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放置こそが子供への最高の教育

私がいまもっとも両親に感謝しているのは、放置してくれたことです。
(もちろん、これはとてもいい意味で使っています)

私の両親は父も母も非常に優秀な人でした。

(参照)自慢の父親

父は慶応高校から慶応大学法学部を出て地元の静岡銀行に就職し最年少で支店長になった人でした(50年以上も昔の時代に、静岡県の浜松市から慶応高校に行くこと自体がまずありえない進学でした)。
また母は歌がとても上手く、小さなころから地元の催しで歌って欲しいと頼まれるほどだったそうです。また私が子供のころはPTAや民生委員など行っており、小学校、中学校の時には私たち子供以上に母が学校で目立つ存在でした。

そんな二人の間に産まれたのですが、私は勉強が苦手で学校の成績は常に最下位クラス。また肥満児でマラソン大会ではいつもビリ。中学校の時には父と同じ銀行に勤める同僚の息子さんが私と同じクラスにいて、彼は成績優秀で私は子供ながらに「お父さんも本当は自分の子供を自慢したいよな。でも自分は勉強もダメだし、走るのも遅いし。。。」と自分を恥じたことを今でも覚えています。

ところがそんな私に対して両親はただの1度も「勉強しろ」や「将来困ることになるぞ」。まして「良い大学に入れ」とは決して言いませんでした。実は両親の教育方針は

「子供の人生に必要以上に介入してはいけない」

でした。

この教育方針のおかげで私は親との関係でストレスを感じた記憶が一切ありません。怒られた記憶も数える程度。しかもその怒られた内容も明らかに自分が悪かったと自覚できるものだったので、親に対して反抗心も一切持ちませんでした。

「生き方」を見せるという教育

しかし両親が何もしなかったのかというとそうではありません。私は父の知識の豊富さ、勉強熱心さ、読書好き、そして仕事への熱心さを常に感じていました。
また母は、自分の子供も他人の子供も分け隔てなく愛情を注ぐという姿を見せてくれていました。今にして思えば両親は自分が正しいと思う「生き方」を見せてくれていたのだと思います。

そしてこの両親の姿勢は私が障害者雇用の仕事をするようになって、実はとても有難い事であったと気付きました。

障害者支援の仕事をしていて私が一番驚いたことの一つが「世の中の多くの人が両親との関係に困難さを感じている」ということでした。

ある女性はお父さんがとても厳しい方で、家の中ではお父さんには絶対に逆らってはいけない。家族全員がお父さんの機嫌を損ねないように生活をしていたそうです。
また別の男性もお父さんが東大卒、一流企業の役員をされていて、東大に入って当たり前(それ以外は大学ではない)という教育方針で自分も東大に入ったけど、自分が選んだ人生ではないと感じていました。

そしてこの方々の共通点は他人との人間関係において困難を抱えやすいということでした。

例えば「自分が正しくて相手が間違っている」という対立関係になりやすかったり、「自分は人よりも劣っている」という比較傾向が強かったりと思考に偏りがありました。

自分が無意識に出してしまう価値基準

幼少時から受けた教育で無意識でその人の考え方や判断基準や態度に現れる考えのことをブリーフシステム(belief system)と言います。

ブリーフシステム(belief system)とは、過去の情動を伴った自分の無意識の考え、自分が持っている「belief(信念)」の枠組み。個人個人が強く信じて疑わない固定的な考え。その人が物事を判断する際の無意識の価値基準のこと

私の何が幸いだったかと言えば、自分が人生を決めるときに親の影響(親からの「こうしなさい」という強い希望や意志)が殆どなく、自分の人生を好きなように選択させてもらえたことです。

大学受験にしても会社選びにしても、もちろん結婚相手にいたるまで親から何か言われたことはなく、自分の意志で決めることが出来ました。もちろん親からの影響が全くないというわけではありません。少なからず親から言葉では受取っていない非言語情報を自分が受取っていてそれで判断している部分はあります。しかしその割合がとても小さいということです。

もし今皆さんが親からの影響を強く受けているなと感じたら、対策としては自分の「want to」のゴールを設定することです。しかも今の自分の現状の外側(ブリーフシステムの外側)のゴールを設定する必要があります。

これを設定することが出来れば、自分の脳が新しいブリーフを探してくれ、少しずつ新しいゴールに対してのブリーフシステムが出来上がります。

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