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闇という文字の中に音が入ってる不思議。
言語化というものを言語化してみる。:7
漢字が好きです。
それは漢字が「文字」でありながら「絵」の要素も強く持っているからです。ひらかなやカタカナは文字のひとつひとつには意味がなくて、組み合わせて言葉になった瞬間に絵を感じさせることができます。しかし漢字はそこにポツンといるだけでビジュアルになっている。
タイトルにした「闇」という文字。なんかもう、いるだけでドーンとしている。表意文字がどうのとか、語源や成り立ちがどうの、とかは関係なくて、もうそこに見えますよね。囲まれていてすごく重い感覚。そりゃ暗いだろって感じがじわーっと伝わってきます。
「闇」と言う感覚。
あなたが闇という感覚だけを知っていて、それを表す文字を作ってくれと言われたらどうしますか。黒ベタで塗りつぶしたいところだけど、線だけで表さなきゃいけないので結構悩むと思います。できるだけ画数を多くして隙間を無くすか。
この漢字の「闇」もそういう要素は持っていますね。門の中にいる時点ですでに暗い。で、普通なら中には何もない、もしくは自分がいることを表現するかもしれない。無とか自とか入れたくなる。だけど「音」。
闇という視覚的なものと、音という聴覚を表すもの。これが合わさることで何が表現されるか。それは空間です。ただ黒く塗りつぶしただけではそれは平面で実は現実的ではない。平面は黒であって闇ではない。そこに自分がいることができない。そこに音があるからただの文字にいきなり空間を感じる。なんかすごく不思議な感覚です。
待て待て。音があったらあの闇の寂しさを邪魔して、ちょっとイメージ壊すんじゃないの?って思うかもしれません。
そう考えてみると、ここにある音は実は音ではない。敢えて言うなら「シーン」と言う音です。音があるべきところに何もない、って感じです。
シーンという音。
ちょっと話逸れますが「シーン」と言う表記を考えた人って天才ですね。何も聞こえないときに聞こえる音が実はあって、それを表現してる感じがします。それって静かであればあるほど聞こえる「音」です。「シーン」ってカタカナで書くと漫画の擬音みたいでなんかふざけてるようにも感じますが、(手塚治虫が作ったという説が濃厚)「雪がしんしんと降る」みたいな表記もあります。雪が降る時ってやっぱり無音ですよね。その空気感を音で表している。なんか凄いです。
冒頭に「漢字は文字でありながら絵の要素も持っている」って言いましたが「闇」と言う文字は「音の要素」も持っているってことです。これらの要素が絡み合いながら一つの感覚を作り出している。
表せない「何か」を表すための方法。
前に「共感覚」の話をしましたが、ある感覚を別の感覚に置き換える。てか置き換えてるわけではなくて別の器官で感じることができるってことがあります。文字や音に色を感じたり。
それに近い感覚で、視覚や聴覚、嗅覚や触覚だってそれらは別々に在るわけじゃなくて、お互い絡み合っているような気がします。で、僕の場合、それらによって「表しようのない感覚的なものに形を与えたい」という欲求を満たしてる感じがします。
感覚はもともと形を持たないので、自分のなかの表現できない「何か」を表すために別のモノを使うということです。
言葉ってのは、いろんな感覚を結びつけるハブとして有能です。人に伝えたいけどうまく伝わらないモヤモヤに言葉を与えることで他人と共有できるようにする。しかしそんなうまくはできない。だからいろんな感覚を駆使してなんとか自分の中にカタチを作ろうとする。
それって言葉抜きでも成立します。ディズニーのアニメーション映画で「ファンタジア」というのがあるのですが、これは「音楽(音)を映像で表現しよう」という試みです。すごく実験的。
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なんと1940年。戦前にアニメでこれやってたんですからやっぱディズニーは凄いです。
言葉を使わないで感覚をカタチとして表現するっていうのは究極というか理想かもしれません。でもまあ実生活においてはみんな言葉でなんとか表そうとするのが現実的です。でもやっぱ難しい。感覚というのはそもそもカタチのないもんだってのが忘れがちですが真実ではあります。
なんか話があっちゃこっちゃ行っちゃってわかりにくくてすいません。あ、ちなみに「闇」に「音」という文字が入ってるのは正しい漢字の歴史からするとぜんぜん違う成り立ちみたいです。音じゃなくて違うモノから形が変化したらしい。まあそんなことはどうでもよくて、そういうふうに想像して楽しむのが自分としては最高なんですよね。
今日はこのへんで。ではまた
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