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目から鱗のハウツー営業㉓【ビジネスマナーの本当、本当のビジネスマナー】

自身のビジネスマナーに問題はないのか?
お客様に「この営業職、常識ないな。」と失望されてはいないか?
そんな不安に駆られることはありませんか?
 
私は「営業という仕事の真の姿」をお伝えしたいと思い、このシリーズを続けています。
皆さん、こんにちは。
サトミ営業相談所の川端です。

ビジネスマナーとは?


今回のテーマは「ビジネスマナー」です。
ビジネスマナーとは、ビジネスにおいて取るべき言動、或いは控えるべき言動のことです。
ビジネスにおける常識ある行動と言い換えてもいいと思います。
もう少し具体的に言えば、場面ごとの適切な立ち振る舞い、言葉遣いがそうでしょうし、相手に悪い印象を与えないメールの書き方・送り方などもそれに該当するでしょう。
 
一方で、おそらく営業職の大半はキャリアを積み重ねる中で、自然と身に付いたと思っているはずです。
或いは、上司や先輩、場合によってはお客様に指摘されながら、身に付けたモノもあるはずです。
もう少し意欲的な方であれば、ビジネスマナーをまとめた本を読んだり、そうしたセミナーに参加したこともあると思います。

あまり知られていない【ビジネスマナーの本当】


そんな営業職の皆さんに私がまず伝えたいと思います。
それは

【皆さんが思っているようなビジネスマナーなど存在しない】
ということです。
 
解説します。
恐らく多くの方は漠然と、
全てのビジネスパーソンが共有するビジネスマナー、
=誰からもマイナスの評価を受けないビジネスマナー、

つまり
【ビジネスマナーの正解】が存在すると思っているはずです。
それがあると信じて疑わないからこそ、そのような内容の本を買ったり、誰かが言う常識がそれに該当すると思い、耳を傾けるのです。
 
しかし、そのようなモノは世の中のどこにも存在しません。
何故そう私が言い切れるかというと、ビジネスマナーを教える上司もセミナー講師もビジネスマナー本の著者も、誰かに聞いたり、読んだ本の内容をまとめたに過ぎないからです。
要するに、伝聞です。
そして、その時の参考になった資料や著書も、全て伝聞です。
 
『重点的に取り上げた内容が異なるだけで、もともとの常識やマナーは同じものでしょ?』と思った方は是非複数のビジネスマナー本を読んでみてください。
勿論真逆の内容ではありませんが、そこで紹介されているビジネスマナーの内容やビジネスパーソンとして身に付けるべき常識はそれぞれ少しずつ異なるはずです。
それは
ビジネスマナーにおいて、『元を辿れば、全てはこれに到達するというたった一つのモノ』がないからです。
 

ビジネスマナーとは要するに、常識です。
ある日突然生まれた訳ではなく、歴史や文化や慣習の積み重ねの中で少しずつ、育まれ、また我々の中に根付いてきたものです。

解釈の仕方も受け止めた人によって異なりますし、温度差もあります。
こうした流れから、常識は一つの形に留まることはありません。
どこかで固定化する、ということもありません。
人々の間で共有する部分も数多く存在するが、意見が分かれる部分も必ず生まれるということです。
これでは全てのビジネスパーソンに通用するビジネスマナーなど生まれようがなく、現実にはそれぞれに持つ常識が実は結構異なるということになります。

本当にあった話1⃣


私が知るある上場企業の役員はメールの宛名を、
【〇〇社長様】
などのように役職の後に様をつけて送っていました。

※ビジネスマナーとしては『社長』という役職そのものが敬称であるため、その後に『様』をつけるのは二重敬語となり、誤りであるとされています。
 
こうした方は意外といます。
 
ここで以下のような疑問を持ちませんか?
 
・どうしてこれまでにその誤りに気付かなかったのか?
(メールのやり取りの中で自分宛てに来たメールの宛名で違和感を覚えなかったのか?)
・誰も指摘してくれなかったのか?
 
その答えは実にシンプルです。
・その宛名で送られた本人にとっては指摘するほどの問題でもなく、恐らく何十年も誰一人指摘しなかった。
(立場が上がるにつれ、どんどん指摘されにくくなった)
・それで違和感を抱かない人も多い。
恐らくその程度の理由です。
 
このような例は実はそれほど珍しいことではありません。
極論でも何でもなく、常識やビジネスマナーとはその程度の影響力しか持たないモノとも言えますし、それほど共有していないモノと捉えることも可能なのではないでしょうか?
 
 
こうした事からも分かるように、実は全てのビジネスパーソンが共有すべき【ビジネスマナーの正解】など存在しません。
この方が無難だろうという経験則が何となく漠然と積み上がっているだけのことであり、それすらも誰かがどこかで聞いてきたモノの集合体であり、確固たるものなどではありません。

ある状況下での
Aという行動
Bという行動、
どちらがビジネスマナーとして問題ない行動かと意見が分かれた場合、こちらが常識的であると判断できる者などいないのです。
このことは異常などではなく、そのようなモノが存在すると思い込んでいる方が誤りであると私は思います。

本当にあった話2⃣


分かりやすい実体験を挙げます。
今から20年ほど前、私が社会人になり、営業職としてデビューした時は、大事なことほど直接会って、お客様に説明するのが当然の行為でした。

見積りなどはその最たるものです。
しかし、現在はどうでしょう?
今や大事なことほど、形の残るメールや文書にして欲しいというお客様が増えたのではないでしょうか?
たった20年で常識が真逆になった典型例だと思います。

本当にあった話3⃣


もう一つ、今度はプライベートにおける身近な例を挙げましょう。

例えば、私は同じマンションの住人の方と顔を合わせたら、「おはようございます。」「こんにちは」などと挨拶をします。
しかし、挨拶を返してくれる方、或いはその方から声を掛けてくれる方はいつも決まっています。

「若い人は挨拶をしない人も多いのだろう」と想像した方も多いでしょうが、事実は違います。
学生さんでも挨拶をする人はいますし、逆に私より年配の方でも挨拶をしない方は多いです。
挨拶はビジネスにおいても、プライベートにおいても、ビジネスマナーの基本中の基本として、位置付けられているモノだと思います。
その挨拶ですら、これが現実なのです。
 
では、挨拶をする方は常識やマナーを持ち合わせていて、しない方は非常識であると捉えるべきなのでしょうか?

そうではありません。
私はプライベートにおいてもビジネスにおいてもこのように考えるようにしています。

【一人一人の持ち合わせている常識の範囲や広さが異なる】と。
ビジネスにおいては特にこのように考える方が理に適っています。
 

誤解のないように言っておきますが、私はビジネスマナーや常識など無意味で不要だから、身に付ける必要などないとは一言も言っていません。
常識やビジネスマナーが何かを把握し、それを自分が無難にこなすのはビジネスパーソンとして当然の行為だと思います。
お客様や周りの人間に安心感を抱かせ、不安を抱かせないのはビジネスの基本だからです。
 
その一方で、どこかに常識やビジネスマナーの正解があると思えば、それを持たない人間に対して批判的になってしまうだけではないでしょうか?
お客様が自分とは異なる常識やマナーを持っている時に、『相手に常識がない』、『ビジネスマナーを知らない』と批判して、何か一つでもメリットがあるでしょうか?
何か問題が解決するでしょうか?
私は何一つないと思います。
 
一人で成立・完結するビジネスなどありません。
必ずお客様と何らかの形でコミュニケーションを取ることが必要になります。
会社やお店であれば、上司や先輩、後輩、部下、様々な人とのコミュニケーションが必要になります。
その時に、先程のように「ビジネスマナーの正解が存在する」という思い込みは誤りであるだけでなく、他者への押し付けや批判を生む危険な行為です。
 
そのようなモノは存在しない前提で、
『相手(お客様)はどんな常識やマナーを持ち合わせ、何を考えているのか?』と分析することからスタートする方がはるかに良いでしょう。
勿論、その結果として、そのお客様との取引や付き合いを見直すことがあっても構いません。
ビジネスは金儲けですから、利益やメリットが乏しい場合は当然の判断です。
ただし、元々ないビジネスマナーや常識の正解をある前提からスタートするのが謝りだということです。
 
そういう意味では、ビジネスマナーなどの著書は自身の常識ある行動の為に参考までに読むか、出来るだけ複数読む方が理に適っていると思います。

ある1冊のビジネスマナー本さえ読みそれを身に付ければ、『全てのお客様から「常識ある営業職だ」と評価されるはずだ』などと思い込むのは誤りだからです。

本当のビジネスマナー、営業という仕事の真の姿


では、自分のビジネス活動においては何の制約も必要ないのかと言われればそれはそれで違います。
 
私は思うビジネスマナーは以下三つだけです。
約束を守る(自分が口にしたことは守る、出来ないことは言わない)
相手の立場を尊重する
自分に非があれば、謝罪する

 
ビジネスパーソンというより、一人の人間として基本的な行動ですね。
 
 
 
しかし、一見当然に見えるこの程度の基本的な行動を何年も守り続けるビジネスパーソンは全体の1割もいません。
 
こうしたことを着実に積み重ねる、
そして何より成果を出すために常にベストを尽くすのが
最大のビジネスマナーであり、
お客様の信頼を勝ち得る方法なのではないでしょうか?

そして、それこそが、営業という仕事の真の姿ではないでしょうか?
 

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