見出し画像

本当にやりたいことは「今の自分」には見つけることができない理由

様々な自己啓発系の本には「自分のやりたいことをやれば良い」「自分の理想のゴールを設定してすぐに行動する」と書いてあります。
実はこれは半分合っていて、半分間違っています。

正しくは「自分がやりたい(理想の)ゴールをまず設定するが、今の自分には本当のゴールは見えないので、行動する中で気付いたらどんどん上書きしていく」が正しい表現です(かなりまどろっこしい言い回しですがww)

今日はこの意味を説明します。
そのためにはまず2つの大事な脳の機能を理解する必要があります。

1.スコトーマ
2.ブリーフシステム(belief system)


一つ目のスコトーマとは「心理的盲点」という意味です。人間の脳は自分にとって重要なモノしか意識に上がらないという特徴があります。
例えば自分にとっては仕事よりも家族と時間を過ごすことが大事だと考えていても、毎日仕事で売上や企画を出すことを求められていると、仕事に関係がある情報しか自分の意識に上がってきません。

またもう一つ、これは当たり前のことですが、人は自分が知識のあるものしか認識することができません。
例えば私は3年前に家を新築で建てたのですが家の建て方に関する知識がないときは、町で家を建てている姿を見ても、ほとんど何も感じませんでした(「あ、ここに家が建つんだ」くらいの認識です)
ところが自分が家を建てる際の知識ができると、「この家は建ぺい率と容積率は何%で建ててるんだろう」「ここは海沿いで湿気が多いけど、どういった素材を使って建てているのだろう」と建てている家を見て色んなことを想像することができます。知識があるとないでは全く見える情報が違うのです。

二つ目のブリーフシステム(belief system)とは、その人が物事を判断する際の無意識の価値基準のことです。
そしてこのブリーフシステムの厄介な点は、多くの場合自分の価値基準ではなくて、他人の価値基準が自分のブリーフシステムになっているということです。
例えば自分が社長になるというゴールを設定したとします。しかしそれは実際にはTVやネットの情報で「雇われの人生ではなく、自分の意志で生きるべき」という情報を見て思い込まされているだけの可能性もあります。
また公務員になりたいという目標も、もしかしたら小さな時から親から「安定した仕事を選びなさい」と言われ続けたので、「公務員が一番安定していてる」と思い込んでいるだけかもしれません。たとえ「自分が高級官僚になって影響力の高い仕事をしたいんだ」と思っていたとしても、もしかしたら「安定した仕事に就きなさい」という親の価値観の延長線上の最も高い目標を設定しただけかもしれません。つまり自分の価値判断が本当に自分の本心から出ている希望かどうかはよくよく観察しないと分からないのです。

以上の二つのことから、

自分が本当にやりたいこと、本当のゴールは今の自分には見えていない可能性が非常に高いということです。

ではどうすれば良いのか?
答えは単純でまずはなんでもいいからゴールを設定して、それを追い求めてみるのです。
「え、それでは最初の自己啓発本に書かれている『自分のやりたいことをやれば良い』とあまり変わらないじゃん」と思われるかもしれません。
しかしやみくもに追い求めても自分のスコトーマが外れなければ意味がないし、ブリーフシステムが変わらなければずっと自分以外の人から刷り込まれた価値基準でしか物事を判断できません。

ゴールを設定したら、まず自分にはスコトーマがあるので見えていないものが必ずあることを認識し、設定したゴールに関係するかしないかに関わらず自分に知識がないから見えていないものがあると考え知識をつける。そして本当に自分の判断は自分の価値基準で判断したものかを疑ってみて、自分の価値基準の出所を調査してみます。

これを行っているうちに、だんだんとスコトーマが外れ、これまで意識に上がらなかった情報が上がってくるようになったり、知識が着いたことで新たに見えてくる情報に気付くことができます。また自分のブリーフシステムが誰かの刷り込み出あったことに気付けば、新たな自分の価値基準を設定しなおすことができ、これまでよりも自分の価値判断で設定したゴールが見えてきます。これを繰り返し続けることで、だんだんと自分の本当のゴールに近づくことができます。

コーチはこれを意図的にクライアントに起こさせ、自分の本当のゴールを設定してもらい行動変容を起こさせるので、自分がこれまで想像していなかった結果を出すことができるようになるのです。

上記で書いたのはセルフコーチングのやり方の一つでもありますので、ぜひ皆さんも挑戦してみてください。

※コーチングのご依頼はTwitterよりメッセージください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?