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僕を守ってくれるものは分からないまま、日常は肩の痛みと共に続く。

 肩が痛い。
 少し泣きたくなるくらい痛い。

 昔から意味がないと言われながら、休日に寝溜めするタイプだった。学校や仕事、特別な用事がなければ僕はずっと布団の中にいて、二度寝三度寝を繰り返し、眠ることに疲れてまた寝るを繰り返していた。
 ちなみに僕の夢は多様で、どれも内容は薄いのだけれど、実際に見たことある場所に連れていってくれる。妻いわく寝言も多いらしい。
 一度、ずーっと敬語でなんか喋っている時があったとのこと。
 上司と飲んだ時の記憶でも再現したのだろうか。

 僕は眠るのが好きで、人生を振り返っても多くの時間を寝て過ごしてきたと思う。そんな僕が本日は眠るのが嫌だ。けど、睡魔はつきまとうという苦しみに悶えた。
 理由は簡単。肩が痛い。
 眠る態勢がよくなかったのかも知れないと、いろんな態勢で二度寝、三度寝を試したが、肩の痛みは増すばかり。最後の方は腰も痛くなってきた。

 昼過ぎに一度起きて、自分のためだけに簡単なチャーハンを作った。卵の殻が入ってしまった気がしたけれど、発見できず。食べている間に見つかるかと思ったが、最後まで分からなかった。
 殻など入っていなかったのかも知れない。
 自分のために料理を作るとなると、僕はいつもチャーハンかパスタになる。男の一人暮らしあるあるだろう。誰かと暮らしても、一人でご飯を作って食べることはあるし、昼まで寝ることもある。人間はそうそう変わらない。

 とりあえず、肩である。薬が入っている引き出しに湿布を発見し、それを貼って外に出た。本日は義理の父の誕生日プレゼントと実の父の誕生日プレゼントを買う予定だった。
 どちらとも父の日がある六月が誕生日なのだ。一緒くたにしてくれと言っているようなものである。
 義理の父には妻がすでに服を買っていて、毎年そうなのだと言っていた。僕としては初めてのプレゼントだしと考えて、ボールペンを妻に提案したら、前向きな感じの返事があったので、それで決定した。

 姫路の良いところの一つに駅前まで行けば大体何でも揃うというのがある。本当は三宮まで出ようかと思っていたのだけれど、昼まで寝てしまったことと肩の痛みがあったので、近場で勘弁願おうと思った。完全に僕の事情だけれど。
 値段がそこそこのお洒落でシンプルなボールペンを選んでプレゼント用にしてもらった。
 次に実の父。こちらは決まっている。姫路城のデザインのTシャツだ。 姫路城近くのお土産屋さんで購入。

 これにて僕のミッションは終了したので、城内図書館へ行って借りていた本を返し、新しい本を借りた。短いエッセイをいっぱい書こうと思っている。その参考になりそうな本と考えて見ていき、くどうれいんの「桃を煮るひと」というエッセイと他二冊を借りた。

「桃を煮るひと」のあとがきに、こんな文章がある。

 本当にこのまま作家として暮らしていけるのだろうか、と不安になる日には菜箸を握ってとりあえず厨に立つ。キャベツを千切りにする。大根を面取りする。お玉で味見をする。その間だけはわたしのからだのまわりに薄い虹色の膜のようなものが出来て、それがわたしを守ってくれるような、そんな心地がする。

 良い文章だ。ルーティンは人を落ち着かせるし、「守ってくれる」時も確かにある。であるなら、チャーハンやパスタばかり作ってないで、自分のためにももう少しマシなものを作るべきだよなと反省する。そうすれば、肩の痛みも和らぐかも知れないし。いや、それは関係ないか。

サポートいただけたら、夢かな?と思うくらい嬉しいです。