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家族で紡ぐ物語・Family Narrative

様々な形態で家庭に浸透するデジタルメディア。動画視聴やゲームで遊んだりするだけでなく、家族の大事な思い出を蓄積するデジタルツールとして欠かせない存在となっているのではないでしょうか。
ベネッセ情報教育サイトで第9回目として、下記の取材記事を公開して頂きました。

ベネッセ情報教育サイトでは、家族でデジタルメディアを楽しむ方法について提案しました。noteでは、家族で紡ぐ物語におけるデジタルの役割について触れたいと思います。

成長と共に変化する物語

Narrative Skillの研究者達が執筆している書籍「Family Stories and the Life Course: Across Time and Generations」では,生涯発達の視点からNarrativeを捉えています。
前回note「子どもが物語を作る意味とは?」では、子どもの経験を意味付けする物語の発達的な意義について言及しましたが、子ども期は日常の記憶を親に話し共有することで、言語化するスキルだけでなく自分の振る舞い方や考え方を学んでいきます。
青年期では話す相手も多様になり、これまでの異なる経験を統合しながら、根底に統一するものを探究していきます。これらの語りは「私は誰?」というアイデンティティの確立に寄与します。
成人期になると、他者は私に取って何を意味するのか?色々な出会いを通して関係の歴史を意味付けるようになり、自分の家族との関係についても一貫性を求めます。
子育て期(子どもの誕生後)、子育て中の親は,想起(子どもが自分の経験を思い出し語る)の活動を通じて子どものNarrative Skillを発達させるよう支援すると同時に,パートナーや子どもという家族の関係性の中で自身の物語も発達させます。この世代の親は,個人としてのアイデンティティの確立をほぼ終えていますが、ライフストーリーが個人を表現するだけではなく、パートナーや子どもという家族メンバーの人生とも重ね合わせるようになるそうです。

自分にとって重要な人生の出来事を他者に語る経験を通して、子どもだけでなく親も家族としてのストーリーとして結びつけ、自己の物語を語り直し、アイデンティティも物語も、生涯発達し続けるのですね!

Pratt, M. W., and Fiese, B. H. (Eds.)(2004)Family stories and the lifecourse: Across time and generations. Mahwah, NJ: Erlbaum.

家族で子どもの未来に贈るビデオレターを作成するワークショップを実践しました。家族で写真を選び、流れを作り、ナレーションを吹き込む活動を通して、家族の関係性に繋がるような家族対話が促される結果がえられました。

佐藤朝美 (東京大学)・椿本弥生 (公立はこだて未来大学)・朝倉民枝 ((株)グッド・グリーフ)(2013), 「Family Narrative支援活動 「未来の君に贈るビデオレター作成WS」のデザインと実践.」 日本教育工学会論文誌(論文),Vol.37, No3, pp.229-239.

現在、スマホやタブレット用アプリとして動画や写真を保存する多様なアプリがあります。さらにはそれらの写真を用いて簡単に動画・ムービーを作成するソフトもあります。

撮り貯めた写真や動画で家族の物語を作ってはいかがでしょうか?デジタルムービーにし、家族で観賞するのはもちろん、おじいちゃん・おばあちゃんにも共有すると喜ばれると思います。写真を選定し、ナレーションを吹き込むプロセスを通して、あなたの家族物語も成長していくことと思います!

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