無人航空機に関わる13の法令 -民法-
土地の所有権は土地の上下に及ぶとされているので、その土地の領域を上空と地下に引き伸ばして権利者となりうることになります。
つまり土地の所有者は、その土地の上空空間について権利を有することになるため、他人に無断でその空間を使用されればその行為を排斥する権利があるのです。
ただし民法第207条には
と書いてあるので、「法令の制限」がある限り、他の法令で特定の定めがある場合は権利の全てを適用することはできません。
例えば土地の下については「大深度地下使用法」において地下鉄や電気、ガスといった公共の利益となる事業のために、適切な認可を受けて地下の商業的利用が認められ、
その範囲は「地下40mか建造物の基礎より10mのいずれか深い方の地下」とされています。
つまり民法上、土地の所有権は上空と地下に及ぶこととされていますが法令の制限によって、地下の場合は大深度地下使用法に該当する部分に関しては権利が制限されます。
同様に上空について、法令の制限を受ける法律、「航空法」も忘れてはいけません。
航空法第81条
と定められており、その省令として航空法施行規則第174条
この法律は航空機の最低安全高度、つまりその高度以下で飛行させてはならないことを定めていますが言い換えると、その高度より高い高度であれば航空機を飛行させることができるので、この航空法のルールが民法第207条の法令の制限内だと考えられます。
また実際に航空機が上空を通過することによって被害が発生することもありません。
騒音等は空間使用の権利とは別問題となります。
民法第207条の定めは土地の地下及び上空に「継続して」建造物が占拠されることを防ぐ目的で定められているので、
つまりその空間を一時的に通過するだけの行為について制限することはあまり考慮されていません。
では民法第207条の法令の制限を受けない範囲で第三者が所有する土地の上空でドローンを飛ばしても良いのでしょうか?
法令の制限がない場合は土地の所有者はその土地の上空についても権利があるため、その空域においてドローンを飛行させた場合は不法行為に該当します。
つまりドローンを飛行させた者に対して損害賠償を求める権利があるのですが、
ただし損害賠償はあくまでも被告の行為によって受けた実損害に対するものなのでドローンが土地の上空を通過したことによる損害があるかどうかは難しいところです。
ただし損害賠償の範囲には権利者の精神的苦痛に対するものもふくまれているので、仮にドローンの飛行によって精神的にストレスを与えてしまった場合は、操縦者は治療費や慰謝料を賠償する義務があるかと思います。
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