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パキスタンにてカレーを食べ続けた話


埼玉県八潮市に『カラチの空』というすばらしいパキスタンカレーレストランがあります。


カラチというのは、パキスタンで有名な都の名前。
食の街でもあり、流通の街でもあります。
ちゅうことは、大阪、名古屋的存在なわけなのです。

カラチ出身のシェフが作った料理のうちとびきりだった料理が、『チキンカラヒ』というカレーでした。

カラヒは、鍋という意味。
まあなんと、ずいぶん雑なネーミングです。

ただ、味は抜群。
トマトが濃厚で、肉肉しく油たっぷりで、ナン(ロティ)と抜群に合ってくれる。


人間のうま味に対する欲望に忠実になったズルいやつ、というのが一口目の印象です。

日本でいう、から揚げとご飯に匹敵するものでした。(個人差はあります。)


これに出会った日から、自分の目標は、

『本当のカラチの空を見る。その空の下でカラヒを食べる。』

となりました。



―――というわけで、
2月某日、気が付けば、パキスタンに降り立っていました。
降り立った初日から、私のカラヒフェスティバルが始まりました。

結局私は、
パキスタン(ラホール・カラチの2都市)にて、
7チキンカラヒをさせていただきました。

いまから7カラヒの味の感想ををつらつらと書きますが、参考になるのか不安です。

例えば・・・

・たいてい、カラヒは、ミニマム1kgからしか注文できない。

参考になりそうでしょうか。
では、いきましょう。


<ラホール編>

①Butt karahi

パキスタンで有名なカラヒ専門店のカラヒ。
ダーン!圧倒的迫力。スケールが段違いである。
でも、あれれ、日本で食べたカラヒと全然違う。
トマト感はほとんどなく、バターでミルキー。
ギー(マッカン)を大量投入している。
チキンは柔らかく、骨付きでいやらしい。

食べた瞬間、パキスタンが始まった・・・と胸騒ぎがした。


②salt 'n pepper

ラホールにある高級店。勝ち組のお店。
パキスタン人にとって高級ホテルのディナーくらい(日本円だと1500円)。
カラヒはトマトトマトしていて、大衆にウケる、デパ地下みたいな味付け。
八方美人なカラヒだった。

怪しいラッシーでお腹が乱れまくっていたけど、
その苦しみとトイレのリスクを凌駕するほどおいしかった。

~飛行機移動~

<カラチ編>

③sunset suites

カラチに行って初めての食事はホテルの朝ごはん。
朝8時に油だくだくのチキンカラヒとパヤと豆カレーが挨拶してくれる。
一同、テンションがあがること間違いなし。
マイルドなのに、最小限のスパイスを使っているであろうシンプルさが感じられる、まじめなカラヒだった。

焼き立てのナンを無限に運んでくれるやさしいママ。
わんこナン。
何度も言うけど、この重たい食事が朝の8時ナンでした。。

④教授のお兄さんの家

東京外大でウルドゥー語を教えているパキスタン人の
お兄さんのおうちに縁あってお邪魔しました。

ここのカラヒは絶品でした。
あまり脂っこくなく、シナモンが強めにかおる。
あとはもう、とにかく純粋な鳥の出汁の味がしました。
こちらの家庭は、丸鶏からさばいているらしく、肋骨なども入っていた。
それがおいしさの所以なのかもしれません。

おいしいおいしいを言いすぎて、とてもうるさい日本人だと思われた恐れがあります。

⑤知り合いの上司の家

日本企業パキスタン支部で働くかたのおうちに縁あってお邪魔しました。(Part2)
縁がありすぎる旅。

こちらの家庭のカラヒも、デパ地下みたいなカラヒだった。
スパイシーというよりも、トマト煮込みみたい。
ボロネーゼみたいな味付けだ。
イタリア人でも日本人でもアメリカ人でも好きになれる味。

よき暮らしを推奨しているのか、油は控えめ。
旦那さんのカラヒボディをいたわっていました。これぞ愛が見えるカラヒ。

⑥kolachi

カラチのエロい店。
ピンクの照明がムーディー。

正直この雰囲気は自分には合わない。画像もうまく撮れない。
が、こんな時もカラヒというものはおいしい。
かなり個性的で、胡椒ががっつり入っている。
胡椒煮込みといっても過言ではない。

他のカラヒと全く違う味付けだったので、
カラヒとは何か、哲学モードに入った夜だった。

⑦frontier

地元パキスタン人おすすめのカラヒ。
トマトたっぷり。しっかりトマトと玉ねぎを炒めている。
脂っこさはそこそこ。これ、とってもカラチの空の味に似ている・・・。
肉は柔らかくて、火入れにもこだわりを感じる。
あつい・・・。職人たちの情熱が、カラヒを通じてじんじん伝わってきた。
締めカラヒとしてふさわしすぎる。

有終の美に感動したのか、最後にみんなでしばいたチャイがあつすぎたのか、目が潤んだ。




様々なカラヒを食べてきて感じたのは、人には人の、カラヒがあるということ。
しかもすごい振れ幅で。

日本で食べるカラヒは、「カラヒというものはこういう味付けだ」というフォーマットがあった。
みなトマトベースで、生姜ニンニクがバシッとしていて、ちょっとドライ。
ただ、パキスタンのカラヒは、似ている部分はあれど、水分量、油量、スパイスの扱いがガラッと変わったりする。

ああ、なるほど。
もしかしたら、日本でいう、味噌汁のような存在なのかもしれない。

パキスタンにおいては、カラヒとナンを上手に作れたら、
お嫁にも行けてしまうんだろう。



そして、自分はカラチの空を見るという目的を果たした。

「カラチの空を見ました。」

この一言が言えれば十分だったのに、
空爆にあったり、
ラッシーのせいで空港でぶっ倒れたり、
ジャーナリストに撮影されてテレビに出たり、
銃に打たれそうになったり、
ちょっといろいろと体験しすぎてしまった。


興味を持った方は、是非、パキスタンに行ってみてください。
でもその前に、カラヒとはどんなものなのか、堪能してみてください。
埼玉県八潮市に『カラチの空』というすばらしいパキスタンカレーレストランもあります。

 


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