見出し画像

教員からの転職活動のリアル、それでもあなたは教員をやめますか?


↑↑↑登録すると無料で電子書籍をプレゼント!

2023年2月14日 最終更新

この記事では、2017年の春に公立中学の教員を辞めて民間のメーカーに転職をした私さとるが、教員からの転職活動の難しさや、後悔した点、主な転職先、内定を得るためのコツなどを記しています。

教員のための転職情報サイト「転職ホームルーム」 フォロワー様6,000人超えのTwitter(@SatoruTeacher

現在は、副業でライターとしても活躍中。
【参考】月30万円以上、ブログとライターで安定して稼ぐ方法

公立教員から民間への転職活動に興味がある人は、リアルな感情の波を追体験できると思いますよ。

<この記事の内容>
・教員からの転職を考えた理由
・転職活動のつらい点
・家族ともギクシャクしはじめる
・転職エージェントと出会い、状況が好転
最終的に、転職してよかった
・教員の転職を巡る今後の世の中の動き

画像3

関連記事『あなたの天職をAIが3分で診断!未来が見える転職アプリ』


教員からの転職活動は大変だった


ーー5年前ーー

(今日の面接も、ダメだったな……)

1日中歩いてシワになったスーツを身にまとい、
夕暮れ時の大阪梅田のグランフロントをトボトボと歩く。

「学校の先生って公務員でしょ? 安定してるのに、なんで弊社を志望したんですか?」

思い出す、さきほどの面接官のいぶかしげな視線。
僕のメンタルはすでにがっつり削られていた。

(はぁ……公務員から転職するのはきびしいとは聞いてたけど、ここまでとは……)

一見すると、仕事を終えて帰路につくどこにでもいそうなサラリーマンのように見えるが、その実態は無職。
絶賛就職活動中、しかも大苦戦中の31歳、ニートだ。

(受験勉強をあんなに頑張って、大学まで出たのに)

(きちんと単位も落とさず、教職課程を取って、ストレートで卒業したのに)

(研究授業だって頑張って、そろそろ学年主任になろうかという話も来ていたのに…)

自分があまりにもみじめだ。

自分が教員という狭い社会の中で生きてきたか。
制度に守られていたか。

公務員と世間はこうも違うのか……。

世間はワークライフバランスとやらで、仕事と家庭との両立、早帰り、趣味に打ち込む時間。
そんなものがもてはやされていた。

大学の同級生も、家族で旅行だ、海だ、バーベキューだと。
Facebookから流れてくる幸せそうな写真を見るのが正直つらい。

今日何回目かのため息をやっとの思いでガマンして、スマホのアプリをそっと閉じた。

以下、僕が教員を辞めた2017年3月末から、時系列にそって振り返ってみる。

【関連記事】教員からの転職、あなたの適正年収を5分で診断してみよう

教員から転職を考えた理由

教員をやめたい理由は人それぞれ、僕の場合は主に以下の3つ

・月100時間以上の長時間労働
・ほぼ毎週におよぶ土日出勤で家庭は崩壊
・管理職をみていると、将来の自分に希望が持てない

特に、夜21時を過ぎてから帰宅をして、ワンオペ育児の妻と口論、部屋は散らかり放題、当時2歳の長男は毎日泣きわめいている、というのは地獄だった。

今では毎日6時には退社できるホワイト企業に転職できて、本当によかった。

詳しくは下記の記事にガッツリ書いてあるので、辞めたいと悩んでいるあなたはぜひ読んでいただきたい。

【関連記事】教員を辞めたい!校種・年齢別のあなたのお悩み解消法を元教師が解説

教員は転職活動できない、激務すぎ

最初は教員を続けながら転職活動しようと思っていたのだが、なんせ激務すぎて動く余裕がない。

共働きだった妻と協議のすえ、教員を3月末で辞めてから転職活動することにした。

「さとるくんならすぐに就職先見つかるよ」
「いざとなったら私がしばらく養ってあげるから大丈夫」

と、その頃は妻も楽観的だった。

【関連記事】そもそも転職すべきか相談できる? 20代のための無料転職支援サービス

教員からの転職活動、まずは転職サイトに登録

在職中にとりあず大手の転職サイト(リクナビnextやマイナビ)に登録。

求人数は多いのでまずは登録すべき。

あとは、自分の強み診断などもできるので、面接対策でも重宝した。

【関連記事】教員におすすめの転職サイト5選!200人以上の先生達に聞いてわかったホンネ

ただ、転職サイトだけだど僕の場合は内定が取れなかったので、後述するようにエージェントサービスを併用することにした。

教員からの転職活動、ハローワークへ

晴れて教員を辞めて無職になった僕は、まずはハローワーク(職業安定所)に行くことにした。

就職先のあっせん以外にも、失業手当の給付や職業訓練も行っているので、お世話になる人も多いと思う。

ちなみに、公務員は失業手当がもらえない場合もあるので要注意。

【関連記事】教員は失業手当をもらえる?

ここで得た職業訓練の情報はかなり有益だった。

元教員、転職したいのにハローワークで説教される

ところが、ハローワークで紹介される求人は、素人目からみても給料が安かった。

みなし残業時間が40時間入っているなど、ブラックなものが多かった。

たまにいいなあと思う求人があって、詳細を担当者に聞いてみると。

「ああ、この会社、すぐに人が辞めていくんでしょっちゅう求人出してるんですよね。まあ、掲載は無料ですからね」

と社会の闇を見た気がした。

去り際に、「学校の先生って、安定しているのになんで辞めたんですか?」

という言葉がグサっとささる。

教員から異業種への転職は難しい

「ハローワークは使えない」ことを悟った僕は、転職サイトを主戦場に切り替えることにした。

見よう見まねで職務経歴書を作り、興味ある求人は片っ端から応募していった。

ところが、書類選考の時点で落ちまくる落ちまくる。

あまり志望していなかった塾の講師の求人ですら落ちた。

教員の転職に後悔しはじめる

「選考どうだった……?」

共働きで、長男を保育園に迎えにいき、さらには夕食までつくってくれる妻。

家庭にも、どんよりとした空気が流れる。

はじめは前向きだった妻の励ましの言葉も、どこか力がこもっていない。

ご近所の視線も痛い…。

住宅ローンの支払いはあと30年も残っている。

このまま、ずっと無職だったらどうしよう。

【関連記事】教員からの転職で後悔するパターン5選

教員からの転職先は営業しかないってマジ?

「5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)」を見ていると。

「【転職活動】文系は営業しかないってマジですか?」というスレッドがあった。

営業というと、過酷なノルマ、取引先にペコペコと頭を下げる、上司からのパワハラというイメージが強いのであまり乗り気ではなかった。

ちなみに、当時は知らなかったのですが、教員からの転職先は実は教育業界以外にもたくさんあります。

・ITエンジニア
・Webマーケター
・企業の営業職
・(経理や営業アシスタントなど)事務職
・公務員行政職 など

【関連記事】教員からのおすすめ転職先はこれだ!20人の元教師達の体験談まとめ記事

元教員、転職エージェントを知る

転職活動で完全に煮詰まっていた僕は、ネットで「転職エージェント」なるものの存在を知った。

職務経歴書の添削
・効果的な自己PRの仕方
面接対策
非公開求人の紹介

これらを転職のプロがやってくれる。

まさにこれだ! と思った。
藁をもすがる思いで、いくつかのエージェントサービスに登録した。

【関連記事】教員におすすめの転職エージェントを元中学教員が解説

元教員、転職エージェントと面談する

実際に、オフィスに出向いてエージェントの担当者(キャリアカウンセラー)と面談した。

*当時は対面が主流だったが、今ならオンライン面談もできる

さっそく、

・今までの活動状況
・職務経歴書やスキルのどの面をPRしたらよいか
・どんな業界や求人があるか

丁寧にヒアリングしてくれた。

経歴書もエージェントの添削が入ると、正直見違えるようになった。

もちろん、向こうも商売でやっている。
企業に求人を紹介して、入社が決まると企業からお金がもらえる仕組みだ。

人と人との関係なので、相性もある。

正直、「合わないな」と思うエージェントとは疎遠になった。

【関連記事】元教員がリクルートエージェントを使った体験談、業界大手ならではのサービスが光る

教員から営業職を志望する

メインで使っていたエージェントから提案されたのは主に営業職だった。

「営業かぁ……」
正直乗り気でなかったが、そろそろ贅沢も言っていられない。また、

・営業といっても、成果が給料にモロに反映する会社から、ある程度決まった得意先を回るルートセールスまで様々
・教員時代の人前でわかりやすく話すプレゼンスキルを活かすことができる

営業=ブラックとは限らないことを知った。

また、妻も民間で営業事務をしていたので、業界の知識は割とあった。

「営業、いいじゃん、さとるくんに向いていると思うよ。やってみなよ」

こうして、僕は営業職を中心に選考を受けることになった。


教員からの転職活動が好転

仕切り直して、転職活動を再開。

当然、書類選考で落ちる場合もあれば、一次面接でお祈りされる場合もある。

そんな中、パソコンがちょっとできて、ガッツがあって、学習意欲があるようなやつをたまたま探していた今の機械メーカーが僕に興味を持ってくれた。

最初は「いったい何を作ってるんだ? 聞いたことないな…」という会社だったが、面接官も人当たりがよく、なんとか僕のよさを引き出してくれようとする姿に好感をもった。

仕事内容についても「最初はかなり勉強してもらうことになると思うが、文系未経験者でも活躍している人がいるので大丈夫」と包み隠さず話してくれた。

教員からの転職、最終面接

そして迎えた最終面接。

僕はエージェントと一緒に練り込んだ志望動機に、自分の想いをプラスして熱心に語った。

今まで選考をムダに受けまくった経験も活きたはず。

よい具合にチカラが抜けた。
これでダメならしょうがない、心からそう思えた。

「今まで大変でしたね」
「うちに来て、活躍していただけませんか?」

社長とその場で握手した。
泣きそうになるのを必死でこらえた。

それでもあなたは、教員やめて転職活動しますか?

とまあ、読んでいただいて少しブルーな気持ちになってしまったのかもしれないが、これが5年前に実際に僕が体験したことである。

これから「教師からの転職」に挑む皆さんは、上記のようなことが起こるのをある程度は覚悟しておいた方がいい。

年収も550万円→450万円と100万円近く減ったし、
退職金や年金だって公務員のように手厚くはもらえない。

とはいえ、ワークライフバランスがとれた幸せな日々が続いている。

今月に至っては、残業時間は今のところゼロ。

最近は夕食まで作っているぜ。
レパートリーが、カレーとお好み焼きと野菜炒めしかないのでちとさびしいが、妻もこどもも喜んで食べてくれている。

教員からの転職活動、今後の展望

それでは、教員からの転職活動について今後の展望をデータをご紹介しながら述べていく。

今後、転職市場は冷え込む可能性がある

転職を考えている人を不安にさせるようなことも書いてしまったが、
実は、本当に転職したいのなら今動き出すべきだ。

画像1

実際、リーマンショックが起こったのは2008年だが、求人倍率がガクっと下がったのは2010年、底を打ったのは2011年。

補助金や銀行融資で生きながらえている企業もたくさんある。

もし、これらが打ち切りになれば……
物価上昇が企業にダメージを与え続ければ……

企業の経済活動は停滞を続け、採用はさらに減っていくかもしれない。

1年後、転職市場はさらに悪化している。
その可能性もある。

一向に改善されない教員の働き方

一方で、教員の働き方改革は進んでいるのだろうか?
2022年10月の調査をみてみよう。

全日本教職員組合(全教)は19日、小中高校などに勤める教職員の1カ月当たりの平均残業時間が92時間34分に上ったとする独自調査の結果を発表した。文部科学省は学校教員の働き方改革を進めているが、10年前に実施した前回調査と大きな変化はなく、全教は「平均で月80時間の『過労死ライン』を超えており、極めて異常だ」と指摘した。

引用元 毎日新聞「教員残業時間 10年前と変化なし 平均92時間」

つまり、

・1ヶ月の労働時間の平均は過労死ラインの80時間をさらに超えている
・10年前と大きな変化はない

文部科学省は、「教員の働き方改革」を打ち出しているが、データをみると全く進んでないことがわかる。

教員の魅力を発信するはずだった「教師のバトンプロジェクト」が現場の先生たちの悲鳴の声であふれて、失敗に終わったのも記憶に新しい。

【関連記事】教師のバトン大炎上 現場の声をまとめました

教員という仕事の将来性

一方で20年後の教員の働き方はどうなっているだろうか?

子どもの出生数はますます減っている。
そして、政府はこの出生数の低下に有効な施策をなんら打ち出せていない。

・2020年の出生数 84万0835人
・2021年の出生数 81万1604人
・2022年の出生数 77万2000人

*2022年は1月~11月までのデータを基にした予測値
出典:第一生命経済研究所

ということは、学校教育という市場の顧客は減り、それに伴い予算は減る。

教員という職種の未来

未来の学校では、ICT活用が進みオンラインでの授業がさらに加速する。

スタ○ィサプリのような、わかりやすく、進度に応じたカリキュラムがさらに整備される。

学校は大手予備校がそうしているように、一部の授業が上手な先生の動画をシェアして、残りの大多数の教員は予備校のチューター的な役割に回るのではないか、と大胆に予想してみる。

公務員にもジョブ型雇用の波が押し寄せ
一部の優秀な教員は高待遇を手にし、
その他大勢は待遇が下がる、なんて可能性もある。

・授業は動画で配信(家で学習も可)
・教員はあくまでもサポート役、もしくは要支援児童のケア
・給料は下がるもしくは据え置き(物価上昇で相対的に貧しくなる)

教員は副業がほぼ禁止されているので、他に収入を確保する手段がなければ、さらに貧しくなる。

教員という仕事についてきちんと考えよう

僕もかつて夢見た職業である教員をディスるつもりは毛頭ない。

見通しはあまり明るくないかもしれないが、それでも教員を続けたいという人はもちろん応援している。

だが「教員の働き方は改善されていない」という事実と
教員という仕事の将来性への疑問は、頭の片隅には入れておいて損はないだろう。

願わくばこの記事を読んでいただいたあなたには、幸せな未来が訪れて欲しい。

【関連記事】教員からの転職の流れを5ステップで解説! 必要なのは情報だ

20歳代なら教員から転職できる!

あなたが25歳以下なら
今すぐ動き出すべき。

25歳~30歳なら
まだ間にあう。できれば仕事を続けつつ転職活動したほうがいい。

30歳以上なら
正直、未経験への転職はかなり厳しい戦いになる。
今の待遇に不満があるのなら、他の自治体で教員をつづけるか、自分にあう私学を探す、あるいは教育系の求人を探す。

未来予測なんて難しい。

2020年3月から流行した新型コロナウィルスは、2023年冬現在でも未だに国民生活に大きな影響をあたえている。

先が見えない世の中だからこそ、自分の持っているカードをしっかりと見つめ、行動していくことが大事なんだ。


ネットサーフィンをしていたら、こんな言葉を見つけたので共有しておく。

未来予測のしにくい現代社会では、つぎの5つの行動指針を持つことが大切だ

(1)「好奇心」 たえず新しい学習の機会を模索し続けること

(2)「持続性」 失敗に屈せず、努力し続けること

(3)「楽観性」 新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること

(4)「柔軟性」 こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること

(5)「冒険心」 結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと


そして、行動し続ければ恐怖は克服できる。
困難に打ち勝つこともできる。

「あなたは、今の職場の何が不満ですか?」
「転職によって、それは解決できますか?」

もちろん、いたずらに転職をアオるつもりはないが、一度自分の内面をしっかりと見つめ考えたほうがよいだろう。



ここまでお読みいただきありがとうございました!
あなたの今後の働き方のヒントに少しでもなったら、とても嬉しいです。

よかったら「スキ」ボタンをぽちっと押していただけると、更新の励みになります。

これからも有益な情報発信につとめて参ります。よろしくお願いします。

◆ブログ「転職ホームルーム」

◆Twitter(@satoruteacher)

◆Instagram

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?