【記憶を刺激する写真2】スイスの山奥のバス停
子どものころ、ここで降りますと知らせるバスの降車ボタンを押すのが嫌いだった。
あの音がおもしろいと感じる子は多いだろうから、
押したがる方が普通なのだろうが、味気ないあの音を聞くのも、
自分が降りる場所を運転手やほかの乗客に知られることも、嫌だと感じた。
バスに乗ることは数えるくらいしかなかったものの、
いまでも鮮明に残るシーンは、母の田舎でバスに乗ったときのこと。
働いていた母は、私や私のきょうだいを祖母によく預けた。
そこは冬には雪深くなる山の村だったから、
一番