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【おもしろいの正体:6】おもしろい、が足りない仕事はおもしろくない。

今日はちょっと仕事の話です。
僕の本業はCMの企画と制作ですが、

正直最近のCMは
あんまりおもしろくない。

こんなこと言っちゃ怒られますが、
おもしろくない、と言うよりは
おもしろさが求められてない
感じがします。

もちろんCMはおもしろさより
それで売れるのか、の方が大切ですが。

そもそもCMに
おもしろさは必要なのか。

身も蓋もないですが、
真面目にそう思われてる企業の方
結構いらっしゃると思います。

おもしろさは目的達成にとって
余計で無駄なものである。

なんか違うんだよな~の正体。

いろんな仕事でプレゼンをして、
それを評価してもらう
ということが
あると思います。

こっちは自信満々に提案しても、
結果ダメってことはもちろんよくある。

ああ、間違った。とわかるのはまだいい。
だけどたまに
何でダメなのかわかんないときがある。

そういうときに言われるのがこの
「なーんか違うんだよな〜」です。

これ、ホントむずかしくて、
こっちも何とか修正しようとするけど、
どこがダメなのかよくわかんない。

実はこの場合、相手も
何がダメなのかわかってないことが多い。

とは言え、違ってることだけは確かなので
なーんか、になるわけです。

実はみんな
なんか違うんだよな〜と
思っている。

考えてみれば当たり前のことで、
正解はその人の心の中にしかない。
教科書に書いてあるわけじゃない。

怖いのは、
それが「好き嫌い」で決まることがある。
ということです。

もちろん本人は意識していない。
だけどどうしても好みは入ります。

問題はその人の好き嫌いは
その人しかわかんない、
ってこと。

だけどこの「わからない」が
おもしろさを作っている。

おもしろいの8割は好き嫌いで決まる。
と言ってもいいかもしれない。
そしてそれは人によって違う。

だけど、だからおもしろいんですよね。

全員が同じ感覚だったら、
すぐに満足はするかもしれないけど、
そこに発見も感動もない。

友だちや恋人でも、同じ感覚同士だと
一見楽しそうだけど実はおもしろくない。
短い期間ならいいけど長いとつまらなくなる。

わかる、だけで作ると
どうなるか。

そして、この「わからない」を
最近はすごく嫌う傾向があります。

わからないは悪。
わからないと言われることは恐怖。

ドラマを見ていても、
今どんな状況で誰と誰はどんな関係で、
なんて見ればわかるのに
わざわざ丁寧にセリフで言ったりする。

バラエティでもCM前に言ったことを
CM明けでまた繰り返す。

CMの間に忘れると思ってるのか?

見るひとに理解力がない前提で考える。
いちばん理解力が低い人がわからないと
やったことにならない
という基準。

説明が増えて、
余白はなくなる。

無駄なことはわかりにくくするから
極力省いて大事なことだけ残そうと
思っているけど、

それを丁寧に繰り返して結局長くなる。

削ぎ落としたつもりが、
バカ丁寧になってしまう。

本当は、この逆ができるといい。

余白の中で見え方を極めて
説明せずに伝わるようにする。

余白は「何もない」とは違います。
その空間があるから見せたいものが見える。
たとえばベタな例ですが、

富嶽三十六景 神奈川沖浪裏

本当に見せたいのは富士山だと考えると、
波は余計なものかもしれない。
富士山の周りの余白は無駄なのか。ってことです。

これは別に絵だけの話じゃないです。
伝えたいことを際立つように伝えるために、
引き算をする。

しゃべりすぎはおもしろくないです。

ということで次回は

【おもしろいの正体:7】おもしろい、は隙間に挟まっている。

気が向いたら、また遊びに来てください。


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