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No.002 : noteの中のプチ写真作品展

ステートメント入りの画像を投稿することで
1枚1枚に籠めた思いや感じたものを掘り下げようと
毎月上旬辺りに1枚必ず更新をする目標を考えた。

新しい試みであるが面白そうだし、
noteの意味自体がこうなんだ!思ったものですから

【2024/5投稿】: うさぎ島で感じたこと


- 今を生き抜くチカラ -

【テーマ】: 「6月」

【解釈】: 「ほっこり心温まる姿が笑顔を創出する」

お産の時期を過ぎた6月から巣穴の周囲が騒がしく、
ぴょこぴょこした可愛いお顔が連ね始める。

警戒心が強く母の目線が届く中でしか活動しないが
梅雨と重なると家族団欒の姿が伺え
浮かない気持ちを払拭してくれる。

【思考】: 「輝く瞳の先にある未来を信じて」

生誕の地は尊い命を奪う化学兵器が造られていた
この子達も例外ではない実験の被検体であったのだ。

瞳の輝きはこれからの良き未来を写す鏡。

輝きが集まり結晶化したら、
戦争のない世の中と繁栄が築ける意を乗せて。

【表現】: 「君と一緒なら乗り越えられる姿をイメージ」

ひとりぼっちではない
君が隣にいるから頑張れるを前面に。

自然の中を寄り添って生き抜こうとする生命の力を感じる。

この地を染める罪が消せなくても
イキイキした瞳を見つめるだけで明日を繋ぐ希望へ変わるから。

【シャッターストーリー】:

大久野島は戦時中、秘密裏に毒ガスを製造して中国の満州で
虐殺のために使われた負の歴史背景を持つ島。

今はすっかり「うさぎの楽園」が定着したが、
そんな今の明るい側面と過去の黒歴史が両立した
不思議な場所でもある。

6月は紫陽花も咲く隠れ名所のひとつでもあるのだが
今回は時期が早過ぎて紫陽花を交えた1枚を撮れなかった。

気持ちが凹んでいた時に巡り逢えた
シャッターチャンスと言えば良いのかな?
巣穴で周囲を警戒しながら寄り添う
2羽の仔うさぎを見つけたのです。

その瞳は希望に満ち溢れた潤と輝きがあって、
まるで近い未来を予知しているかの様に。

大久野島のうさぎ達は、思いがひとつになれば
戦争で悲しむ人々をひとりでも無くせる希望のひかり、
平和の象徴として迎え入れられたのだから。


          2023/6/10 撮影地:広島県竹原市 大久野島
                                                    Photo by Satomi Nakamura

「うさぎ島(大久野島)を題材にした展示」

スナップ・フォトグラファーの鈴木知子先生の元で
今、写真のノウハウを学んでいます。

昨年のアカデミーの修了展で展示した私のテーマが
大久野島へ訪れた時に感じた海と緑の美しさ
過去の負の遺産、そしてふたつの平和の象徴🕊️を
4枚の組み写真で示すものであり

今回5月分も投稿も、大久野島の背景を補記するうえで
修了展で展示した作品を持ち出してでも
示そうと考えた次第です。

                         - 予兆 -
                     - 島と緑の神域 -
                     - ふたつの爪痕 -
                   - 繁栄と平和の象徴 -

「石井孝親先生の教室での合同作品展」

鈴木知子アカデミーのサブ展示で挙げていた作品を
本展示で石井先生の教室で再展示する機会を得まして
今度はA3の素焼きプリントで展示となりました。

- 心境 (こころのかがみ) -

                                                                            EOS 7D MarkⅡ
                                        EF100-400mm F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
                                            ISO1250 234mm 0EV F5 1/320s

テーマは「水」で、タイトルを「心境」としたのは
水溜りに写る姿が、大自然の中を懸命に生き抜く
生命の輝きに満ち溢れた姿が鏡の様に写していたから

今まで余り目にしたことのない自らの姿が
鏡の様に写し出される故に複雑な心境と鏡を造語して
「心鏡」が正しい示し方だと考えたのだが
私はその時、うさぎさんの心情も示したい思いがあり
「心境」にふりがなで「こころのかがみ」と
サブタイトルを着けて、ふたつが重なっている表現に
したいと考えたのです。

こちらは鈴木知子アカデミーの修了展で展示していた
ステートメント入りの作品バージョンのものです。

これらの背景を通して私の作品作りで
大事にしたいこととは、作品の舞台となっている
前後の歴史背景を正しく認識して伝えること。

この様な状況に置かれながらも、そこから逃げ出さず
懸命に生きようとする姿を示すこと。

大事なのは映えではなく生きるために必要な輝き
であることを心に刻み、次も様々な作品作りに
励みたいと感じている。

【2024/5投稿】: 異常な酷暑


- 木陰でひと休み -

【テーマ】: 「酷暑」

【解釈】: 「異常な暑さである変化が起きている」

今年の夏は異常に蒸し暑い。
瀬戸内の島々に囲まれた大久野島は本土とは違い、
普段は風通しが良く涼しさを感じるのだが、それがない。
背景にある熱帯植物のソテツが萎れて
枯れ茶が広がるくらい暑いのだ。

【思考】: 「様々な姿で環境に適応している」

36℃続きの猛暑。
飼兎がこの暑さを耐え抜くのは極めて難しい
故に、改めて生命の強さを感じる。

既に春毛から夏毛へ換装を終えているのだが、
野生の兎が8月のこの時期に換毛が起こるのが珍しく、
カラダが更なる暑さ対策で柔軟に機能しているのが凄い。

【表現】: 「過酷な状況を耐え抜いた姿を示す」

大事なのは抜け毛で不細工なお顔になっている処。
暑さと更なる換毛で疲労困憊した姿と意外に木陰は涼しくて、
ゆっくり休息している姿の両方を捉えた。

誰にも邪魔されたくない心地よい寝息をたてながら。

【シャッターストーリー】 :

素朴で地味なイメージには「素直さ」がピッタリ
かなって思って、フィルムの時代から愛用している
キャノン純正のEFレンズ(100mm F2の単焦点)で、
この姿を切り取りました。

ローパスフィルターの効果をキャンセルした
唯一のモデルであるEOS 5DsRを通しての姿なのですが、
その恩恵は素直さが勝り余り感じませんね...

8月は大久野島の兎にとって最も過酷な季節。

去年と今年の違う処。
それは暑さの質が違い周囲の緑が欠け始めている処にあるかと。

コロナ後に訪れる観光客が戻っても
兎の生息数が下降の一途を辿っていますし、
荒れた天候、全国的な熱中症警戒アラート、農作物の不作。
我々の眼に見えない処で何かが崩れ、
暑さに弱い動植物の生態系に異常が出始めているのは確かです。

この1枚には酷暑の他に、
もうひとつの意図である「警鐘」の意も乗せている。


          2023/8/12 撮影地:広島県竹原市 大久野島
                                                    Photo by Satomi Nakamura

【2024/6投稿】: 伝統と先進性の象徴


- 変わりゆく東京駅 -

【テーマ】:「聲」

【解釈】: 聲が伝える力は心のメッセージと似ている

聲は響き・感じて・浸透する深いニュアンスを持ち、
発声による声の伝搬で、聞いて受け取るとは違うと私は考えた。

故にこの感覚は心で受け取るべき
メッセージではないかと解釈した。

【思考】: 空間の中に残る記憶から聲を読み取る

歴代の郵便局長達は、窓際に立って、
変わりゆく東京駅の姿を見下ろす様に眺めていたと思う。

この先どの様に変わるのか?わからない不安と
期待を感じながら。

【表現】: 今と昔をイメージ出来る色にする

先進的な建物の色が分からないので彩度落として無彩色に。

深谷から持ってきた駅舎のレンガをパートカラーで色を残し、
影を活かしたノスタルジーな表現にした。

【シャッターストーリー】:

この1枚は東京の丸の内にある 旧東京中央郵便局
「現KITTE丸の内」の元郵便局長室の窓から捉えた東京駅の姿。

東京駅を含め丸の内の周辺には、歴史的建造物が数多く保存され
レトロなものの中に新しいものが覆い被さる様に
存在しているが故に、物珍しく感じてしまい眼を奪われる。

その特徴を上手く使い郵便局長室の床面と窓枠の懐かしさから、
時代の流れと共に成長する先進性を、成長した自らの身長を
測るかの様に窓のフレームの中で魅せてみた。

新しいビル達はその先の未来も伸び続けて行く意を乗せて。


                        2024/1/7 撮影地:KITTE丸の内
                       Photo by Satomi Nakamura

- 歩んだ軌跡をカタチに置き換えたら -

【テーマ】: 「クセのあるモチーフ」

【解釈】:  苦労して創出した姿をイメージして

あるひとりの建設作業員が空を見上げた時、
着工から竣工する迄の過程に於いて、人生の紆余曲折のような
アクシデントに見舞われながらも難題に次々と打ち勝ち、
足元から建物が徐々に形成される様を考えた。

【思考】: カタチには過去の面影が投影される

直線はチカラ強さ、斜めや切れ込みは分岐点、
曲げは喜びと嘆き、捻れは苦悩、徐々に明らかとなるカタチには
樹々の年輪のように、その時の出来事が複雑に詰まっている。

建設作業員の血と汗と涙の結晶がここにある。

【表現】: 凸凹した不安定な道を歩んでいる様に示した

隙間の青空は竣工して空まで登りつめた喜びの意。
側面に冷たく写り込む造形は、これまで歩んできた軌跡。

足元から空を見上げると、何度も躓き凸凹した道を
遠回りしながら辿り着いたストーリーがあり、
癖のあるモチーフとして写る。

【シャッターストーリー】:

HAL名古屋と言う専門学校の校舎。新宿にも姉妹校があり、
どれも癖のある特徴的なアート作品の校舎である。

地下の吹き抜けから空を見上げると
建物の頂きが突き抜けたように見える。

力強くストレートに伸び、意味あり気に斬り込んだ角。
時には丸みを帯て、更に捻れながら伸びて行く姿が
まるで何かを気持ち良く成し遂げた時と、
失敗を繰り返し叩かれながら辿り着いた姿と酷似していて、
何処か頑張った証である達成感を感じる。

隙間から見える青空は、きっと頂上へ到達出来た時の
清々しい気持ちの現れであり、到達するまでに直面した苦難
(もの作りのif)は、決して図面通りに行かない分岐点の
連続であったと思っていたかも知れない。

青空に向かって「俺たちでやり遂げたんだ!」と言う
家族愛の様な一致団結する気持ちを籠て、この1枚を仕上げた。


              2023/8/17撮影地: HAL名古屋
              Photo by Satomi Nakamura

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