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夜泣きと夜明け

 娘はあまり夜泣きをしない子だった。わりと早くまとまって寝てくれるようになり、明け方に授乳する程度だった。授乳していると朝焼けが見られることが多かった。夏生まれのため季節が移り変わっていくと日の出の時刻が刻々と遅くなり、そしてまた早くなっていくのを毎日毎日ぼんやりと眺めていた。

 ところが、娘が1歳になって仕事復帰してからというもの、突然3時間毎の夜泣きが始まった。それまで四六時中、私とべったりくっついて過ごしていた生活から大きく生活環境が変わったせいもあるのかもしれない。想定外の夜泣きと仕事復帰が重なって、最初は体力的にきついなと感じることが多かった。ご時世柄、復帰直後に家族全員でコロナにも感染して、もうダメかと思う時もあった。それでも何とか半年の月日が流れようとしている。相変わらず仕事は慣れないままだし、ろくに生活も回せていないけれど、娘はすくすくと成長している。最近はまた少し夜泣きが落ち着いてきて、明け方に起きる程度になってきた。

 毎晩「今日こそは朝まで起きないでほしい」と祈るような気持ちで眠るけれど、いつか娘がもう少し大きくなったら、授乳しながら見ていた夜明けが懐かしくなる日がくるのだろうなと思う。

 冬はいつも朝起きると私が寒さに耐えかねてまず靴下を履いていたのを観察していたせいか、娘はいつからか朝起きると靴下を私に履かせようとしてくれるようになった。自分が靴下を履かされる時を真似して、靴下の履き口を広げて私の足先まで持ってきてくれる。その仕草があまりにもおかしくて、毎回笑ってしまう。「ありがとう」と言うと娘はとても満足そうだ。毎朝眠いけれど、毎朝なんだかとても幸せな気持ちで1日が始まる。



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