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ユニクロはクリエイティブではない

柳井さんが15年かけて口説き落とした、伝説のクリエイティブディレクター、John C Jay。世界最高のクリエイティブディレクターです。

ジョンジェイがユニクロに加わる!

ニュースを聞いて、耳を疑いました。

世界で最も有名で、クリエイティブな会社のオーナーでありパートナーである伝説の男を引き入れた!マジ?柳井さんの凄さと本気を感じ身震いをしたのを覚えています。

冒頭の言葉は、就任後1年半でインタビューされたときに彼が語った一言。彼が来てから5年、「Life Wear」というブランドコンセプトが根付いていることが感じられます。

意味ある世界ナンバーワンになるために

それまでは山口の会社であったユニクロが、全国区に展開するきっかけは、ジョンジェイが手がけたフリースの広告でした。それから15年、世界80億人に対し、5兆円企業として真にグローバル企業になるためには、クリエイティブが経営の根幹におかれていることが必要だ。そう考えた柳井さんは佐藤可士和さんでは国内マーケット止まりで世界のマーケットは狙えない。世界一になるためには、それも意味のあるナンバーワンになるには、世界一のクリエイティブディレクターが必要だと考えたに違いありません。

1/機能性を全面に出した差別化戦略
2/フリースなど単一商品にフォーカスした限定化戦略

これまで、ユニクロは、機能と商品にフォーカスし、「ファッションカンパニーでない」として工業製品のようにファッションを取り扱うブランディングをすすめてきました。可士和さんがすすめたこうしたアプローチの限界を見抜き、各商品、各機能がライフスタイルへという全体へつながるストーリーを仕込むことを提案し、Life Wear(ライフウエア)というブランドステートメントを掲げました。そして、「最高の品質を最も多くの人達にとどけることでその人の人生の質を上げること。」というゴールを示しました。世界において、ユニクロが必要とされる存在理由を明確にしました。

そして、ユニクロはロジャーフェデラーをはじめとしたアスリートを応援しています。それは、ナイキが商品でなくアスリートを応援することで、コモディティを展開しながら、それ以上で有ることを感じさせたブランディングと通じるモノがあります。そしてそのブランディングはジョンが仕掛けたモノでした。

ブランドステートメント:Life Wear
ゴール:最高の品質を最も多くの人達にとどけることでその人の人生の質を上げること。

経営者とクリエイティブディレクターは対等であり、パートナーであり、二人三脚で進む同志である。

2015年の就任会見の映像も衝撃的でした。1兆円企業の社長の肩に手を回すジョンジェイ。柳井さんとジョン、二人は対等であり、パートナーであることを世に知らしめました。

1/経営者とクリエイティブディレクターは、同じ人間の左脳と右脳
2/クリエイティブディレクターには、経営者と同じ目線で物事を見ることが出来る資質が必要
3/経営者とクリエイティブディレクターの両方が最高でなければならない。
以上がデザイン経営に必要な要素です。

ちなみに、アップルにおいては、スティーブジョブスが経営者であり、クリエイティブディレクターでした。一人に両方の資質が兼ね備えられていた天才でした。

以下2016年のインタビュー記事から、ジョンのコメントを転記します。
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頭の賢いクライアントが、賢い仕事を引きつけるのです。

私達はもっと良いクライアントにならなければならないということ。私が長年いた広告代理店という側からの目線で言わせていただくと、最高のクリエイティブワークができるのは、クライアント側がとても賢い時。つまり、頭の賢いクライアントが、賢い仕事を引きつけるのです。社内の構造がしっかりしていないと、例え技術に優れた人や才能に秀でた人を外部から起用しても成功しないかもしれない。仕事は自分に値するものしか来ないんですね。ですから、まずは外側を良くするということより、自分たちはどう改善できるのか、そこをずっとやってきて、かなり進展してきたと思います。

最高の品質のものを最もたくさんの人に届けることで、その人たちの人生の質が上がること。

(柳井会長と共有しているユニクロ、そしてファーストリテイリングのビジョンは)最高の品質のものを最もたくさんの人に届けることで、その人たちの人生の質が上がること。マーケティングはまだ生まれたばかりですが、向こう5年間は様々な変化をして、そしてしっかり意味のあるものにし、組織を変化させグローバルレベルで構築を行っていきます。そうすることで、より良く、より早くローカルな変化や動きについていけます。今こうしてお話をしている間にも着々と進行中です。だから少し時間はかかりますが、構成は決まっています。柳井さんに聞けば、
「もちろんナンバーワンにはなりたいが、そこには意味がないといけない。世界にとって意味があるブランドになりたい」
と言いますね。彼の行く道にはクリエイティビティとイノベーションがあります。

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<Photo /Source> 「ユニクロはクリエイティブではない」敏腕ジョン・ジェイは何を変えるのか 2016年05月23日 21:30 JST https://www.fashionsnap.com/article/uniqlo-johncjay/)

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まとめ ーすべての企業にとって必要なことー

1/(違うでなく、)凄く「よく」を目指す。
2/(商品ではなく、)「価値」にフォーカスする。
3/何者であり、何を目指すかの「存在理由」を顧客に明確にする。
4/クリエイティブを経営の根幹に据える。
5/クリエイティブディレクターと経営者は対等であり、パートナーである。

今回は、ジョンジェイを通じて、デザイン経営にとって必要なことをお話しました。
ブランディングについてはひとまずここまでとし、次回からは設計事務所についてお話してみたいとおもいます。

STAR
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