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生産性のない時間の使い方

人が動く。街が動く。

なんてことない光景。でも、外出自粛を強く求められていた2年前に比べれば、かなり人出が増えた。元の世界に戻ったように思える。その光景を切り取っただけの世界で見れば。


通院の用事を済ませ、立ち寄った薬局の窓から周りの景色を、私はぼんやりと眺めていた。

薬の準備ができるまでの待ち時間、米粒くらいの小さな人間たちをじっと見る私。なんとも生産性がないけど、この時間が私にとって無心になれる時間だ。

今日は金曜日。明日はクリスマスイブということもあって、家路を急ぐサラリーマンの姿が目立つ。明日から冬休み、と言わんばかりの学生も大勢街へ繰り出している。まだ、太陽の柔らかな光が気持ちいい昼下がりだというのに。いや、サラリーマンが本当に家路を急いでいるかは分からないけど。

いずれにせよ、すれ違う人間たちがどこか浮き足立ったように見える。それだけみんなが楽しみにするイベントなのだろう。人間だけでない。お店もネットも商品もみんなクリスマスを待ちわびている。いつもはしない、オシャレな装いで。

でも逆に、クリスマスに恨みをもつ人ってこの世に存在するものだろうか。サンタさんを見て嫌な思いをしたとか、クリスマスに大失恋をしたとか。クリスマスを憎む人も、世界中探し回れば一人くらいいてもおかしくない。しかし、少なくとも私の周りに、そういう人は一人もいない。幸せな世界で生きているんだなぁ、と改めて実感する。


おっと、また生産性がない時間の使い方をしてしまった。でもこういう時間を悪くないと思うくらいに、生産性のない時間に対して愛着が湧いてきた。

私も今日は、すれ違ったサラリーマンのように早く家に帰ろう。

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