ちっこい詩のような、ちょっぴりスピが混じった物語のかけらを、佐藤耳オリジナルのスクリプトとして紡いでゆきます。これを読んでくださった方が元気になったり、わずかでも慰められたらいい…
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#小説
グルグルの秘密と火のダンス
意地悪をしてくるポルターガイストが好きだった、と言うと、みんなはとても変な顔をします。
彼女は幽霊。誰かれかまわず憑依をしては、わたしの髪を引っ張ったり、家具を動かしては困らせる。
でも彼女のこと、いとおしい。だって生まれることのなかった、もう一人のわたしなんだもの。きっとわたしたち、そっくりの顔をしているかもね。
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マッチ箱、って知ってるかな? アンデルセンの童話にもでてくる、マッチ箱がお仏壇
箱のなかの青い蝶々。雨と夢
わたしのすべてを知りたがるきみへ。どうしても伝えておきたいことがあります。
いまはむかし。一千年前に生きた青い蝶々をおさめた、これもまた古い小さな箱を、わたしが持っていることを。
この箱の由来については秘密にしておきますね。いまは黙ってわたしのする話に耳を傾けて欲しいのです。
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箱のなかの夜では、まだ一千年前の蝶々が生きていて、青く輝く鱗粉を散らしながら、柔らかく閃いています。
そこは、しっとり