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読書関係

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読んだ本の自分の感想を中心に。
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#ネタバレ

『総選挙ホテル』 傍観者で生きていくよりも

 自分のやりたいことをやることと、主体的に生きることは、違うらしい。 『総選挙ホテル』,…

さとみん
4週間前
7

『傲慢と善良』 ○○活と呼ぶことで迷走するもの

『傲慢と善良』,辻村深月著,朝日新聞出版発行,2019年刊行  友人内で定期的に行っている読書…

さとみん
4か月前
7

『ずっとお城で暮らしてる』 

『ずっとお城で暮らしてる』,シャーリイ・ジャクスン著,市田泉訳,東京創元社発行,2007年刊行 …

さとみん
8か月前
3

『悪魔が来りて笛を吹く』 本当の悪魔は笛を吹かない

『横溝正史自選集 5 悪魔が来りて笛を吹く,横溝正史著,出版芸術社発行,2007年刊行』  NHK BS…

さとみん
9か月前
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『華氏451度』 本より先に失われたもの

「華氏451度」は名作の誉れ高過ぎて、またあまりに啓蒙主義っぽそうな匂いがしていて、何より…

さとみん
1年前
7

『文字渦』 個人の妄想の限界を見る

『文字渦』円城塔著,新潮社,2021年発行  結論から言うと、私とはあんまり相性のよくない本だ…

さとみん
1年前
3

『コンビニ人間』 受け容れやすい機械、受け容れられない人間

 偽の問題が提示されて、偽の解決が描写され、何となくカタルシスが広がる。そしてもっと深刻な真の問題が隠蔽される。  という構造が、何とも気持ちの悪い小説だった。  出てくる登場人物や描写が、絶妙な滑稽さと愛らしさを持ちつつ、気色悪さを配分されているので、湧き出てくる気持ち悪さの原因もそこなのかと誤解しそうになる。そういう語りの底意地の悪さがあるので、カタルシスはあるのだけど読後感が悪いという、珍しい感想になった。 ★★★  物語自体は、人間社会の感情ルールになじむことが