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あの海に落ちた月に触れる

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小説「あの海に落ちた月に触れる」をまとめています。
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記事一覧

【小説】あの海に落ちた月に触れる①

【十四歳】  彼女が十人いる男が最初に連絡をするのは十番目の女だ。  同級生の男子がそう…

さとくら
2年前
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【小説】あの海に落ちた月に触れる②「寝た後なら、キスくらいして良いよ」

前回  言い訳だけれど、僕は夏休みの宿題を終わらせるつもりだった。その証拠に夏休みの間、…

さとくら
2年前
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【小説】あの海に落ちた月に触れる③「世界で一番大切な女の子と、それ以外の女の子」

前回  陽子が寝息を立てはじめたのを確認してから、ベッドの布団をかけた。それから電気を消…

さとくら
2年前
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【小説】あの海に落ちた月に触れる④「実体を持った神様が登場するなら、それは嘘っぱ…

前回  部屋に戻って、テレビ画面を点けた。ヘッドフォンをつけて、プレイステーション2にA…

さとくら
2年前
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【小説】あの海に落ちた月に触れる⑤「歌って暴力と愛を合わせ持っている」

前回  視界の隅に何か動くものがあって、目を凝らすとそれが朝子だと直ぐに分かった。  黄…

さとくら
2年前
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【小説】あの海に落ちた月に触れる⑥「曖昧な言葉が許されない世界で器用に生きる僕と…

前回 「ねぇ、行人くんはセックスしたことある?」 「なんで?」 「さっき、お姉ちゃんとセッ…

さとくら
2年前
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【小説】あの海に落ちた月に触れる⑦「舐められた後の感触さえ残っているリアルな夢」

前回  その夜、僕は夢を見た。  深い夜の病室のベッドの上に朝子が裸でいた。  朝子は柔らかな体を僕に押しつけた。まだ膨らんでいない胸やすべすべな細い太ももが、僕を刺激した。  朝子の小さな手が僕の体の部位を確認するように触れていく。  肩、首、胸板、お腹……。  どうやら僕も裸のようだった。  彼女の指先が僕の勃起した性器に到達した。  少しつつくように触れた後、朝子は僕の性器を優しく握った。  僕は朝子を見た。  暗がりで朝子は笑っていた。僕は彼女の細い肩に手を回し

【小説】あの海に落ちた月に触れる⑧「助けられる側の言葉がなければ、人は人を助けら…

前回  宮本歩こと、ミヤと僕は中学にあがってから喋るようになった。  体育の授業で二人組…

さとくら
2年前
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【小説】あの海に落ちた月に触れる⑨「自分の欲しいものを言えない人は、それを生きて…

前回  スクールバッグも持たず、僕は学校を出た。  途中で体育を担当する教師に声をかけら…

さとくら
2年前
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【小説】あの海に落ちた月に触れる⑩「神様の音の中での誓いの叫び」

前回 「うわぁ」  陽子がこけそうになって、わたわたと両手を振り回していた。何度かたたら…

さとくら
2年前
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