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筋トレと糖質制限

昔は、ダイエットといえば脂肪カットというのが常識でしたが、最近は低糖質ダイエットがブームというか常識になりつつあるようです。

先月放送された 「NHKスペシャル 食の起源 第1集「ご飯」」という番組を見た人の反響が私の周りでは想像した以上に大きく、しかも、番組の結論(ご飯は適量は食べた方が良い)には納得できないという主張を多く見ました。その主張をしている人は糖質カットを実行してその効果を実感している人たちなのですが、身近に糖質カットを実行している人が想像以上に多いという事に私は驚きました。
中高年にもなると、美容や見た目を良くする為のダイエットが目的というより、健康の為、つまりは生死に直結した切実な問題解決の為のダイエットなので若者とは真剣さが違います。

さて、表題の筋トレと糖質制限/低糖質ダイエットの話です。
基本的に、筋トレには糖質(グルコース/ブドウ糖 )は必要な栄養素です。

筋トレのエネルギー源は筋肉中の糖=筋グリコーゲンです。筋グリコーゲンが枯渇すると血液中のグルコース(血糖)から補給されます。

糖質を食べた時に膵臓から分泌されるホルモン「インスリン」は血液中のグルコース(血糖)を筋肉へ送り込む働きを助けます。インスリンは血液中のグルコース(血糖)を解糖し脂肪合成を助ける働きもありますが、優先順位は、筋肉へ送り込む方が高いので、筋トレを行う事が結果的に脂肪が付きにくい体になるのです。また、筋肉へのアミノ酸の取り込み促進させタンパク質の合成を促進します。最近はあまり聞きませんが昔のトップボディビルダーの中には筋肉のバルクアップ目的で筋肉増強剤の代わりにインスリン注射をする人もいるいう話を聞いたことがあります。(薬ではなくホルモンなのでドーピング検査には反応しない)

インスリンは、血糖を脂肪に送り込むと同時に血糖とアミノ酸を筋肉へ送り込み筋肉を肥大させる効果もあるのです。ポイントは、グルコース(血糖)移動の優先順位は、筋肉>肝臓>脂肪の順ですから、摂取する糖質の量を適度に押さえれば脂肪にはならないのです。

成人男子ではグリコーゲンが筋肉に300~400g、肝臓には130~150gが貯蔵されていると言われています。筋トレや有酸素運動によりこれらのグリコーゲンを使い切れば糖質500gくらい食べても筋肉と肝臓へ補給されて脂肪にはなら無いのです。ただ、筋肉と肝臓内のグリコーゲンを運動で使い切るのはなかなか大変です。
競技スポーツやコンテストの世界ではこれを利用した「カーボ・ローディング」というテクニックが日常的に用いられています。私は、コンテストを目指して筋トレをしているわけで無いのでカーボ・ローディングとは縁は無いのですが、個人的には甘いお菓子やスイーツが大好きです。
筋トレで筋グリコーゲンを枯渇させた後に食べるスイーツは全部筋グリコーゲンへ補給されるので、筋トレ後にいただくスイーツでは太る事はないのです(理屈上はね!)。私が筋トレを継続できている理由に「甘いものが好きでよく食べるから」というのもあります。

筋トレの忘れてはいけない大きな効果に「インスリン感受性を高める」効果があります。前に述べたインスリンの働きをより感度よく作用させるのです。このインスリン感受性が低下した(インスリン抵抗性)2型糖尿病の予防や治療にも筋トレが推奨されています。
また、筋肉量が少ない人ほど糖尿病有病率が高いだけではなく、糖尿病によって筋肉が弱くなる傾向があるのだそうです。糖尿病でインスリン感受性が低いから筋肉が少ないとも言えます。

話を先の「NHKスペシャル 食の起源 第1集「ご飯」」に戻します。
私個人的には、「無難にまとめたな!」というのが正直な感想です。

人間に炭水化物や糖を分解し代謝するシステムを持っている事はそれが必要だからそのように進化したと考えるべきで、しかも「糖新生」(糖質がカットされるとグリセロールやアミノ酸などから自力で糖を作る)というシステムまで持っているという事は糖は無くてはならない必要なものであるからです。
ただし、過剰な糖、代謝しきれない糖が人体に悪さをするのも事実なので、
あくまでも適量が大切だという無難なまとめですね。

さて、筋トレには糖質が必要だという話を長々を書いてしまいましたが、「筋トレをしながら低糖質ダイエット/ケトジェニックダイエットで脂肪を落とす」という話は、長くなるのでまた別の機会に。。

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