※ネタバレありです。
本を手に取った時は、この物語の設定って、
ものすごく現実離れしているなって感じたんです。
本当に物語の世界に
入り込めるかしらと不安になるくらい。
だって、本の裏表紙に書いてあった
物語のあらすじがこれ↓でしたから。
でも、読み進めていくと
登場人物それぞれの心模様の
描かれ方はとてもリアルで。
現実離れした状況の中で
育まれる本人の想いがあり、
一方で、現実世界でいろんな人が
その人なりの「常識」というフィルターを通して
投げかけてくる、自分には到底受け入れられない
諸々のことがあり…
これらに対して、自分自身の想いと
どのように折り合いをつけていくのか。
その葛藤は、
今の私が抱えているものとも
深く通じる所があり、
気がつけば主人公の心に強く共感し、
物語に入り込んでいました。
自分が何を信じるのか、
何を心の拠り所にするのか。
運良くそれが、
自分の周りの人々の常識とうまく馴染んでいれば、
その毎日も、人生も、
幸せを実感しやすいのかもしれません。
ただ、
自分の心に
私の心の寄り所となるものはこれ!と、
確たるものが定まってしまうと、
たとえそれが、
常識的だろうが、
非常識なものだろうが、
現実離れしてようが関係なく、
それ以外でちゃんと
自分の心を満たすことは
どうにも難しい気がするです。
その想いを貫くと
現実世界の周りの人々との関係に
歪みが生じてしまうものだと
わかっていても。
だから、
周りの人々の心に波風を立てないよう
自分の本心やそれに基づく行動を
そこから見えないところに隠し、
本当の自分と、
周りの空気に馴染ませる自分と、
違う世界を行ったり来たり。
そんな面倒で、複雑な状況を
自ら進んで作り出してしまう。
でも、
そこまでしてもなお、
自分の世界にいる時は幸せに満たされる反面、
現実世界との違和に
いつ崩れるかしれない不安や
苦しみのような感情から
逃れられることもできない。
そんな、無慈悲な
心の「ままならなさ」というのも、
驚くほど自然に描かれており、
その感覚を作者は否定しません。
自分は自分の感覚。
他人は他人の感覚。
迷惑をかけないなら
踏み込まなくていいじゃない。
それぞれが
それぞれの場所を大切にする。
それでいいじゃない。
物語を通して、
作者はそう言ってるように
聞こえてきました。
いいんだよ。
あなたの感覚はあなたのもの、
と。
それが、私の心には
とても響いて。
裏表紙に書いてあった
「救済の物語」の「救済」って
これのことなんだなぁって。
最初の印象は裏切られ、
とても大切にしたい
一冊になりました😌
最後に、私の備忘録として、
私の心に響いた文章をいくつか抜粋します。
ネタバレ回避したい方はここまででストップしてくださいね。
お読みいただきありがとうございました☺️