ブラインドタッチでごめんね...

前職でIT系の仕事をしていたときの話

その頃、会社は海外の某ソフトウェアの日本代理店として契約を結び、それを新規事業として立ち上げていた。別部署でせっせと働いていた私は英語が話せるという理由でその新規事業にも携わることになり忙しい日々を送っていた。

リリース・プレスなどの一通りのお披露目も某赤坂のスタジオで済ませ、
ネットニュースにもなったので、その日から色んな企業から連絡があった。

そんな問い合わせの中に一件、すごく大きな会社から「一度サービス内容についてお話を聞かせてもらえませんか?」ときていた。
早速アポを取り、いざ打ち合わせのためのクソでかいオフィスに訪問した。

向こうの担当は3名、その全員からハイスペックの香りと背後に
(慶応・SAPIX・海外留学・TOEIC…etc)みたいな文字も浮かんでた。

そんなハイスペック相手にサービス内容の説明をしている途中、そのうちの1人から「いや〜実はもう内容は知っていて、我々も前から契約しようと思っていたんですよ〜」と言われた。なんだか圧がある。
(顔が佐藤隆太に似てる。骨格が似ているので声も似ている。)

私が「あ、そうなんですね〜」と返すとすかさず
「わかりませんか?我々はアメリカの会社と直接契約しようと思っていたんですよ。」と被せられた。

「(なんだこいつ…人のトークターン守れよ…)」と思った。

どうもうちの代表が向こうで契約交渉している同時期に彼もアメリカで交渉をしていたようで、恨みのような念が会話から伝わってくる。

少し騒ついた中、その佐藤隆太は上司に宥められて代わりに私はその上司と話を続けることになった。

私は打ち合わせの際に必ず、議事録を取るようにしている。
話をしながらブラインドタッチでEvernote(メモ帳みたいなアプリ)に議事録を書いていた。

すると佐藤隆太自身もPCを立ち上げ、ブラインドタッチをしながらまた会話に入ってきた。彼の眼光鋭く、キーボードの音も荒々しかった。

彼の上司も諦めたのか、引き続き私は、ブラインドタッチをしながら佐藤隆太と会話を再開した。しかし、彼も限界が近いのか、おそらくまともに打てていないのか、必死さと悔しさがダイレクトに伝わってきた。

「(怒ってんなぁ…)」と思ったので私はブランドタッチをやめた。

すると私がやめた途端、佐藤隆太が「どうしたんですか!疲れたんですか??ブラインドタッチ!!!」と言ってきた。

今書きながら(ちょっとおもろいな…)と思っていたけど、当時はめちゃくちゃだるかった。少し引いた。

でも私は彼に「はい、ちょっとつかれました。効率がいいので長くできるようになりたいんですけどね〜ハハッ…」

というと彼は満足そうにしていた。これでいいのだ。
なぜなら私には対抗心がないから…

打ち合わせも終わり、無事契約してくれることにもなったので私的には大満足だったが、帰りので電車で同席していた同僚が「あいつめっちゃやばかったなぁ〜俺吹き出すかと思ったよ」と言ったので第三者的にもおもろい状況だったんだな〜と思った。当事者の私もじわじわきている。

ちなみにその後も似たようなマウント合戦があったので、佐藤隆太のことは
ちょっとだるい人と思っており、その記憶は本物の佐藤隆太にも影響を与えている。(TV映ってたらチャンネルを変える等)

そして、私のブラインドタッチ能力は、小学生の頃にニコニコ動画の歌詞職人として培ったものなんだけど、その話はまた今度…

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