TVショー



「…えーっと、つまりいつか人類は滅びると?」


「はい。それは100%間違いないでしょう。」


「その原因はどう予想されますか?」


「基本的には疫病と言われています。人間は頭が良い
 動物なので、病の原因を分析しワクチンの開発をす
 ることはできますが、今後そのワクチンの開発が追
 っつかないくらい即効性のあるウイルスが蔓延する
 可能性があります。
 あと、近年著しく進化を見せているAI搭載のロボ
 ットによる反乱による絶滅も少なからず考えられま
 す。
 しかし、1番は…
 やはり人間同士の戦争でしょうかね?」


「なるほど。それはインターネットと関連はあるので
 しょうか?」


「おっ、鋭いですね。
 インターネットはとても便利なものです。
 遠く会えない距離の人とも今では連絡が取れます
 し、顔も見たことない誰かとSNSなどでつながるこ
 とができます。
 しかしこれが戦争を引き起こす引き金になる可能性 
 がある。
 顔も知らない匿名同士の繋がりというのは怖いもの
 です。
 国籍や年齢、性別も知らないのでそれを利用して人
 間関係が崩れることがある。
 例えば、先ほどもお話ししていたウイルスが蔓延し 
 たとして、それの流出元がロシアだというガセを誰
 かが流したとする。そういった負のオーラを纏った
 言葉の影響力というものはとてつもなく強くなるも
 のです。人々は簡単にそれが本当だと信じ込み、ロ
 シアを隔離しようとしたり、非難する人が出てきま
 す。そして、中にはロシアでそのウイルスを殲滅さ
 せようと核爆弾を落とそうと考える国も出てくるで
 しょう。それに賛同する者がでてきたら、簡単に戦
 争は起こります。人間の信頼関係っていうのは案外
 希薄なものです。」


「なるほど、教授ありがとうございます。
 視聴者の皆さんはこの問題についてどうお考えです
 か?
 番組公式SNSによって、絶滅の原因についてアンケ
 ートを行なっております。
 みなさんどしどしご回答お待ちしております。」


そう司会が語りかけたが、もうTVの前には誰もいない。
ただ荒廃した都市が広がっていた。


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