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大半の精神障害者の働き方が「B型作業所+生活保護」に収束していく理由

A型作業所の閉鎖による障害者の大量離職

最近、A型作業所の報酬改定による大量閉鎖が話題となりました。精神疾患を患っている人が利用の多いA型作業所のことですから、界隈の中では結構な話題になっていました。

A型作業所とはそもそもどのような事業所なのかというと、いわゆる作業所と言われる事業所の中でも、最低賃金を保証しながら我々障害者側と雇用契約を結ぶタイプの事業所です。

一方でB型作業所と言われる事業所の方は、報酬改定による影響はそこまでなく、これまで通り運営されるようです。

今回はA型作業所の方が報酬改定による影響を強く受けて、B型作業所に変わってしまったり、事業所自体がなくなってしまったりしました。これによってそこに通所していた障がい者が影響を受けて職を失ってしまったのでした。

収益性の高い事業をやっていないA型作業所は消滅していく

おそらくこれからはA型作業所の中でも、補助金ばかりに頼って自社で収益性の高い事業をやっていない事業所は消滅していくでしょう。

これには訳があって、政府の目論みとしてはやはり障害者にできるだけきちんと社会復帰してほしいわけです。しかし、これまでのA型作業所の在り方というのが問題視されていました。

というのも、ただ事業所にきてほとんど何も作業をやっていないのに最低賃金を保証したり、リモートワークでサボっているのに運営出来てしまっているA型作業所がたくさんあったのです。

これによって障害者の自立、つまり一般雇用によって自分で生計を立てていくための補助をするという本来の目的からは遠く離れた利用のされ方をされてしまっていたのでした。

これを問題視した政府は、報酬改定によって、自社で収益をきちんと出せていない事業所を追い込むような変更をしたのです。

一般企業の障害者雇用枠の数は天井が決まっている

政府の目論み通り、自社で生計を立てられていないA型作業所は潰れることになった訳ですが、これによって職につけない障害者が大量に発生しました。

A型が潰れたからといって、すぐに一般企業の障害者枠で働ける障害者は決して多くないのです。むしろ、作業所での仕事にぎりぎりついて行けていて、一般企業の障害者雇用では使い物にならない人の方が大半でしょう。

それに、一般企業の障害者雇用枠というのはかなり門戸が狭くなっています。法定雇用率というもので障害者を一定以上雇用しなくてはいけないというのが決まっている訳ですが、民間の中小企業はそんなものを守るよりも罰金を払った方が得だと思っているに違いありません。

というか、中小企業は資本主義の中で生存するだけで精一杯であって、障害者を雇用して事業の足を引っ張られたくないと考えるのは普通と言えます。

現在の法律だと、障害者の法定雇用率を一人守れないごとに月5万円のペナルティを払う必要があるとされています。しかし、それを払ってでも、事業の足を引っ張られたくないと考える中小企業の方が多数派なのではないでしょうか。

また、大企業にしても、その障害者雇用枠に就職できるのはより健常者に近い障害者だけです。会社に行くだけで精一杯で、これまでA型作業所でぎりぎり通用していたような人は到底、大企業では雇ってもらうことは不可能でしょう。

B型作業所が乱立している事実

そんな中でB型作業所が乱立しているという実態があります。実際、私が住んでいる市ではA型作業所が2つしかないのに、B型作業所は10以上も乱立しています。

それだけA型とB型では運営のしやすさに違いがあるのです。もちろんA型よりもB型の方が運営が簡単でほとんど補助金に頼る形で運営していくことが可能です。これにはB型は雇用契約を結ばず、最低賃金を保証しなくても良いことが関係しています。

こうした事実によって、障害者の働き方としてスタンダードとなっていくと思うのが「生活保護+B型作業所勤務」という働き方です。

そもそもB型作業所の平均工賃は1万6千円とかですから、それプラス障害年金で生計を立てていくのはとても難しいです。なので結局B型作業所に通う人は生活保護を取らざるを得ない状況になっています。

B型作業所の乱立とA型作業所の消滅に伴って、障害者の働き方はおそらくですが、生活保護で最低限の生活を保障してもらいながらB型で働くというのが定番となっていくと思います。

障害者の働き方は2層に分かれる

以上のことによって、大半の障害者は生活保護に頼りながらB型作業所で働くことを強いられるでしょう。

しかし、一部優秀な障害者は大企業の障害者雇用枠などに就職していくでしょう。やはり生活保護を取るのは心理的にハードルが高いと感じている人も多いと思います。特に比較的優秀な障害者の中ではその心理はより強く働くでしょう。

なので、身体障害者や、精神障害者の中でも割と軽度な人は大企業の障害者雇用枠で働きながら障害年金をもらうというのがスタンダードとなるでしょう。

よって障害者の働き方は生活保護+B型作業所と障害年金+障害者雇用という2層に分かれるのだと思います。

これまではA型作業所で障害年金をもらいながらゆるゆる働くのが障害者の勝ちパターンとされていましたが、それが国に潰されてしまった今、障害者としては2つのうちのどちらかの働き方を選ぶかを決めなくてはいけません。

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