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お金の赤ちゃん 5

人々は閑暇を犠牲にして富裕を得る。だが、富裕は自由な閑暇があってこそはじめて望ましいものとなる。富裕のために自由な閑暇を犠牲にしなければならないならば、私にとって富裕が何になるだろうか。

ショーペンハウアー



あなたは最近、いつ手紙を書きましたか?
最後にラブレターを書いたのは、いつですか?

大切な人に何かを伝えようとするときには自分で文字を書いて伝えたほうがいいと思うんだけど、その最後に、何千回、何万回と書いてきた自分の名前を添えてくれ。

これは、俺が大切な人に渡す最後のラブレターに、何千回、何万回と書いてきた自分の名前を直筆で添え、印鑑を押した3年後、自らの手でビリビリに破いた時の話です。

お金の赤ちゃん 「ラストラブレター(前編)」


前回のお金の赤ちゃん4 はこちらからどうぞ

ちょうど1年前に書いた番外編も是非読み返してみて下さい


2017年、俺は北海道の羊蹄山の麓、人口1万5千人弱の町にいた。
建設会社で施工管理として働いていた俺は、月曜から土曜まで夜中まで働き、土曜の深夜に札幌に帰って月曜早朝に札幌を出発するという生活を続けていた。
終わることのない激務と浴びせられる叱責の数々に疲弊し、何度も建設中の建物屋上から飛び降りてやろうと思った。

今こうして赤ちゃんとして生まれ変わり、学ぶ喜びをかみしめているので、生きてるだけでなんちゃらカンチャラと言っていたあの怪獣の言葉も少しは理解できるようになったが、当時の俺は仕事という絶望と戦うことに必死だった。

当時の彼女とはじめた同棲も、開始3か月で音信不通になり、心配で家に帰ると彼女の荷物がすべてなくなり家はもぬけの殻となっていた。
俺は土曜の深夜から月曜の早朝までしかいないので、平日さみしいだろうとプレゼントしたWii Uも無くなっていた。俺スプラトゥーン2時間しかやってないんだぞ。勘弁してくれ。

そんなこんなで精神的にも肉体的にも参ってしまい、実家(出張であったが、工事現場と実家が近かったため、実家から通勤していた)でくさくさとする日々が続いた。

そんななか、実家にいる親父がこう切り出した。

「お前も社会人になったんだ。保険に入ったほうがいいんじゃないか?」

人間が生まれてきて、最初に受ける愛と教育は、親からであることが多い。
赤ちゃんにお金の教育をするのも親からであったようだ。

しかし、父の言葉には、何も興味が持てなかった。第一、保険ってなんだよ。知らねーよ。

小さいころ、月に1回、近所のおばさんのところに連れていかれて、そこで母がお金の入っている封筒を手渡しているのを見た記憶がある。当時母は、「あれは、ガクシホケンって言って、これからあなたが中学・高校・大学と進学するときのために預けているお金なのよ」と教えてくれた。その保険と一緒か?おいおい、赤ちゃんの母、めちゃくちゃ堅実じゃね?愛に溢れてないか?書いてて涙でそうになってくるぜママン


特に返事もせず、目線を合わさない俺に父はこう続けた。

「話だけでも聞いてみないか?担当の女の子、すごく美人だよ。」


俺はソファーに預けていた重い体を機敏にスッと起こし、

「俺の連絡先を伝えておいて。日取りと場所の段取りは自分でやるので。こういうことはちゃんと判断したいから、俺だけで話を聞きに行くわ。」


こういうところだぞ佐藤ミツル、キャバクラで「もう少しでダウンタイムだから…」と延長しまくってバイト代を全部使ってみたり、好きな女の子に深夜に会いたいがために、往復2時間かけて自転車で南郷通を爆走したり、ほんの少しだけ猪突猛進なところがたまにキズといいますか、可愛いところあるんスよね、本当。

そんなこんなで実際に保険営業担当の方に会ってみると、これが本当に美人で、保険の話なんか何にも頭に入ってこなかった。残ったのは適切にマーカーで線入れされた大量のパンフレットと、申込書の控えだけだった。

最初は総合医療保険?だかってやつで、医療保険と介護保障、ガン保証などがセットになっているやつだったと思う。年齢や家族構成、現在の状況に合わせて適切に提案してくれていたはずだ。知らんけど。

その後、何か月か経った後にまた電話がかかってきた。

「老後に備えて、個人年金というものに加入しませんか?まずはお会いしてお話だけでもいかがですか?」

俺の老後のことまで一緒に考えてくれるのかよ。もう決めた!アンタしかいない!これから先もずっと俺のそばで老後のことまで考えてくれ!
と、話を聞いて即決し、月に1万2千円くらいの個人年金を申し込んだ。
もちろん、何歳からどういう条件でいくらもらえるのかなど、一切覚えていない。覚えているのは美人の笑顔だけだ。君は僕の太陽だ。眩しい光はエネルギーなのだ。

そんなこんなであっという間に合計で月に2万2千円くらいの申し込みを行った。当時は1人で暮らしていくには十分すぎるほど手取りも多く、全然何にも考えていなかった。全然何にも考えていないから貯金もなかったけど。

そして、それから1年半後、俺は転職する。
そこからのお金の推移は、「お金の赤ちゃん 1|サトウミツルレッド|note」に書いてあるので、興味がある稀有な方は読んでください。


というわけで、手取りが半分になって焦った俺は、すぐさま美人に電話する。

お金の赤ちゃんこと佐藤ミツルレッド(以下、赤ちゃん)
「転職して収入が減ったので個人年金を解約したいです。老後の心配より、今の自分が心配です。」

生命保険営業の美人(以下、美人)
「可能ですが、申し込みから期間が浅いので、戻ってくる額が少なく、損してしまいますよ…?」

赤ちゃん「そうなんですか?そんなことどこに書いてありますか?」

美人「申込時にお渡ししたパンフレットの中の…」


あ、書いてあった。しかもご丁寧にマーキングまでしてありました。
話を聞かず、何も考えていないことがここで仇となり、ボディーブローのようにじわじわと効いてきます。ボディーブローをくらったことがないので、どのくらいのじわじわさかはわからないけど。

赤ちゃん「いや、戻ってくるだけラッキーなんで、ガツンと切っちゃってください。あと、保険料も下がりませんか?」

美人「残しておいた方がいい保証と、金額が下がってもいい保証をご相談させてください。」

赤ちゃん「なんか適当にまんべんなくやっちゃってください!どうせ近々結婚の予定もなければ仕事をやめる予定もないので!」


また悪い癖が出ているぞ、佐藤ミツル。そういう時にちゃんと考えないから後々困るんだ。

こんなチャランポランにも、「これは残しておいた方がいいと思います!」など、親身になって考えてくれた美人に今となっては感謝、感謝です。(プロアクティブ)

そうして保険料を月7000円まで下げた。

しかしある日、TVを見ていると、敬愛する博多大吉先生がこんなことを仰っていた。

「保険の見直しが必要なのでは?」


次回、お金の赤ちゃん 6「ラストラブレター(後編)」

大吉先生に感化された赤ちゃんは、ほけんの窓口的な、いろんな保険のこと知ってそうな人がカウンターにいる店にいきます。そこで出会ったFPババア(敬愛の意を込めています)とすったもんだする話です。乞うご期待!


☆今回のサポートスポンサー☆

札幌市 30代 男性
¥30,000
「ピグスティに全額寄付しろ○すぞ」

過去に例を見ないスーパービッグサポート、まさかの5ケタ、ありがとうございます!
これは、前回の番外編、佐藤ミツルレッド(MAPPY、スナック佐藤)が《勝手に》応援メッセージを書きました。《非公式》|サトウミツルレッド|noteを書いたときにいただいたサポートです。趣旨的にこのほうがいいのでは?ということで、このお金でPIGSTYのクラウドファンディング支援をし、返礼品を代理で届けました。これはさすがにシビれましたね、嬉しくて大笑いしました。彼には、高校2年の授業中、もみあげを直角に切られるという事件がありましたが、過去に漏らしたウンコと一緒に水に流しました。ちなみに彼には佐藤がウンコを漏らすたびに報告の電話をしていますが、いつも喜んで聞いてくれます。こういう経営者の下で働きたいものですね。


札幌市 30代 男性
¥500
「応援してます 〇○」

これは、いつもより少し長い本日の孤独のコーナー|サトウミツルレッド|noteを書いたときに頂いたサポートです。○○には、文中に登場するヤンキーの名前が入りますが、報復が怖いので伏字にしております。いつもありがとう!夏にもらったTシャツ、大事に着てるぜ。家族は元気か?嫁にもオカアカ更新されたよと伝えてくれよな。


様似町出身 30代 男性
¥500
※コメント非公開

何の気なしに狸小路1丁目を通ると、必ず彼と遭遇する。仕事中にもかかわらず、くだらない話を聞いてきれて、しまいには弦交換もしてくれる(佐藤は致命的に弦交換がヘタクソ)
いつも読んでくれてありがとう!クラウドファンディングの記事をリツイートしてくれたものすごいうれしかった。
貴重な同い年のバンドマン、これからも佐藤を見捨てないでくれ。


他にも2021-2022は数々の方から多数の支援を頂きました。
直接お礼をしたいところですが、こちらにて失礼します。
何件かサポートを頂いた直後、泥酔からさめたらウマ娘に10000円課金してガチャ回していたことも今となってはいい思い出です。


同情するなら酒奢れ…同情するなら…

引き続きのサポートをお待ちしております!
あなたのサポートで今夜のビールがバーリアルからエビスに変わります!


☆告知のコーナー☆

私がギターを担当してる、MAPPYというポップスターバンドが、ライブをやります!!!!!!

12/10(土)
~SNAP PUNCH MOMENT presents~
  『On Your Mark』at Pigsty

open 18:00 / start 18:30
adv¥2000 / door¥2500

・SNAP PUNCH MOMENT
・THE BOYS&GIRLS
・YUKIGUNI
・Pampas Fields Noise Found art
・MAPPY
・SUPER NOW

Drink スナック佐藤

ちなみにドリンクのスナック佐藤というのは、佐藤ミツルレッドと、サトウアヤカが切り盛りする移動式ライブハウススナック(斬新!)だ!酒飲ませろ!

ご予約は適当にメッセージ等ください!

同情するなら酒奢れ…同情するなら…