベルでの財務諸表分析を通して、アメリカの経営者が何を考えているのか垣間見ることができますね。

ホームデポ「ホームデポ」株価・四半期EPSチャート
https://www.tenq.cc/stocks/HD   
同社の過去5年間の配当利回り、配当性向等が確認できます。

*1) VIGの説明:、10年以上連続で一貫して増配する方針がとられている米国株(約250銘柄)を投資対象とするETFです(REITを除く)。

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