【知恵の本棚】「重要で締め切りの近い仕事」本当に優先していいの?
いきなりですが、次の3つの仕事を引き受けるとして、あなたならどういう順に着手されるでしょうか?
仕事A:
最も重要な仕事。
慣れた仕事。
フルに働いて1週かかる予想。
仕事の締め切りは2週後。
仕事B:
2番目に重要な仕事。
慣れた仕事。
フルに働いて1週かかる予想。
仕事の締め切りは3週後。
仕事C:
3番目に重要な仕事。
やったことのない仕事。
フルに働いて3週かかる予想。
仕事の締め切りは6週後。
※どれも重要な仕事ですが、重要度には差があります。
※どの仕事も締め切りを遅らせることはできません。
※2つ以上の仕事を平行して同時に進めるのは無しとします。
セオリーでは、重要で緊急の仕事が優先されます。
重要度でも締め切り時期でも、A→B→Cの順なので、下表のような計画をイメージされた方が多いかもしれません。
どの仕事も、締め切り1週前に終える計画になっていて、一見、何の問題もないように見えます。
しかし、この計画には、ひとつ大きなリスクがあります。
仕事Cが遅延するリスクです。
仕事Cだけがやったことのない仕事です。3週目から始めると、残り4週でやりきる必要がありますが、経験のない仕事には、そもそも計画通り進められる保証がありません。
こわいのは、取り掛かってみてはじめて課題が見えてくることです。当初予定にないアクションが発生しても、余裕は1週間しかありません。
自分ではコントロールできないスケジュール制限要因があって、着手から完了まで5週以上かかることがわかったら、もう手遅れです。
例えば、専門家の助けが必要とわかったものの、すぐには協力してもらえないとか、何かの承認をもらうのに何週もかかるといったことは、よくある話です。
仕事の優先順位をつける際は、重要度、締め切りに加え、「リスク度」を考慮することをおすすめします。
リスク度の高い仕事は、締め切り時期だけで考えてはいけないのです。
ところで、セオリーでは、重要で緊急の仕事が優先されるはずです。セオリーが間違っているということでしょうか。
結論から申し上げると、セオリーが間違っているわけではありません。
実は、仕事Cには「リスク排除」というマイルストーンが隠れていて、その緊急度が高くなっています。
リスク排除をマイルストーンに置くと、自然とこういう計画になるはずです。
仕事Aと仕事Bは、慣れた仕事なので、リスク排除のマイルストーンはありません。重要なマイルストーンは締め切りだけです。
重要なマイルストーンを全部並べると、仕事Cの緊急度が突出しているのがおわかりいただけると思います。
最初に1週間だけ、やったことのない仕事Cをやってみて、課題を洗い出します。もし、リスクになるものが見つかれば、この時点で手を打ちます。
専門家の助けが必要なら、ここで仕事への参加を打診します。何かの承認が必要なら、ここで承認依頼します。
仕事Aと仕事Bは、慣れた仕事なので、計画通りに進む確率が極めて高く、課題が見つかることもないでしょう。
だから、締め切りに余裕をみるよりも、仕事Cのリスクを先に潰すことを優先します。
仕事の重要度と締め切りだけで優先順位を判断すると、こういう発想にはなりません。
不確定要素の多い仕事ほど、早く取り掛からないと、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。
最初に判断した重要度でさえ間違っているかもしれません。何せ経験がないのですから。
不確実なものは、それ自体がリスクということですね。
まとめ
仕事の優先順位を判断する際のポイントは、おわかりいただけましたでしょうか。
今回の例では、理解しやすくするため、仕事Cだけ極端にリスクの高い設定にしましたが、実際の仕事では、一目でリスクがあるとはわかりづらいのが普通です。
私たちは、仕事を受けると、締め切り時期ばかりに目が向きがちです。締め切りの近い仕事ほど、早く片付けて安心したい気持ちに駆られます。
しかし、重大なリスクの隠れた仕事は、他のたくさんの仕事の中に、ひっそりと混ざっています。
こういうリスクを見逃さないよう、「仕事を受けたらその場でリスクの有無を考える」を習慣化しておきたいものです。
会社で働いている限り、同じ時期に複数の仕事を任されることは、誰にでもありえます。そんな時、このnoteに書かれていたことを、思い出していただけたら幸いです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。このnoteが、あなたのお役に立てたなら幸いです。
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