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「ちょっと読んでみた」風、ゆる英語読書のすすめ

日本語なまり、上等!|さとう碧 (note.com) を読んでいただいたみなさん、ありがとうございます!

今回は、「ゆるく気楽な英語読書のすすめ」です。


夢のはなし


「英語で夢を見るようになったら、もう英語は大丈夫!ってことらしい。」

そんな根拠のよくわからない話を繰り返し聞き、いつになったら英語の夢を見るのかなぁ、と楽しみにしていました。
そして、留学して2、3か月たった頃、とうとう見ました、英語の夢。
夢の中で、バサバサと崩れ落ちる本の山に埋もれた私は、繰り返しこう叫んでいたんです。

「アイ キャント リード! アイ キャント リード!」

留学一年目の悪夢


これが記念すべき英語の初夢でした。。。

元は短大の国文科で、英語の授業が嫌いだった私は、行けば何とかなるだろう、とロクに英語の勉強をせずに渡米し、しかも早く英語を話せるようになるためにと日本人の少ない大学を選び、時間がもったいないとESL(非英語ネイティブのための英語授業。最近はENLということが多いようです。)をすっ飛ばし、さらに3年生に編入学したので、いきなりちょっと難しめの教科書をたくさん読まなくてはならない、という我ながらあきれるような状況に自分を追い込んでしまっていました。

本気で読もうとすればするほど、あせればあせるほど、前に進めない。
わからない単語をいくつ辞書で引いても、それぞれの単語の意味がわかるだけで、文章全体の意味は分からないまま。
少し読んでは戻り、をくり返し、結局ひと晩かかって1ページも読めない、なんてこともありました。

そんな夜に見た夢。今となっては笑い話です。

日本人は、会話は苦手で読み書きは得意?


勉強をしてこなかった私の英語がひどかったのはあたりまえですが、語学留学ではなく、大学または大学院卒業を目指す日本人留学生の場合、しっかり受験勉強をしてきて、語彙、文法ともに十分すぎるほどの知識のある人、名門大学を卒業した人、TOEFLで高得点を取って留学に臨んだ人でも、私の知る限りでは全員が、英語には苦戦していました。

そして、恐ろしいことに思い当ってしまったんです。

あれ、私たち、会話だけじゃなくて、読み書きも苦手だったの?

よく聞く「日本人は、会話は苦手だけど読み書きはできる」って話は、なんだったんだろう。。

世界中からアメリカに来ている人たちの中には、カタコトでも臆せずどんどん話す人や、アルファベットをまだ書けなかったりする人がたくさんいます。だからそういう人たちの中にいると、確かに、日本人は会話は苦手でも読み書きはできるんだな、と思います。
でも、英語ができるのを前提とした大学の教科書を読んだり、リポートを書いたりをアメリカ人のクラスメートと肩を並べてやるとなると、話は別でした。

子どもの頃から読書が好きだったのに、「読む」ことがすっかり怖くなってしまい、日本語ですら読みたくなくなるほどでした。

それでも、単位を落とさないためにはイヤでも読まないといけなかったので、私なりに、どうすれば少しでもラクに短い時間で読めるようになるか、いろいろと工夫するようになり、少しずつ、ゆっくり、ゆるくなら、読むのもそれほど悪くない、と思うようになっていきました。

そして今、完璧な「長文読解」ができているかはともかく、仕事でも学業のためでもなく、自分のためだけに英語で読書をする時間を楽しんでいます。

ちなみに、初めて楽しんだ「読書」は、ファッション誌です。
誌面のほとんどが写真で、あまり読めなくても満足できるので、教科書にうんざりしていた私にとっては、ぴったりの入門書でした。

必要なものは、すべて頭の中にそろっている


英語で文章を読むのに必要なものは、最低限の語彙と、ごく基本的な文法、そしてなにより慣れです。
本来、中学2年生くらいの英語の知識があれば、たくさんのものが読めるはずなんです。
でも、読めない(と感じる)。なぜでしょうか。

語彙力は必要?


読めないと感じる一番の理由は、おそらく語彙でしょう。

英語を勉強するならまずは英単語、と思う人も多いのではないでしょうか。実際、書店には単語力を伸ばすための本が、イヤというほど売っています。
「英語の勉強」ならそれもいいと思いますが、英語で「読書」をするために語彙を増やす必要はありません
どれほど語彙を増やしても、必ず、知らない言葉は出てくるからです。

それなら逆に、知らない言葉があっても読み続けるのに慣れる方が、よほど効率がいい。


私たち日本語ネイティブスピーカーの中で、日本語の言葉をすべて完璧に知っている人って、いるのでしょうか?
いないと思います。
言葉は絶えず変わっているからです。

新しい言葉が生まれ、古い言葉が消えていく。この動きは止められません。今の日本語は、平安時代の言葉とはかなり違います。
千年と言わず、たった1年でも言葉は変わるからこそ、毎年、流行語大賞がニュースになるんですよね。

誰にでも知らない日本語はあるはず。
あるけど、私たちは何の支障もなく日本語でいろいろと読んでいます。
なのに、英語を読むとなると、すべての単語の意味が分からないと読めないと思ってしまう人が多いのです。

知らない単語を見つけるたびに辞書を引いていたら、英文そのものに集中できず、頭の中は、英語と日本語を行ったり来たりで、いつまでたっても進みません。
実際に私は、留学初期、一晩中辞書を引き続けても、ほんの数ページもろくに読めませんでした。
でも、知らない言葉はどうせたくさんあるんだから、と開き直って辞書を引くのをやめたと同時に、少しずつ、英語が英語のまま頭に入るようになり、読めるようになっていったのです。

つまり、

「英単語を知らないから読めない」のではなくて、「英単語を知らないと読めない、と思い込んでいるから読めない」のです。

そういう意味で、語彙は、単語を知らないと読めないと思い込んでしまっている人にとっては、「読めない」一番の理由です。
でも、本当に必要なのは「慣れ」なのです。

足りないのは、「慣れ」だけ

もし英語を読むのに慣れていたら、知らない単語のひとつやふたつ、涼しい顔でスルーできると思います。

例えば、本を読むのが好きな子どもは、対象年齢が上の本を読むようになりますよね。
そうすると、知らない漢字があったりする。でもいちいち調べたりはしないし、毎回親や先生に聞いたりもしないでしょう。
そのまま読み続けているうちに、前後の文脈から大まかに意味がわかることを知っているからです。

英語で文章を読むのに必要なのは、最低限の語彙と、ごく基本的な文法、そしてなにより慣れ、と前述しました。
高校で習うような文法は、読むにも書くにも、あまり役に立ちません。

(特に、「書く」に関しては、かえって邪魔しているのではないかと思うくらいです。これについては、次回書きたいと思います。)

つまり、「慣れ」以外のすべてを、みなさんはすでに頭の中に持っているのです。
あとは、場数を踏むだけです。


先ほど、「日本人は、会話も読み書きも苦手」ととれるような書き方をしてしまったので、ここで訂正します。

「日本人は、会話も読み書きも、慣れていないだけ。」

日本人に圧倒的に足りないのは、場数です。

みなさん、英語を読むのは好きですか?


私は大嫌いで大の苦手でした。

なぜ嫌いだったか、苦手だったか、ハードル高く感じたか。

それは、
楽しくないから。
あまりやったことがないから。

多くの人にとって、理由はこのふたつに集約されるのではないでしょうか。

教科書は読んでもつまらないし、受験勉強などで「長文」はたくさん読んできた、という場合も、本一冊を読み切った経験のある人はそう多くはないのではないかと思います。
でも、経験値はいくらでも、これから上げていくことができるのです。

そして、やったことがないことを上手にできる人はいないのだから、うまくいかなくても、気にする必要なんてないんです。

気に入ったものを手に取り、「和訳できるほどしっかり理解できているか」なんてまったく気にせず、自分のペースで、好きなように「ちょっと」目を通してみる。(逆に、和訳はしない方がいいんです。)

誰に報告する必要も、いつまでに、という期限もありません。
好きな時に、好きなだけ。
気に入らなければ読むのをやめて、他を探せばいいだけです。

読み始めてみて、もし「難しい、ムリ!」と感じても、「読めない」のではなく、「この本は今じゃない」だけです。

いつか再チャレンジしたらすんなり読めるかも。
それでも難しく、読むのがつらいと感じるなら、その本は、単に「向いてなかった」んだと思います。

本も雑誌か何かの記事も、英語で書かれた文章は、この世に星の数ほどあるのに、ひとつふたつ自分に向いてなかったからって、気にする必要なんて、まったくありません。

次行こ!次!


読むものは、なんでもOKです。
唯一のルールは、好き、または興味のあるもの

絵本、児童書、小説、ビジネス書、好きな映画の原作本、雑誌。
もともと読書好きなら、好きな本の英語版、などなど。

天文学的な数の本、雑誌、ネット記事。
読みやすさも内容もいろいろです。
探せば、きっと、気に入るものが見つかるはずです。

読み終える必要もありません。

気に入ったものをパラパラっとしてみる、この繰り返しで、英語へのハードルは下がっていき、必ず、少しずつでも読めるようになっていくのです。

日本人は、自信をあまり持っていなかったとしても、学ぶことへのポテンシャルは世界トップクラスに高いのだから。


そして、読めるようになると、書けるようになる、という大きなオマケがついてきます。
逆を言うと、読めないうちは、なかなか書けないんです。
(書くこと自体はできても、自分の意図したとおりに伝えるのは難しい、ということです。詳しくは次回、書きたいと思います。)

なにか気楽なものを手に取り、パラパラとやってみて、ちょっとでも楽しく思えたら、あなたと英語との距離は、ググっと縮まっているのです。

ゆるく楽しく読む本を、探してみませんか?


次回は、
英語の4技能「話す」「聞く」「書く」「読む」のうち、なぜ「読む」、しかも「ゆるく読む」なのか、について書きたいと思います。

そして、実際にゆるく読むためのコツへと続ける予定です。


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