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特定技能制度のセミナーに参加してきた

先日、「特定技能制度で就労するために必要な日本語力とは」というテーマのセミナーに参加してきた。「特定技能」という言葉は聞いたことはあったが、知らないことばかりだったので、忘備録として疑問点とともに残しておきたい。

特定技能とは

「特定技能」の「特定」とは、介護、農業、建築など14業種のことで、「技能」とは知識や経験があるという事だそうだ。平たく言えば、この14業種において、知識と経験のある外国人のための在留資格ということだ。ただし、対象国はアジアの9ヵ国のみ。
この資格を得るためには、14業種共通の日本語試験である日本語基礎テスト、通称「JFT Basic」と、14業種個別の技能試験に合格しなければならない。この日本語試験はJLPTのN4以上持っていれば免除される。

JFT Basicとは

JFT Basic」とは、「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」があるかどうかを判定するための試験で、JLPTのようなレベルはなく、合否のみ出る。この試験はJF(Japan Foundation,国際交流基金)が作成し、すでにインドネシアやミャンマーではスタートしている。日本国内での実施はなく、送り出し国でのみの試験になるそうだ。回答は全て選択式で、コンピューターで受験する。問題は、「文字語彙」「会話と表現」「聴解」「読解」の4つのセクションからなり、約15問ずつの出題。250点満点で200点以上で合格となる。年に6回、奇数月に受験できる。試験当日に得点と合否がわかり、5日以内に判定結果通知書をダウンロードできるそうだ。

私の疑問1
受け入れ側に「やさしい日本語」の普及を促す努力はしないのか

この試験に合格したところで、果たして本当に現場で「ある程度の日常会話ができる」のだろうか?日本語は助詞が抜けることが多いし、方言もある。性別や年代によっても変わるし、ご年配の方なら滑舌だって悪いだろう。外国人相手だから、はっきりゆっくり話そうと心がけてくれたり、語彙のコントロールをして話してくれる日本人は現場に何人ぐらいいるのだろうか。人手不足のため「来ていただいている」という意識を受け入れ側が持ち、「やさしい日本語」のセミナーなりレクチャーなりを国主導でやるべきなのではなかろうか。

そもそも、そんなに日本語がちゃっちゃと上手くなるようなスペックの持ち主なら、タイでとっくにいい仕事につけているのでは?と思う。実際ピンチヒッターで、タイ人の男性介護士の方に3コマ教えたことがあるが、遅々として進まなかった。マンツーマンで三ヶ月勉強していると言っていたが、まだ「みんなの日本語」の4課を勉強していた。働きながら「ある程度日常会話ができる」レベルまで持っていくのは、相当な努力が必要だ。

JFは、JFT Basicのための教材を作り、それを普及させていく活動を計画しているそうだが、働き手側の日本語力向上とともに、受け入れ側の「やさしい日本語」の普及にも力を入れていかないと、あまりにも教科書の日本語と現場の日本語のギャップがありすぎると思う。

私の疑問2
14業種個別の技能試験が日本語ってどういうこと?

正直、これが一番びっくりしたことだった。先述した通り、特定技能の資格を得るには、14業種共通の日本語試験である日本語基礎テスト、通称「JFT Basic」と、14業種個別の技能試験に合格しなければならないのだが、この14業種個別の技能試験も日本語で行なっているという。
え??
しかもJFもその試験内容についてはノータッチで、技能試験については各省庁に一任されているそうだ。(例えば介護は厚生労働省、農業は農林水産省、建設は国土交通省など)
これを聞いて近くにいる先生たちと思わず目を合わせて笑ってしまった。技能を測るテストなのに、日本語の理解のせいで「技能がない」と判定されてしまう人がたくさんいるのではないだろうか。

※追記※
記事をアップした後、コメントで技能試験は各国語対応版もあると教えて頂きました。そうでなければならないと思っていたので本当によかったです。疑問点が一つ解消されました。ご指摘ありがとうございました😊

他にも、田舎出身の人や日常的にコンピューターを使わない人にとって、コンピューターでの試験は操作が難しいのでは?模擬試験とか練習問題とかあるの?そもそもここまでして日本に行って、待遇はどうなってるの?「技能実習生」の失踪やモラハラなど悪いニュースをよく聞くけど、彼らの生活はどんな感じになるの?
などなど、いろんな疑問が浮かぶセミナーだった。

願わくば、労働力として搾取されるのではなく、人生の目的や喜びを感じながら働いてほしいと思う。日本に行ってよかったと思ってほしい。

タイでは今年の2月に特定技能に関する2国間合意を締結したそうで、これから色々なことが始まるとのこと。どうなっていくのか注視していきたい。


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