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毎夜開催、反省会
小学生の頃から話すのが得意じゃなくて、嫌いだった。自分の話すスピードに自分の思考が追いつかないからだ。
別に早口っていうわけじゃない。「このことを言うにはどの言葉が適切だろう」「どの言い方が一番伝えたいことのニュアンスに相応しいだろう」とシミュレーションを重ねる間も無く口から音声にしなくちゃいけないのが苦痛で仕方なかった。
毎晩毎晩、眠る前に思うのは「ああ言えばよかった」「本当はこう言いたかった」。明日その子に会って言ったって、何にも意味のない、今更でしかないわたしの中の正しい言葉を並べているうちに、気づいたら寝ていた。
中学生の時、交換ノートをしていた友人に「さとうちゃんの書く文章は面白いね」と言われた時、だから嬉しかった。わたしの思考の速度に合うのは話し言葉じゃなくて、やっぱり書き言葉なんだ、と思った。
「さとうちゃんの書く文章は、脳内でさとうちゃんの声で再生されるよ」とも言われた。普段の話し言葉が書き言葉寄りなのか、書き言葉が話し言葉寄りなのか。どちらでもあるのだろうと思った。わたしは、話すみたいに書いて、書くみたいに話している。
今でも話すのは得意じゃない。今日も明日も、眠る前の反省会は開かれるに違いないから。
ただ、こうして「話すみたいに書く」ことができた夜、反省会は早めのおひらきになって、気持ちのよい眠りに誘われている、ような気がしている。
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