被害届

それは私が入院する2日前のこと。

以前のnoteに入院したことは書きましたが、私は輸血が必要なほど重度の貧血に、入院するまで気づいていませんでした。今思えば、すでに毎日フラフラで力が入らなくて、歩くのだけでしんどかったのですが、私は毎日ODしまくっていて毎日泥酔していたので、全く気にしていませんでした。


とある日

わたしはキャバクラに出勤し、アフター先のBARでお客様(オーナー)と従業員が揉めたため、ビルの外でお客様を待っていました。

かなり泥酔していたのと、たぶん貧血のせいもあり、ビルのエレベーター付近で爆睡してしまいました。(この日以外、どんなに酔っぱらって外で寝てしまったことはありません)


よくは覚えていませんが、男に声をかけられたことは覚えています。その男の人に連絡先を聞かれて、しつこかったから教えました。

その日は、「お客様を連れてBARに行く」と、他のBARに連絡してしまっていたため、私はお客様ビルの外で待っていたのですが、待っている間に寝てしまっていたみたいです。私は約束は守るタイプなので、1人でそのBARに行こうとしたのだと思います。

「第○ビルに行く」と言う私を、男は危ないから送ってくれると行って、一緒に歩きました。短い距離です。

目的の階に着いた瞬間、男が豹変しました。

急に襲われたんです。

私は気絶していて、たまたまゴミを出しにきたBARの店員に起こされました。私がパニックを起こし、ワーワーと騒ぐのを宥めて、支離滅裂な説明を聞いた結果、BARの店員は「え?それってシンプルにレイプじゃね?」と交番に連れていってくれました。

泥酔していた私は、交番でもワーワー騒ぎまくり、支離滅裂な説明をし、パトカーに乗せられ、警察署に向かう行く間に「パトカーはじめて!!!!」とテンションが急に上がり、BARの店員と自撮りをして、警察官に「遊びじゃねんだよ!」とブチ切れられました。そして、「被害者なのになんで怒るの!」と沸きました。そして携帯を取り上げられ、隠し撮りしたポリスの姿を発見され、全て消されました。

今考えると被害者のような悲壮感もないし、怒られて当然だと思います。


今から書くのは、事件の記憶を思い出すまでの苦労と、被害届を出すまでの苦労です。


警察署

刑事さんに話を聞かれましたが、私はべろべろでふらふらすぎで、「さっきのポリスに怒られた!!!!」と騒ぎ、刑事さんに「あいつらは下っ端だから気にすんな」とイケメンなことを言われ、宥められ、次回ちゃんと話を聞かれることになりました。刑事さんに携帯番号を教えて、その日は刑事さんに車で送ってもらうことになりました。BARの店員は、警察署で別々に話を聞かれたけれど、先に帰されていました。

家につくと、靴や下着を含めて身につけていた物を全て、ジップロックに入れて提出しろと言われました。とても嫌な気持ちでジップロックたくさんと、紙袋を受けとりました。

部屋着に着替えて、家の外で待っている刑事さんに服、下着、靴下、ストッキング、靴まで全てをジップロックに入れて、紙袋に入れて、渡すと回収されました。

後日に事情聴取されると言われました。


警察

まず刑事さんのご紹介です。一番ボスっぽい刑事さんは山口メンバーにそっくりの昔のデカっぽい人です。その相棒に、たぶん肝心な場面でメンバーを庇って死ぬタイプの刑事さんがいます。そして、その2人を尊敬している感とできる女感がやばい女の刑事さんがいます。登場人物は3人です。

まず、メンバーから携帯に電話があり「事情聴取にいつ来れる?」と聞かれましたが、私は入院してしまい、最初は入院がどこまで長引くか不明だったため、しばらく先になることになりました。

退院日が決まってメンバーの携帯に電話をすると、「体調大丈夫だったの?よかったわ。あ、俺らの部署、新設だから天皇陛下様さま(笑)の護衛の仕事も回されてちょっと忙しいんだわー。ちょっと先になるから連絡するわ。」と、事情聴取がまた先延ばしになりました。メンバーはくそほどフランクです。

画像1

またメンバーから電話が来て、警察署に行く日が決まりました。

警察署にタクシーで行くと、入り口で紙を書かされて、待たされました。メンバーの名前を忘れていたため、時間がかかり、メンバーに電話して部署がわかりました。私は携帯にふざけて山口メンバーと登録していました。


事情聴取

被害にあった当日の話を元に、更に詳しく事件のことを思い出すように言われました。

調書を取るために、流れを細かく確認をされました。

第○ビルまで男が送ってくれると言って、送って貰ったこと。ビルの目的の階に着いた瞬間に、いきなりキスをされ、口を塞がれ避難用のスペースのような場所に突き飛ばされて、ドアを閉められたこと。べろべろのへろへろの私を無理矢理脱がそうとしてきたため抵抗したこと。

私はだいたいスキニーで、しかもキャバクラ終わりはだいたいストッキングもその下に履きっぱなしなので、男は脱がすのに手惑い、諦めたのか、私を壁に押しつけて、太ももくらいまで、無理矢理スキニーとストッキングと下着を一緒に下げて、入れようとしてきたこと。

男はなぜか強引に私の服を元に戻すと、何事もなかったかのように帰ろうとしたこと。

私はよくわからないけれど、とりあえず逃げようとした犯人を捕まえようとして、突き飛ばされて、男はエレベーターに乗り逃げたこと。

そして、私は突き飛ばされた衝撃でたまたま不法投棄されていたソファーに転がったこと。

ソファーに転がって唖然とエレベーターが閉まるのを見て、今なにが起きたのか混乱したこと。

限界で、私は寝ていたというか気がついたらソファーで気絶していたこと。


ここまで思い出すのに、たくさん時間がかかりました。私は当時酔っていたし、体調不良に気づかずフラフラだったし、帰ってODして記憶を飛ばしてしまったし、入院して時間もかなり空いてしまったし。


話を聞かれているうちに、私は男とラインを交換したことを思い出しました。そして、男にラインをしてみることにしました。

「第○ビルに送ってくれた?」

男から「そうだよ!」と来たので、犯人がわかりました。こいつは同意だと思っているのか、と不思議に思いました。どこのホストかわかりませんが、刑事さんに見せました。


そして私の記憶を明確に取り戻すために、現場に行くことになりました。


現場

まず、歌舞伎町まで車で行きました。パトカーではなくて、普通の車です。

車を路上に止める時に、見回りポリスが駐禁を取ろうと注意しようとしてきて、相棒が見回りポリスになにか言っていました。メンバーは「見たらわかるだろ。仕事できねーな。」と言っていました。どうやら覆面の刑事さん用の車は、ナンバーや見た目に特徴があって、警察官なら同業者の車だと、わかるようになっているようでした。

そして、私が寝こけていたビルに向かいました。そこから第○ビルまでの道を辿りました。正直うろ覚えでしたが、頑張って思い出していきました。そこで、親切な人だから覚えて置こうと、男に「ホストさんなの?なんてお店?」と聞いて、男が「〇〇で働いてるよ」と店名を言われたことを思い出しました。その時は男が2人組みだったことも思い出しました。

第○ビルまでの道を刑事さん3人と私の、4人で歩きました。メンバーと相棒は防犯カメラの位置や、ダミーかどうかをちくいち確認していました。女の刑事さんは私の隣にずっといて、気を遣われているようでした。

第○ビルに着いて、エレベーターに乗ろうとた瞬間に違和感を覚えました。そこで「違う!エレベーター前の踊り場でセックスしてる男女がいて、通れないから階段で行った!」と思い出しました。(今書いていても歌舞伎町すぎるなと思います)

第5sビルの目的の階につくと、ソフィアーと、事件が起きた避難用スペースを確認しました。メンバーは、エレベーターの防犯カメラを見ていました。

「これはダミーだな」

事件があった避難用スペースを確認しました。どうやって襲われたか聞かれました。そこで非常口にはパイプがあって、私はパイプと壁に挟まれて動けなかったことを思い出しました。

「たぶんこのパイプの横の壁に押さえつけられました。ここで合ってます。」

とりあえず、一通りの事件当日の流れの確認が終わりました。

どこか他人事のようでした。私の記憶はピースが欠けていて、曖昧で、自分でも時系列や状況がかなり混乱していました。たぶん最初に警察署に行った時と記憶違いが起きていたと思います。

メンバーと、相棒はどこの防犯カメラをチェックするかを話していました。そこから調書を作るために、一度ダミーじゃなさそうな防犯カメラを全て確認すると言われ、連絡が返ってきたホストと、店も確認すると言われました。ちなみに服はまだ検証が終わっていませんでした。

帰りの車で警察署に戻る間、メンバーがタバコを吸い始めました。「吸う?」と聞かれたので、遠慮なく吸いました。なんか、不思議だなと思いました。

その日は、思い出した記憶をもとに、軽く事情聴取?をされ、メモを取られ、私は帰りました。


警察署再び

がっつりキャバクラに復帰した私は、忙しく、昼に警察署にパジャマでタクシーに乗り向かいました。

そこで、私が寝こけていたビルの防犯カメラによると、私は1人男(ホスト)に起こされ、連絡先を交換しているようでしたが、その男はすぐに立ち去り、犯人ではないことがわかりました。ラインの男に「本当にビルに送ってくれた人?」と聞くと「そうだよ」と来ましたが、メンバーは「こいつホラ吹いてるな」「そいつは恩を売りたいだけの別人だ」「ただのバカ」と言っていました。(こいつのせいで事態がややこしくなり、調書が長引きました。)

防犯カメラによると、私はその後2人組みのホストに話しかけられ、その2人と第○ビルまで歩いているところが、途切れ途切れですが、色々な防犯カメラに映っていましたが、途中から1人は離脱して、ビルに着く前に別れたようでした。

残念ながら、事件が起きた非常口にも、その階の廊下にも防犯カメラはなく、犯行現場が写った証拠はなかったようでした。私はどこかほっとしました。こんな大事になると思わなかったし、人に無理矢理セックスされそうになっているところをビデオで見られることは抵抗がありました。


現場検証1

現場検証?再現?に行くと言われ、また現場に行くことになりました。

第○ビルに着くと、「事件の再現をする」と言われました。

元から身長が低くはない私ですが、さらに私は当日高いヒールを履いていました。防犯カメラによると、その私よりも男は身長が高かったので、メンバーよりも相棒の方が犯人の身長に近いからと、相棒と再現をすることになりました。

事件が起きた非常口の、パイプの横の壁の間に寄りかかるように言われ、相棒が壁ドンのような体制をしてきました。女の刑事さんは写真を撮っていました。

「これで合っている?」

メンバーにそう聞かれましたが、よくわかりませんでした。なにか違うような気がしましたが、わかりませんでした。そこで思い出したことがありました。

「あの、生理でタンポン入れてて、入らなかったみたいなくだりあったんですけど」

無理矢理入れようとした犯人の息子が、タンポンにぶつかり侵入を阻まれたこと。タンポンのおかげで未遂のような?感じになったことを思い出しました。

気まづい気持ちでそこからあんまり覚えてません。

一通り写真撮影が終わり、メンバーと先にビルの下に降りました。相棒は車を取りにいきました。女の刑事さんはビルの入り口や階段や非常口を全て撮影しているようでした。私は疲れていて、とても嫌な気持ちでした。2人を待っている間に、ビルの下の灰皿を見て、メンバーがタバコを吸い始めたので、なんとなく一緒に吸いました。

車で警察署に戻る間に、メンバーがパチンコに並ぶ人を見て「あれ刑事だな」と相棒に言ってました。私が「なにをしに列に刑事さんが紛れてるんですか?」と聞くと、メンバーは「調査」としか教えてくれませんでした。

その日も、警察署に戻ると話を聞かれて帰されました。


現場検証2

また警察署に呼び出されて、再度現場検証に行くと、言われました。

相棒が車を取ってくる間に、警察署の前でメンバーと車を待っていました。後から女の刑事さんがマネキンを持ってきました。

「重いから貸せ」と、メンバーはイケメンなので、女の刑事さんからマネキンを受け取り、車に詰めていました。まじで昔のドラマに出てくるタイプのデカっぽいなって思いました。また、第○ビルに向かいました。

私は「マネキンはなにに使うのかな?」と思っていましたが、黙っていました。

第○ビルに着くと、マネキンを取り出して事件があった階までいき、マネキンを私と同じくらいの高さに調整しました。マネキンはわりとボロボロぐにゃぐにゃで、メンバーが無理矢理立つように調整していました。

そこで、マネキンを非常口のパイプと壁の間に寄りかかるように置き、メンバーに「こんな感じで合っているか?」と聞かれ、今度はマネキンが私の役をやるようでした。相棒は犯人役です。女の刑事さんはまた撮影係です。

そこから、非常口を出るシーンと、エレベーター前でソファーに突き飛ばさるシーンをマネキンと相棒で再現しました。その度に写真を撮るのですが、その写真には私が写っていないといけないようで「ここですー!私も現場検証にいますー!あってますー!」といった風に、再現写真の隅に写るように撮られました。なんだか気まづいし、刑事ドラマではこういうチマチマしたシーンは見たことがなかったので、どんな表情で「ここです」と写真に写ればいいのか、よくわかりませんでした。言われたとおりの場所に立って、黙って撮影されていました。

マネキンを見て、前回のように違和感を覚えました。その違和感の正体がわからないまま、マネキンとの現場検証は終わりました。


警察署に戻り、調書を作るために、詳しい話しをまた一から聞かれました。今思えば、私が嘘をついていないか、話に矛盾がないかを見定められていたのかも知れません。

事情聴取であっているのでしょうか。私は女の刑事さんに質問され、答える。また詳細を聞かれる、答える。を繰り返して、思い出せない記憶のピースを無理矢理に思い出そうとして、とても疲れました。しつこいし、長いし、嫌で、もう諦めようかと思いました。「わからないよ!」って途中キレた気もします。

ただずっと引っかかっていました。

私はなぜ抵抗しようとして、相手を殴らなかったんだろう。なぜパイプが邪魔で逃げられなかったのだろう。なぜ相手の顔を見た記憶がないのだろう。

そうだ、後ろからだったんだ。

私は急に非常口に押し込まれて、ドアを閉められて、逃げようとして、壁に押さえつけられた。後ろ向きに押さえつけられたから、パイプが視界に入った。私はパイプが邪魔で横に逃げられなかったんだ。

前回の現場検証と、話しがまた変わってしまいました。


現場検証3

また警察署に呼び出されました。ちなみにまだ被害届は出せていませんでした。

またマネキンと4人で第○ビルに向かいました。

前回の現場検証で、私が後ろからだったと気づかなかったので、撮影した写真は前から押さえられているような形になってしまったため、写真の撮り直しです。今回のマネキンは服を着ていました。ズボンです。相棒はなぜか"ガムテープで作りました"みたいな棒を持っていました。

マネキンのズボンを下げ、その棒を相棒がセットしてまた写真撮影をしました。

そのガムテープの棒って、、、

ち○この代わりみたいでした。めちゃくちゃ不快だし、ボロボロのマネキンは服を中途半端に脱がされ、ガムテープのち○こを持った相棒に押さえつけられている。それが私なのかと思うと、なんだか惨めで罰ゲームみたいでした。真面目な表情の刑事さんたちとは裏腹に、なんだかシュールで笑える気すらしました。


また警察署に戻り、事情聴取が行われました。女の刑事さんはまた同じことを何回も聞いてきて、私はイライラしていました。事情聴取は長くて、夜型のわたしは眠いし、疲れていて、途中で机に突っ伏していたり、態度は悪かったと思います。

ただ、何回も何回も聞かれるうちに、また思い出しました。

「たぶんかけられました」

男は私の服をずり下げて入れようとしてきましたが、タンポンに阻まれて入らなかったこと。そして私にぶっかけて強引に服を着せられたこと。

私はBARの店員に話を聞かれている時に、ぶっかけられたことを思い出して、気持ち悪くて、生理用品をBARのトイレに捨てたこと。(私はタンポンと普通の生理用品を両方するタイプです)


女の刑事さんはそれを聞いて、部屋を飛び出していきました。そして戻ってくると言いました。

「ストッキングやズボンから犯人の精液は検出されたけれど、下着の一部分だけ精液がついていなかったのが謎でした。」

ああ、だからずっと同じ質問をされていたんだ。

私はたぶん刑事さんに疑われていた。と、思います。なんだか刑事さんが敵のように思えました。

刑事さんも最初からそう聞いてくれればいいのに。

そう思ったけれど、刑事さんには刑事さんの事情があるのでしょう。

服や下着やストッキングを全部検査されて、そこから精液がでたことも気持ち悪くて、それを色んな人が見たのかと思うと不快でした。本当に嫌でした。

その日の事情聴取はそれで終わりました。


また警察署にいきました。メンバーから「犯人の写真を見るか?」と聞かれました。私は見せてくれと言いました。

普通

顔を見ても記憶に1ミリもいませんでした。おそらくホストでしょう。

たくさん写真を見せられました。第○ビルのカメラはダミーでしたが、道を男と歩く私が写っている写真や、ビルの前で寝こけている私に話しかけいる男の写真。

刑事さんは、私に話しかける前の男たちの足取りを防犯カメラで辿って、男たちが飲んでいたと思われるビルのエレベーターの防犯カメラの写真を入手したようでした。

その写真に写る男は、歌舞伎町に100人くらいいそうな普通の男でした。特にブスでもなく、特徴があるわけでもなく、普通に無難な人でした。服装も当時流行りのブランドのTシャツにヴィトンのクラッチバッグ。これを着てる人もこの鞄を持ってる人も、1日に一回は絶対見るくらい、歌舞伎町の流行りの服装でした。たぶん私はすれ違っても、会っても、私は気づけないと思います。それくらい男には特徴がありませんでした。

「よくこういう人いますよね」

なんと言っていいかわからずに、そう言った私に、メンバーが言いました。

「1番難しいタイプなんだよ」

「特徴がなさすぎる」と言っていました。私と同じ感想で「こういう奴は1店舗に何人もいる」と言われました。

ただ、「連れのやつは特徴がある」「こっちを探した方が早い」とも言っていました。連れの人は確かに出っ歯で、髪の毛も派手で特徴がありました。

「ちなみにどこのBARで飲んでいたんですか?」と聞くと、そのビルのフロアには3店舗のBARが入っていて、エレベーターの防犯カメラ以外は全部ダミーだったため、「どこのBARかはわからない」と言われました。

そこからメンバーは、BARに聞き込みに安易に行くと、隠される恐れがあって行けないのだと、言っていました。歌舞伎町のBARやホストクラブに聞き込み行くと、100パーセント店は保護してくるか、面倒を嫌って黙秘されると言われました。それは私でもなんとなくわかりました。

男は防犯カメラで見た感じ、どう見ても後輩を連れた先輩で、流行りのブランド品をたくさん身につけていることから、おそらくそれなりに地位かお金があることから、尚更聞き込みで見つけるのは難しいと言われました。

刑事さんたちはホスホスをチェックしたり、普段見回りもしているけれど、なかなか特徴がない人を見つけるのは難しいのだと言っていました。

「この写真は貰えないんですか?」

そう聞いたけれど、それはできないようでした。知り合いや周りに見せて探すこともできないのだとわかりました。

私はこいつを見つけたいということよりも、こいつと会っても気づかない可能性が高いということが怖かったので写真が欲しかったのですが、それは法律上できないよいでした。それくらいに、男には特徴がありませんでした。


被害届

やっと被害届を出すことになりました。ここまでくるのに、半年以上の月日がかかりました。

メンバーに被害届の内容を読み上げるから、違う点がないかを確認してくれと言われました。

某日、○時頃、私は男に声をかけられました。

そんなような風にメンバーは淡々と文章を読み上げていきました。内容は何回も確認されたことだったので、時より聞かれる「間違いない?」に私は「はい」とだけ答えていました。

私は男にち○こを入れられそうになり

!?

私はてっきり被害届みたいな硬い文章のような物は、なんとなく陰部みたいな感じで濁して書かれているのだと思っていました。真面目な顔でメンバーが「男のち○こが」とち○こを何回も連呼し、「間違いない?」と聞かれ、「…はい」と気まづい気持ちで答えていました。メンバーは淡々としていました。

被害届の内容の全て確認が終わると、正式に出すことになりました。


「どうせ捕まらないじゃん」

なんのために嫌な思いをしたのだろう。なんのために恥を晒したんだろう。なんのために何回も警察署に来たんだろう。セカンドレイプという言葉が浮かびました。

「無駄じゃん」

そう思う気持ちが顔に出てしまったんだと思います。

最後にメンバーから言われました。

この被害届は10年有効なこと。そして犯人の指紋は全て採取して登録されていて、別件逮捕されても見つかること。逆になにか被害にあって被害届を出す場合にも見つかること。俺たちは地道な見回りでこういう人を常に探していること。自分がもし部署を変わってたとしても、ちゃんと情報は引き継がれること。

そっか。

としか思えませんでした。ただ「ありがとうございました」とだけ言って、私は警察署を後にしました。


あの日から、3年の月日が経ちました。

ちなみに犯人はまだ捕まっていません。歌舞伎町のどこかの店に普通に出勤し、普通に接客し、当たり前のように息をしているのでしょうか。


私も悪かったのでしょうか。油断はしていたし、お酒にも酔っていました。

ただ、「よく被害に合う方にも原因がある」といいますが、私は違うと思います。悪いのはどんな状況であり、犯罪行為を平気で行う人間です。

露出が高い服を着ていたら触されてもしょうがないんですか?痴漢された方も悪いのですか?


記憶が曖昧で、相手をあまり覚えていなくてよかったのかも知れません。このnoteを書いてる今でも犯人の顔は思い出せませんし、内容も少し時間軸はずれているかも知れません。ハッキリ覚えていたら、気持ち悪くて怖くて、今のように歌舞伎町を普通に歩いたりはできなかったかも知れません。


ニュースでたまに捕まったホストを見ても、それ以上に捕まっていない、犯罪者がどれだけ歌舞伎町にはいるのだろうかと考えてしまいます。

ビルで女の子が飛び降り自殺した。どっかのホストが路上で寝ていて凍死した。火災でホテルが燃えた。財布がすられた。レイプされた。DVされた。。。

「あーまたか。」

みんな人ごとのように聞き流しているけれど、これは当たり前ではなくて、犯罪者に溢れ、感覚が麻痺した人間で構築された街、それが歌舞伎町なのだと思います。


でもそんなイかれた街が居心地よいのか、居座り続けている私も、とうの昔に感覚が麻痺しているんでしょうか。



ただわかるのは、タンポンで良かったです。


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