【おもしろいの正体:9】「足りない」がおもしろいを作る。
意図的に
情報が足りない
状態にする。
おもしろいと感じるための方法として、
意図的に情報が足りない状態にする
という方法があります。
ここはどうなんだろう、とか、
ここをもっと知りたい、と思わせること。
飢餓状態を作る。
そのためには全部を言わない。
見る人が入り込みたい隙間を作ってあげる。
足りないから
想像しちゃう。
CMの中にラジオCMというものがあります。
これは成り立ちからしょうがなく
「映像という情報」が足りていません。
これってすごく不自由な感じがします。
しかしこのラジオCMの
「足りない」感じが想像力を使わせる。
受け手を強制的に参加させる力があります。
ちゃんとその世界に引き込むことができれば、
受けては勝手に想像してくれます。
ラジオのこの不自由さは
逆に無限の自由さを持っています。
想像の中ではお金なんかかけなくても
ハリウッド級のロケも
時空を超えたアイディアも
なんでも形にすることができます。
あと、想像を裏切ることがやりやすい。
そうだと思って聴いてたら実は違ってた。
これは逆に映像があると逆に難しいです。
ひとつ例を。ワコールのラジオCMです。
文字で見ると雰囲気が伝わりづらいですが、
音だけだと先がわからないので、
まず騙されます。
これ、お金まったくかかってないですが、
ACC CM FESTIVALで
ラジオCM部門のグランプリ(総務大臣賞)
取りました。
あと想像なので表現の危ないゾーンも
結構ゆるくなりますね。
もうひとつ。こっちは正統派。名作です。
音声を聞かないと
本当の良さはわからないのですが、
これも想像力、というものを
すごく活かしてますね。
視覚を聴覚にズラすということが
アイディアになっています。
ノンフィクションの強さと
寺山修司というキャラクターの強さ。
そして映像がないからこそ
それが成り立ってるところが素晴らしいです。
これ、最初に聞いたときは、感動した、
というよりは、背筋がゾーッとした。
それこそ何も見えない
海の中にいるような感じがしました。
CMって
こんな気持ちにさせることができるのか。
と、なんか怖くなった。
こうやって文章を書いていて、
映像があれば、とか音があれば、と思う。
だけどそれも「足りない」なので、
そこを活かせないとダメなんですけどね。
残念。
次回は
【おもしろいの正体:10】常識っておもしろくない。騙される気持ちよさもある。
気が向いたら、また遊びに来てください。
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