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仕事と育児に追われる朝。自分へのエールを贈るために、メイクをする。


おおよそ4年ぶりにデパコスを買いました。

きっかけは実母へDiorの口紅をプレゼントするため、駅ビルのデパコスコーナを訪れたことです。
Diorの口紅コーナをさまよっていると、背後から「何かお探しものですか?」と声をかけていただき、何気なく振り返って顔を上げたわたしは、気がつけば衝動的にその美容部員さんに声をかけていました。

「そのアイシャドウ、どこのですか?」

20代後半くらいのスタッフさんでしょうか。その方がされているアイメイクがものすごくわたし好みで。

唐突に訊かれてきょとんと目を丸くした美容部員さんでしたが、すぐに笑顔でアイシャドウの銘柄を答えてくれました。

「最近発売されたばかりのDiorの新作アイシャドウです。よかったら試してみませんか?」

そのお言葉に甘えて、さっそくタッチアップしていただくことに。

リニューアルされたばかりの新作アイシャドウ、「ディオールショウ サンククルール」。お色は743番「ローズチュール」。


パレットを開けてみると、まばゆいばかりの高発色。明るくきらめくピンクがメインのアイシャドウパレットで、パーソナルカラーがブルベ夏(5ヶ月前にプロの方にパーソナルカラー診断済み)のわたしにはぴったりなのだそう。

ドキドキしながらそっと触れてみると粉質も軽やかで柔らかい質感で、煌めく繊細なパールも魅力的。見てるだけで惚れ惚れしてしまう。

早速ベースメイクからタッチアップしていただき、そのクッションファンデがものすごく良くて。(これもDiorの新作、クッションファンデ)

肌のツヤ感やトーンアップがわたしの理想的な仕上がりで、テンションは上がりっぱなしです。

元々わたしは、メイク用品、特にデパコスが大好きでした。

独身時代、バリバリ働いていた頃はシーズンごとに発売される新作アイテムや限定品をこまめにチェックしたり、好きな美容系youtuberのレビュー動画を参考にしながら、実際に百貨店や駅ビルに足を運んで試してみるのが休みの日の楽しみのひとつだったんです。

特に美容部員さんからタッチアップしてもらう時間は至福の時間でした。やっぱりプロだからアイブロウの使い方とか、アイシャドウのグラデーションの仕方とかとっても上手で。

その技術力を得たいがために気になることやポイントを質問して実践したり、味を占めてきたら自分なりに応用してメイクを変えてみたりと楽しんでいました。

今回のタッチアップは数年ぶりで、この日は特に暑い日だったので化粧もヨレヨレ。しかし美容部員さんの手にかかれば劇的に変わります。

いつもと違う華やかな仕上がりに、胸が弾んでくる。
長年、心の奥に眠っていたドキドキ・ワクワク感が湧き出てくるようのあの感じ。

鏡に映し出される自分の顔を見つめながら

そうそう。
わたし、本当はものすごくメイクが好きなんだよなあ。

当時の気持ちを思い出すかのように、しみじみと感慨に浸っていました。

どうしてそんな気持ちを忘れていたんだろう?

そんなことを考えたとき、やっぱり出産・育児のライフスタイルの変化が一番大きい要因なのかなと思いました。

実はわたし、産後にげっそり痩せたことや育児疲れによる顔のやつれと直面するのが嫌で、鏡を見ることに辟易していた時期がありました。

独身時代、バリバリおしゃれできていた時代と比較して、変わり果てた今の自分の姿と向き合うのが怖かったんだと思います。

そのころは本当に肌がボロボロで、服も別に着れればなんでもいいや、という精神。
というか初めての育児ということもあって、実家も義実家も頼れない環境で、とにかく何もかもが精一杯で、スキンケアに時間を費やすくらいなら少しでも寝ていたかったし、体も心も疲弊していたのでおしゃれがしたいとかそういう欲求すら湧いてこなかったんです。

それで久しぶりに実家に帰って、変わり果てたわたしの姿を見た実母が、

「あんたオシャレしなさい!」って延々と言ってきて(笑)。

当時は「もう放っといてよ!」としか思っていなかったのですが、今思えば、あのときの母が言った「あんたオシャレしなさい!」の言葉の裏には「あんた自分を大事にしなさい!」そういう意味が含まれていたんだろうなって、今になってはっきりとわかります。

それをきっかけに母がわたしに似合うような服を買ってきてくれたり、わたしの肌があまりにもボロボロだったことを本当に気にしていたみたいで、自分が使っている高級スキンケアを一式ぜんぶわたしのために購入してプレゼントしてくれました。

それもあってか、わたしの肌荒れは見事に回復、肌のハリを取り戻せたのは母のおかげといっても過言ではありません。(本当に感謝。。)

もしかすると母は、育児で変わり果てた娘の姿を見るのが辛かったのかもしれません。

そんなことがあったりもして、さすがにスキンケアはちゃんとしようと思い直して気を遣ってはきたものの、メイクに関しては特に気にすることもなく。

さらにその頃のわたしはとにかく節約・貯蓄脳で、自分のために使うくらいなら娘のためにぜんぶ使いたい、残しておきたいと思っていましたし、当時は専業主婦で働いてもいなかったので自分のためにお金を使うことに罪悪感がありました。

別に誰から言われるわけでもないのに、”専業主婦なんだから我慢するのは当たり前”だと当然のように思っていたんです。

でもそんな思考でいると、いつしか自分のことを大事にできなくなってしまう。
”こうあるべき”思考に囚われすぎて、自分の好きなものや自分がどんな人間なのかわからなくなってしまったりするんですよね。

今年の4月から娘が保育園に通い始めたこと、わたしもパートの仕事を始めたことで少しずつ心にも余裕ができてきました。とはいえ、メイクを楽しむ時間というものをずっとおざなりにしてきたので、当然毎日の化粧はズボラもいいところ。

プチプラで購入したものでさっと仕上げて、特に平日の朝はバタバタと忙しく時間に追われているのでメイクの時間をついつい後回しにしてしまったり、家族でお出かけするときもとりあえずマナーとして軽くメイクしとくかと、義務感でする感じ。

メイクしていて、ワクワク&ドキドキしたのっていつだろう?

もう思い出せないくらい、遠い記憶になっていました。

だからこそ、出産してからずっと忘れていた「自分はこれが好きなんだ!」という感覚を取り戻せたような気がして、今回の体験はとっても嬉しい出来事でした。


ではどうしてわたしはメイクが好きなんだろう?って振り返ったとき、

わたしにとってメイクは、自分と向き合える時間であり、もっとも手近に自己実現できる手段でもあるからだと思います。

たとえばメイクに熱中していた20代の頃は、綺麗でいたいという強い思いから、youtubeのメイク動画を見て研究したり、なりたいイメージに近づくためにはどんなふうにメイクを施した方がいいのか試行錯誤していたし、納得のいくメイクに仕上がった日は朝から幸せな気分で、その日一日をHAPPYな気分で過ごせていました。

生理前で顔色が悪い気がするから、血色感をプラスできるようなメイクを意識してみようとか、今日は肌の調子が悪いから、ベースメイクだけにして肌のメンテナンス日に切り替えようとか、少し日焼けしてしまったから、夜はパックで十分に保湿して肌を労ってあげようとか。

その日のコンディションに合わせてスキンケアやメイクを使い分けることは、自分と向き合っていたからこそできていたことだし、納得のいく仕上がりになるまで試行錯誤して、なりたいイメージに近づけた日は自分のことがもっと好きになれた気がしたし、自尊心も上がっていました。

「メイクのパワーに、自分の内側を引っ張ってもらえたような感覚」。

この感覚を思い出せたことは、子育て中で自分を見失いがちなわたしにとって、ものすごい力になりました。

そんな感じで、この日わたしは気に入ったデパコスをいくつか購入しました。(基本的にDior。昔から大好きなんです)


最近まではめんどくさいと思っていた朝のメイク時間が、今はすごく楽しい。

仕事前、「行きたくないなあ」と憂鬱に感じていても、自分が好きなコスメを使っていつもより少し丁寧にメイクしただけで、なんだか自信が湧いてくるし、不思議と今日も1日乗り越えられる気がする。

仕事で理不尽なことがあっても、「いやいやなんてことないわ!だって今日のわたしのメイク、Diorフル装備だし!笑」なんて自分自身を励ましたりして、無意識に負の感情に引きずられないような思考力を身に付けたりなんかして。

メイクやコスメのパワーってすごいんだなぁと感じる日々です。

そして今、20代の頃と変わったことがひとつあります。
あの頃はただ綺麗になりたい!と思ってメイクしていました。

でも今は、これから始まる今日1日への期待を込めてクッションファンデを塗るし、今日も1日自分らしく過ごせるようにという思いで最後の仕上げにリップを塗ります。

もっと自分が好きな自分になりたいし、なんだか不思議となれるような気がしてくる。今ここに集中することで、ブレない軸、自分軸も養えるような気がする。

お気に入りのデパコスはわたし自身を強くさせてくれる。

育児に家事に仕事に、日々頑張っている自分へのエールも込めて、これからもわたしはメイクを楽しんでいけたらいいなとおもいます。


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