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生理用品売り場で悩むおじいさんの横で悩む私

ドラッグストアにて

あるドラッグストアの生理用品売り場に行ったら、70代くらいのおじいさんが生理用ナプキンを1つ1つ取り出してじっと眺めているのを発見しました。

私はお目当ての夜用ナプキンをちゃちゃっと買い物かごに入れたワケですが、おじいさんはずーっとナプキンを見つめて動かない。

「生理用品を買う/持ち歩いているところを見られるのは気まずい」という女性も少なくないと思うんですよね。特に男性には。

かつてコンビニでバイトしていた時も生理用品は中身の見えない紙袋に入れてお渡ししていましたし。トイレに生理用品を持っていくのも気を遣いますし。露骨な巾着だとバレるのでハンカチっぽいものに包むとか…色々あったなぁ…。

今はどうか分からないけれど、私が小学5年生の頃、宿泊研修の前に「生理とは」みたいな話をされたときも、女子だけ体育館に集められて、まるで秘密のお話…みたいになっていたし。でも、男子にはウワサが回っていて、その話の後「生理の話したんやろー」とか女子がからかわれる要因になっていたので、あのシステムはなくした方がいいと思いますけど。

真剣なまなざしでナプキンを観察するおじいさん

そんな訳で私もナプキンを購入するときに一瞬ぎょっとはしたのです。

でも、あんまりにもおじいさんが真剣なので「どうしたのかな?」とだんだん心配にもなってきました。

どう見てもご本人は生理用ナプキンを使う対象ではない。

しかしこの真剣さ。

「ご家族に頼まれたのかな?」とは思いましたが、しかし70代のおじいさんにご家族(娘さんとか?)が「ちょっとナプキン買ってきて」と頼むとは考え難い。いや、可能性としてはあるんだろうけど。

私の脳裏によぎったのは「尿取りパッドと間違えておられるのではないか」ということでした。

生理用ナプキンと尿取りパッド似過ぎ問題

私は小学校低学年の頃、母親に「生理用ナプキンを買ってきなさい」とおつかいに出されたことがありました。しかし、当然ながら初潮も来ていない私にとって、生理用ナプキンはCMなどで見た何となくのイメージしかありません。どこを探せばいいかもよく分かっていない私は薬局の中をうろうろ。

ようやく「これか?」と手に取ったのが尿取りパッドでした!

そもそも生理用ナプキンがなぜ必要かもわかってないし、「尿」が読めないしで、雰囲気オンリーでのチョイス。

生理用ナプキンも尿取りパッドも、謎の青い水を吸収するパッケージなので、知識がなければほぼ同じだと思うんですよね…。

ただ、小学校低学年の子が尿取りパッド売り場の前でうんうん悩んでいたら目立ちます。店員さんに「どうしたの?」と声を掛けられ、事情を説明し、「ナプキンはこっちよ」と教えてもらい、無事に購入できたのでした。

声をかけたはいいものの…

さて、そんな体験があったので「おじいさんも同じように尿取りパッドと生理用ナプキンを間違えているのではないか」という仮説に至ったのです。

見立てはできたものの、その解釈を伝えるかはまた別の話です。

「尿取りパッドと間違えてませんか」といきなり知らない女に言われたら、誰だって怖いと思うんですよね。

でも、尿取りパッドが必要なのに生理用ナプキンを買って帰ったときのおじいさんのガッカリや恥ずかしさは想像するだけで忍びない。

低学年の私がもし尿取りパッドを買って帰ったら、母親は激怒していたに違いないのです。「いやちゃんと説明するか、自分で買えー」という話ですが…。

「とりあえず他の売り場を巡って、その後ここに戻ってきてもおじいさんがいたら声をかけよう」

私は決断を留保しました。

よく言えば慎重。悪く言えば逃げ腰。

ドラッグストアでお菓子を見たり、エナドリを見たり。最近のドラッグストアは本当に品揃えが豊富で楽しい。

店内を5分ほどぐるぐる回って戻ってきたら…

いるーーーーーーー!!!

まだ悩んでおられました。

しかし、そこはパンティーライナーのゾーンだーーーーーーー!!!

確かにナプキンとパンティーライナーって区別しづらいよね…。最近のナプキン薄いしね…。いよいよ何か間違っている説が濃厚になりました。

私は勇気を振り絞って声をかけました。

「アノォ……大丈夫……デス…?ア……色々アッテ…エト…ムズカシイカラ…何カ手伝イマshrrrr」

私は文章を書くのは好きですが喋るのは苦手です。途中から「なんで声かけたんや私はーーー!?」と全力で後悔していました。

おじいさんは突然の知らない女からの声掛けに一瞬戸惑っていましたが、「いえいえ大丈夫です」と笑顔でおっしゃいました(優しい)。そして再びパンティーライナーを眺める作業に戻ったのです。

私は「ア…ソデスカ……スミマセン///」とぼそぼそ言ってそそくさと帰りました。

そして人を助けるのは難しいな…と改めて思いました。

人助けは自分のためにするもの

そもそも私の見立てが正しかったか分からない。

「大丈夫ですか」と聞いたら「大丈夫です」としか返せないのでは?

「大丈夫です」にもう一押しした方が親切だったのかもしれない。

いやでも迷惑になったら嫌だし、本当に生理用品見たいだけの人だったら邪魔だしな…高齢男性でも生理用品を眺める権利はある訳だし…

お節介だったか…でもお節介なくらいでないと助けるってできないよな…

本人から助けを求める難しさは心理職として日々噛みしめているじゃないか…

一人反省会がはかどります。


相手にも受け取りやすい形で、スマートに手を差し伸べられたら最高。でもそこには知識と技術がいる。それにどれだけスマートな手でもいらない時はいらない。

今回の私はスマートではなかった。それは間違いない。

しかし、あのときおじいさんに何もしなかったらきっと後悔していただろうな…とも思うのです。

人助けは「自分のエゴ」

喜んでもらうためではない。

そう割り切ってやっていくしかないよなぁ…と思いながら、割り切れずに夫に「今日こんなことあってさーめちゃ悩んでさー」と話しまくるのでした。




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