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【記憶を刺激する写真3】誕生会で訪れたスイス人宅にて

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秋を感じさせる美しい葉。
壁一面を覆い尽くす赤い色が、血を思い起こさせた。
あれは、小学校3年生くらいのことだったろうか。

ハサミを右手に仰向けに寝そべっていた私は、
なぜだかカシャカシャと空気を切り始めて、しばらく続けた。

そのうちに、目を細めてみたりまた開いてみたりと遊びは発展した。私の遊びは更なる発展を遂げ、今度は左手をハサミに近づけたり離したりした。

ハサミの動きが面白かったのか。音が面白かったのか。

どちらだったのだろう。

そして、左手の指がハサミにぐっと近づき、また目を細めたとき、ハサミは指を切った。一瞬だった。

血がじわじわと出てきたが、痛みはあまり感じなかった。台所にいた母のもとへ駆けて行っても、血は止まろうとはしなかった。

こんな赤い液体が、本当に自分の体の中を流れている。自分の不注意による小さなケガ。

でも「私は生き物として生きているんだ」と知った大事な思い出。

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