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たのしい後追い

後追いをするようになったら大変だというのは何となく聞いたことがあった。トイレだってゆっくりできなくて、ごはんの支度も危なくてまともにできやしないと聞いていた。実際に娘も1歳前くらいから常に後追いするようになり、トイレにも一緒についてきて見張られている。キッチンに立てば同じようにキッチンに居座って扉を自由自在に開けては物を出し入れしている。お風呂上りに洗面所でドライヤーをかけている間もずっと足元で眠そうな目で私の足にしがみついている。たしかに一人で自由に動けない不自由さはあるものの、一生懸命に私の傍を陣取る娘の姿はあまりにも愛おしい。

「後追いは大変だ」という言葉と実際の後追いを体験することの間にはかなり隔たりがあったように思う。黙っていてもあと数年したら親に興味なんてなくなるのだろうから、今だけは一秒たりとも離れずにいたいと思う。家事なんて最低限でいいやと早々に諦めた。

 思えば子育ては想像していたものとは全く違った。取り越し苦労体質の私は、「産後うつになったりするのだろうか」とか様々なケースを想像しては怖がっていたけれど、実際は楽しくて楽しくて仕方ない。1日10回くらい娘に「好き」と言っている気がする。付き合い始めのカップルみたいだ。そんなカップルは3か月後には別れそうだけれど、この熱は冷めそうにないどころか、毎日想像の斜め上をいく娘はますます私を惹きつけてやまない。

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