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【おもしろいの正体:10】常識っておもしろくない。騙される気持ちよさ。

揺れているのは
世界か自分か。

NHK 地震カメラの映像

地震が起きたときにテレビで流れる映像、
これ実は揺れてるのは
地面じゃなくてカメラ
なんですよね。

これはテレビという媒体のひとつの特性、
マジックだと思います。

見えている映像に嘘はない。
だけどちゃんとわかってないと、
揺れてるのが実は自分だ、
ということに気づかない。

世の中も常に揺れていて、
自分の表現もいつも揺れている。

それをちゃんとわかっていろんなものを
作っていかなければいけないなあ。
といつも考えています。

カップラーメンは
なぜどれも
3分で出来上がるのか。

いきなりですが、答えは

「3分で出来上がるように作ったから」

なんですね。
普通こういうふうに聞かれると、
麺の茹で具合とお湯の対流が、とか、

理由から原因を探そうとするんですが
実際は逆で結果が先にあるんですね。

もちろんこの3分には、
一番食べたい感が高まって、
だけど我慢が限界を超えない時間、

という分析があって、
だからその時間で出来上がる商品を開発した、
ということです。

つまり「答からの逆算」。

これはおもしろさを考える
一つのコツでもあります。

ゴールを先に決めていれば
そこに辿り着く方法は無限にある。
受け手はそれを想像することで
おもしろいと感じる。

作者は最初から
犯人を知っている。

なんかむずかしいことみたいですが、
実はそうでもないです。

推理小説の作家って
「すごいな。どうやったらああいう
 犯人がわからない小説書けるんだろう」
って思うけど、考えてみると

作者は最初から犯人がわかってるわけで、
それをどうやって隠すか、
という経路で考えてる。

そう考えると、
決まっている結果をそのまま見せるのは、
最初から犯人が「私が犯人です」って
言いながら出てくるみたいなもんですよね。

馬鹿みたいですが、そういう話って意外に多いです。

あと決まってる結果に
現状とか無視して強引に持っていく、
結びつけちゃうこともあります。

これはすごく独りよがりで、
全然共感を得られません。

これって警察や検察がお前が犯人だ、って
決めつけて取り調べするのと同じですね。

それって冤罪です。恐ろしいです。

本当のような嘘と
嘘のような本当。

コロナが蔓延してた時期でも
CMの中では誰もマスクしてなかった。
これはテレビドラマでもそうでした。

ドラマはフィクションが前提なので
いいと思うけど、
日常を描いたCMがフィクションじゃ
困る
んじゃないか、とも思います。

実際、みんながマスクし出したとき、
「CMの登場人物もマスクした方が
 いいんじゃないか」
という議論はありました。

してないとクレームが入るんじゃないかと
心配したのですが意外にそういうことはなく

いま解除されたら作り直すのか、
とか言ってるうちに
なんとなくマスクなしが当たり前になった。

戦争だ、地震だ、雨だ、雪だ、と、
現実ではあまりにも目まぐるしく
いろんなことが起こるのに、
CMの中は能天気です。

消費者のしあわせを描くものなので、
当然といえば当然なのですが、
最近その開きがどんどん
大きくなっているように思う。

もう完全に違う世界線というか。
架空の世界の出来事のようにさえ見えます。

ノンフィクションのおもしろさと
フィクションのおもしろさ

フィクションとノンフィクションは
どっちがおもしろいのか。

事実には事実のおもしろさがあります。
ノンフィクションには
フィクションにはない強さがある。

想像を超える。本当なんだから敵わない。
そんな力があります。

もう一つは「今」を表現している強さ。

人がおもしろいと感じるには
タイミングがあるので、
そのピークを掴むことができる。

逆に言うと、ノンフィクションでも
タイミングを外すとおもしろくない。

これがつまり「常識」と言うやつです。
本当なんだけど当たり前のこと。
これは全然おもしろくない。

その点、フィクションは自由なので
一定のおもしろさは担保できる。

ただ何でも言えるので
ただ非常識だと共感はできない。

結局この境界線上にあるものが
いちばんおもしろいように思います。

本当のような嘘と、嘘のような本当。
この両方がおもしろいです。

騙されることの快感。

結局のところ、この境界にあるものは
質の高い嘘、な気がします。

人は心地よく騙されたい。
わかってることを言われてもつまらない。

もちろん心地よくない騙しは
おもしろくはないので念のため。

次回は

【おもしろいの正体:11】人気ランキングに好きなものが入ってないのは自分がおかしいのか。

気が向いたら、また遊びに来てください。

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