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【読書記録:Day193】
本について:世界はひとつの教室

著者:サルマン・カーン
出版社:ダイヤモンド社  2013

読書記録:Day194


【問題提起】

従来の教育システムは、壊れたモデル。

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従来の教育システムの目的は、 18世紀のプロセインに端を発する。その起源は、税金による公的な義務教育。

自分の頭で考えられる人間を育てることではなく、忠実で従順な市民を次々を生み出すことにあった。それは、政治的効果を目指した取り組みであり、政治的洗脳の機会になっていた。


従来のシステムが、学習者から、活きた情報から隔離した結果、断片的で抽象的情報のみ受け取り、 所定のカリキュラム以上のことは考えることができなかった。(プロセイン型)

多くの教育が、今もなお、このモデルのまま行われている。生徒たちは、集団で管理されることを余儀なくさせる。

このモデルでは、知的、社会的格差の固定化をまなきかねない。

世界は、猛スピードで変化しているのに、システムは100年前と変わらないのは問題。今年(2013年)小学校に入る全世界の子供たちの65%が、将来、今はまだない仕事に就くといわれている今、受動的・押し付け・一方的な教育では、潜在能力が無駄にされる。才能が疎かになる。

学校で講義をきき、夜ひとりで宿題をするの繰り返しでは宿題による睡眠不足、家族との団欒の機会の減少し、本当に大切なことを学ぶ機会が失われかねない。


一方で、著者の提供するカーン・アカデミーは、「自宅で講義、教室で宿題」という考え方。(知性と創造性の解放が目的)

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このままで、これからの世界に自信に満ち、生産的で、充実した人生を送る人たち、自己実現を果たし、真の民主主義の責任を全うできる人たちが現れるかどうか。


理解度をチェックするテストで、子供に早々に見切りをつけ、「社会に貢献できない」というメッセージを送ることが、どんな意味を持つのか? 

遅咲きの子たちはどうなるのか?未来の天才たちはどうなる?古い教育が可能性を摘み取っているのでは?


【著者のパッション】

”質の高い教育を、無料で、世界中の全ての人に”

・革命は変化スピードがきわめて速いため、深い創造性と分析的思考は、もはやあったほうが良いレベルではなく、生き残るために不可欠

・学びは断片的なものではなく、つながりに気づいて欲しい

・人はいつ、どこで一番集中できるのか?答えは「人によって違う」・テクノロジーは制約から私たちを解き放つ力がある

・教育をもっとポータブル、フレキシブル、パーソナルにする力がある

・私たちの理解力には常に差がある

・標準的な教室モデルには、「いずれ理解できる」生徒を受け入れる余地がない

・ 一旦、生徒が「わかるわけない」と思ってしまったらそれまで

・仲間達と一緒に生み出すアイデアはいつまでも記憶に残る

・コンピュータによる授業は、教室での貴重な時間を制約から解き放つ


【著者の視点】

・私たちひとりひとりは、私たち全員の教育に出資している
・テクノロジーは、教育に大いに貢献できる
・学びにテクノロジーを取り入れれば、人間同士の交流にもっと時間を使えるようになる
・教育は、いかなる独断的理論にも縛られる必要はない
・わからない→わかったの間には「立ち往生」がある
・基礎的な学習をもっと効率化できないか?
・教室に折り正しく座っている間に授業の内容は右から左へ(非効率)


【学びとテクノロジー】

カーン・アカデミー
月間600万人
無料のオンライン学習プラットフォーム

教室いっぱいの仲間たちの前で、無知をさらすのではないかという恐怖心と無縁。安息の地で学習できる。

(スタート時の資源)
PC一台
20ドルのスクリーンキャプチャ
80ドルのペンダブレット
月50ドルのレンタルサーバー
事務スタッフはカーンひとり
毎日6ドルのTシャツにスウェットパンツ
予算は、自分の貯金


「カーン・アカデミー」スタートのきっかけは、いとこのナディア
オールAの生徒がたった1つの問題につまずき自信を失ってしまった。その後、カーンによる最適な学習により成績向上。


【教育のあるべき姿】

完全習得型学習
・・習得時間ではなく、理解度や達成度の目標に基づいて構成

( 研究データによると)
完全習得型学習プログラムで学んだ生徒は、みずからの学習に対する責任を引き受けるようになった


【著者のメッセージ】


・大切なのは、何かを教えるかではなく、どのように独学の姿勢を身に付けさせるか

(教育の役割)
・・いかにして学ぶかを子供たちに教えること
・・子供たちに学びたいと思わせること
・・好奇心をはぐくみ、素直な驚きを促し、自信を植え付けて、将来、まだ見ぬ数多くの問題に対すること答えを探せるようにしてあげることか

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【心に響いたメッセージ】


・自分が受けた教育を子どもに押し付けてはならない。
・教育の諸要素は、子供時代に提示すべきだが、矯正してはならない。強制されて得た知識は頭に残らない。
・どんな時も、私たちは生徒であり、そして先生でもある
・芸術とは、不要なものを削ぎ落とすこと(パブロ・ピカソ)
・思考を伴わない学習は徒労である。学習を伴わない思考は危険である( 孔子)
・無知と無教育が悪徳の基礎を築き、模倣と慣習がそれを助長する(メアリー・アステル)
・20歳であろうが80歳であろうが、学ぶのを辞めた人は老人である( ヘンリー・フォード)
・「失敗への恐れ」に対しては「だから何?」と言っておこう


【気づき】

・創造性にフォーカスした教育の必要性
・個々の才能を伸ばす教育の必要性
・誰も遅れを取らない教育の必要性
・常識に呑み込まれ、本当にやるべきことを見失わないこと
・自分が「やるべき」だと信じたことは、決して諦めないこと
・「今」に安住することなく、常にベストに向かって、改良・改善していくこと
・とにかくやってみて、フィードバックを得ること
・誰もがスタートは「小さい」
・学びには、人間的な関わりが必要・助け合いが必要
・教育はもっと、潜在能力を引き伸ばすためのものである


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