お客様は何様?

「おいおい!いつまで待たせるつもりだよ!!」

男の口から飛び出した怒号は人でいっぱいの狭い店内に響いた。

「すみません。
 現在店内が大変混み合っておりまして…」
コック帽を被ったウェイターが申し訳なさそうに頭を下げる。


「どこがだよ!
 こんな小さい店がいっぱい入ってるだけで忙しさも
 たかが知れてるだろ!」


「すみません。なにぶん1人でやっているものでし
 て、どうしても提供時間は少しいただいてしま
 うんです。」


「知ったこっちゃねえよ!
 いいか!?
 お客様は 
 カ・ミ・サ・マ
 なんだぞ?」


「仰る通りでございます。
 すぐに作ってお持ちいたします!」
と言ってオーナーは急いで厨房へ戻った。



「わかりゃいいんだよ。ったく。
 せっかくの休みってのに嫌な気分だぜ。」


と男は不満そうに言いながらふとカレンダーを見ると、男は赤面した。


今日は、『勤労感謝の日』であった。

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