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第11回:古典的ロングセラー小説で読書会をオススメする3つの理由〜夏目漱石「こころ」を読んで〜

毎月1回、友人たちと開いているリモート読書会、6月と7月のテーマは夏目漱石の「こころ」でした。

僕自身、実はまだ読んだことがまったくなくて、なんとなくあらすじだけは知っているような状態。リモート読書会ももう1年ほど続けていますが、小説を題材にしたのは今回が初めてでした。

本当は中身について色々盛り上がったところを具体的に紹介したいところ、読んでない人から初読のときの衝撃と「あれ、こんなに面白い話だったの!?」という驚きを奪わないためにも、ネタバレは避けたい。なので、話題を切り替えて、古典的ロングセラー小説をテーマに読書会をおすすめするポイントを3つ紹介してみたいと思います。

1つ目:自分ではまず手に取らないであろう古典的小説を読む機会になる

「ハリーポッターを読んだことありますか?」
と聞かれて手を挙げる人はたくさんいそうですが、
「夏目漱石の「こころ」を読んだことありますか?」
と聞かれると挙手の数は少なくなる気がします。教科書で一部だけ読んだことあります的な人はまあまあいそうですが。

僕も御多分に洩れずその一人でして、「こころ」は全く読んだことがなかった、というより「古い本だし今読んでもさして面白くないでしょ...」くらいに思ってたのを告白します(笑)

ところが!!!

読めば読むほど「ヤバい面白い!」・・・というボキャ貧な感想から思い浮かぶほど、おおっ!というインパクトがありました。徒然草みたいにたらたら進んでいく物語かと思ってましたが全然違った。。。たしかに物語の展開自体は昨今の小説に比べるとゆっくりめですが、シーン毎の心情の描写はなかなかのスピード感です。

「うれしい」「かなしい」といった単純な感情ではない、ドロドロ、ヌメヌメした色々ごちゃまぜの感情を、え、そんな日本語ありましたっけ?というくらい見事な言葉選びで表現してるものだから、ページをめくる手が止まらなくなりました。(正確にはiPadをスクロールする手)

Kindle版は0円なのでお気軽にトライできますよ!

2つ目:小説は、著者も答えを示さないから読書会のやりがいがある

サピエンス全史読みたさに始めた読書会なだけあって、基本的に小説以外の実用書・学問書がテーマのことが多かったのですが、今回小説でやってみてこれはアリだなと思いました。

例えば「こころ」だと、3部構成になっているのですが、第3部はすべて”先生”と呼ばれる人から”私”に宛てた手紙になっています。第2部の終わりで”私”はいろんな大事なものを放り投げてその手紙を読み始め、手紙の内容の第3部に進む、という流れですね。これ、第4部で、手紙を読んだ”私”がその後どんな行動をしたのか、まで書いてほしいのですが、ないんです、第4部。だから、手紙を読んだあとの”私”のことは、読者の僕らが想像しなきゃならない。

このへんの話を「どう思う?」「もしかしてこのあとって...」と想像を共有し合いながら語り合う時間は、これがなかなか楽しいものでした。これは小説ならではだなと。〈書かれてない部分を想像して語り合う〉ことって日頃の会話でもなかなかやらないので、こういう場があることの意義だと感じました。こんなに想像力を働かせた読書会も初めてだったので、想像力を鍛える的な意味合いでもおすすめできそうです。

3つ目:他人の感情に寄り添うチャンスになる

3つ目が一番大きな効果かなと思います。小説の登場人物の心情や読書会のメンバーの感想について〈共感できないこと〉も多々あるのですが、こうして読書会の場があると、どうしたってその共感できない人の感情に〈寄り添う〉努力をすることになるので、これは本当に素敵なチャンスだなと思いました。

例えば、僕は「こころ」に出てくる”K”に共感しまくりで、一方で”先生”にはどうしても共感できなかった。でも、「”先生”はおかしくない?」と僕が言うと、メンバーに「〜〜について**な感情があって、〇〇がきっかけになって”先生”は△△の行動をとったんじゃない?」と返されて、まったく考えてない角度だったので思わず唸ってしまった場面がありました。

「あ、そういう気持ちになることもあるのか...」と、自分だけでは単に否定していたかもしれない感情に、登場人物や読書会メンバーの感情に触れることで、少しでも寄り添うことができるように思うのです。自分の視野を広げるというか、感情の幅を広げるという感じです。僕は、自分が持っていない感性に出会うことが、人生を豊かにしてくれるものと思っているので、そういう意味で、小説の読書会は非常に素敵なチャンスだなと感じました。


以上、古典的ロングセラー小説をテーマに読書会をおすすめする3つの理由でした!
ぜひみなさんも試してみてください〜


ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます! 少しでも楽しんでいただけましたら、ぜひスキをお願いします!